地震の映像で不安に…「寝られなくなる」訴える子どもも 必要なケアと被災地に私たちが今できること【能登半島地震】
支援の輪が広がる一方で、毎日災害の映像を目にすることで心配されることもあります。
元日に、石川県の能登半島で最大震度7を観測した大地震。
石川県では、この地震による死者が200人を超えています。
被災地では雪も降り、住民たちは厳しい寒さの中で避難所生活を強いられています。
いま、私たちに何ができるのか。
Sitakkeでは、【特集】秋冬の”じぶんごと”防災で、北海道で暮らす私たちの、こころと身体を守るための「防災の知恵」 を考えていきます。
北海道は被災地支援本部を立ち上げて、医師や保健師らを現地に派遣。
また札幌市は、災害用に備蓄している寝袋1万2000枚を発送するなど、道内でも支援の輪が広がっています。
しかし現在、石川県では仕分けなどの手間を考慮し、個人からの支援物資の提供は受け付けていません。
「支援物資は、大口で一気に入れて、作業の効率をなるべく上げていくことが重要なので、物品を小口で細かく送るというのは避けた方がいい」
こう話すのは、東日本大震災で災害ボランティアとして活動した、NoMAラボの高橋大就さんです。
高橋さんは現在、自身の会社を通して、避難所へ支援物資を届ける活動を続けています。
これまでの経験上、個人からの支援を受け付けることは、ありがたさよりも、手間と労力が上回ると話します。
被災地では、届いた支援物資の保管・仕分け・配布といった作業の人手が足りていないのが現状。
そんな中ですでに、過剰になる物資も出てきているのだといいます。
そうなると、しっかりとした在庫管理が必要になります。
大口でたくさん来た物資であれば、「ここのスペースのものの賞味期限はいつ」とまとめてわかりますが、小口で届いたものをそれぞれ仕分けるのはとても大変な作業です。
NoMAラボの高橋さんは
「いま現場の人が必死で作業しているときに、少しのものを受け取るのも本当に大変になるので、やはりいまは大口支援の段階なのかな」と教えてくれました。
一番必要なのは、何にでも変えられる「お金」
それでは遠く離れた北海道から、いま、どんな支援ができるのでしょうか?
それは、第一に「寄付」だと高橋さんはいいます。
「必要なものは刻々と変わっていくので、お金は、そのときに一番必要なものに変えられる。スペースも手間もかからない、一番必要なものを必要な人に届ける最善の形だと思う」## 「寝られなくなったりする」子どものケア
一方で、この「能登半島地震」や、翌日に起きた「航空機衝突事故」など、テレビやSNSなどで繰り返し流れる映像を見て、ストレスを感じるケースも少なくありません。
マチの人の中でも、「悲しくなったりするので、選んで見ない」「自分もつらくなっちゃうので、SNSとかもあまり開かないよう意識している」という声も。
また、小さな子どもを持つ親の中には「地震の映像がちょっとテレビで流れてずっと不安がってたので、すぐ違うものに切り替えた」という人も。
「率先して見せるわけではないけど、見ちゃったら仕方ないかな」
「小さいときはなるべく見せたくない。トラウマになったら嫌なので」
という意見もありました。
実際、小学4年生の男の子に聞いてみると、「寝れなくなったりすることもある」と話していました。
衝撃的な映像を見続けることで、なぜ気持ちに不安が広がるのでしょうか。
精神科医の香山リカさんが、「共感疲労」について教えてくれました。
共感疲労は、実際に体験したわけではないことを、あたかも体験したように感じることで起こります。
「被災していないのに、共感をしすぎることで自分がダメージを受けてしまう。気付いたら本当に疲れてしまっているとか、元気がなくなっているなんてことも起きやすい」
香山さんは、特に小学校の中学年ぐらいの子どもを、気にかけてほしいと話します。
「その身になりすぎるというか、被災した子たちが今寒いんじゃないかとか、怖いんじゃないかという、それを自分の体験のように感じてしまって、それで眠れなくなるとか落ち込んでしまう。相手の立場になって考えやすいので、むしろ心の傷というか、受けるダメージは大きいと思う」
相手の気持ちに共感しすぎて、自分自身が体験していなくても精神的に疲れてしまう現象が「共感疲労」ですが、大人よりも子どもの方が強く感じやすいということです。
気持ちを落ち込ませないためにどうすればいいのかについても教えてもらいました。
●情報から離れる時間を意識して作る⇒SNSやテレビを見ない
●料理など手を動かす作業をする⇒手を動かして単純作業に没頭することで脳の違うところを使うので頭をリセットできる
大切なのは「自分の生活を守ることが、いつか被災者の役に立つと考える」ことです。
能登半島地震は、復旧までまだまだ長い時間が必要です。
被災地を支援するためにも、まずは自分自身の心のケアも大切にしてください。
【特集】秋冬の”じぶんごと”防災
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年1月9日)の情報に基づきます。