宮崎県の『スーパーとむら』。オリジナルの味で肉が激うま! あの「戸村のたれ」はここで生まれた
もとは宮崎県日南市の精肉店。手づくりの漬け込みダレをもみ込んだ牛肉を販売すると、タレがほしいと評判に。そこで小分け販売したのが、いまや宮崎土産としても知られる「戸村のたれ」の始まり。他社にまねできない、そのオリジナルの味は、全国のスーパーなどでもファンを増やしている。
今回のゴー!ゴー!
『スーパーとむら 吾田(あがた)店』(宮崎県日南市)
昭和40年代、宮崎県日南市の精肉店で、手づくりの漬け込みダレをもみ込んだ牛肉を販売。すると「肉がおいしい!」「タレがほしい」と評判に。
小さなポリ袋に小分けし、1袋50円で販売したのが「戸村のたれ」と呼ばれている「戸村本店の焼肉のたれ」の始まりです。
その店はのちに株式会社戸村精肉本店となり、市内に4店舗の『スーパーとむら』を展開するほか、自社牧場「戸村牧場」や焼肉店『堀川レストランとむら』など、食肉関連のグループ会社をまとめています。
焼肉店の『堀川レストランとむら』でも、豪華にピッチャー入りで出てくる「戸村のたれ」。
特徴は原料にたっぷりのリンゴとバナナのほか、地元好みの麦味噌も使用した甘めの味で、ニンニクのきいた濃厚な風味。この濃度は大釜で、職人さんが直火炊きして調整しているのです。
創業者で開発者の故・戸村吉守(よしもり)氏の編み出した製法で、他社にはまねできないオリジナルの味。
その販路はすでに近隣どころか県をも飛び出し、宮崎出身者や自然派なこだわりをもつ消費者にも支持されて、全国のスーパーなどでもファンを増やしています。
「宮崎の日南では甘めで濃い味を好むため、オリジナルの味を開発する必要があった」と曽我新店長。
焼肉に欠かせない「戸村のたれ」のほか、「チキン南蛮のたれ」「辛口ドレッシング」「 レストランの味ドレッシング」「 とむら焼のタレ」など、肉や野菜のおいしさをランクアップさせる調味料がそろいます。
地元では定番、県外の人には謎めいた存在のオリジナル総菜「天吉(てんきち)」は、クセになるおいしさ。
もちろん、味のついた肉などは大得意。「チキンヒーロー」改め「チキンスター」と呼ばれるオリジナル手羽中唐揚げは、南九州では料理名としてもよく知られています。
さらに、魚のおいしい地域でもあり、季節の魚の干物や加工品もとむらオリジナルを製造。これもまた少し甘めで、ご飯が進むのです。
『とむら』名物! オリジナルの味
焼肉のタレ「戸村のたれ」など、肉をおいしくする調味料で知られるが、実は地元好みの魚の味も知っているため、魚介の干物や加工品にも名品があり、ファンが多い。
人気の定番。地元の日常食を拝見!
豊かな自然環境と多様な食材を生かした、個性あふれる味わいが特徴の宮崎の食文化。肉も魚もおいしく育つ地域で、主役を引き立てる名脇役も忘れてはならない地元の味。
「とむらの駅」に注目!
店内にある和風空間は、宮崎名物が集められた「とむらの駅」。道の駅のように地元の味を探せます。タルタルソース、日向夏ドレッシングなどの調味料や宮崎辛麺、菓子類などもあり、お土産選びを地元価格で楽しめます。
スーパーとむら 吾田店
住所:宮崎県日南市中央通2-10-1/営業時間:9:00~19:30/定休日:月1回/アクセス:JR日南線日南駅から徒歩5分
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2025年7月号より
菅原佳己
スーパーマーケット研究家
執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。