刺激届ける!ENEOSバスケクリニック 釜石・小佐野ミニバス「苦手、克服するぞ」
釜石市鵜住居町の市民体育館で4日、女子バスケットボールWリーグのENEOSサンフラワーズの元選手らによる教室「ENEOSバスケットボールクリニック」があった。市内で競技に熱中する小佐野ミニバスケットボールスポーツ少年団(菊池亮太監督)のメンバー約40人が参加。一流の技に触れながら、夢中になって練習した。
この教室は、ENEOSが社会貢献活動の一環として全国各地で開いており、競技の普及や次世代選手の育成などを目的にする。1995年に始まり、年間50~60カ所で実施。今回は、小佐野ミニバスのコーチ小林光宏さん(36)が応募サイトを目にし、申し込み実現した。
特別コーチとして来釜したのは、アトランタ・アテネ五輪に出場した大山妙子さん、アテネ五輪出場の矢野良子さん、Wリーグ優勝などの経験を持つ小池清美さんの3人。大山さんが「体をしっかり動かし、分からないことは聞いて。いろんな練習を楽しんでやろう」と子どもらに声をかけ、ウォームアップで体全体をほぐすことから始めた。
「ボールを持ったら低い姿勢で」「パスは相手の動きに合わせて」「走っている人のスピードが変わらないよう動きをイメージしてパスを出す」「パスをしてから動くんじゃない。しながら動き出す」。小佐野の課題、「パスをした後の動きが身に付いていない」と事前に聞いていた3人は“パスラン”(パスした後にゴールへ向かって走り込む)に特化した練習メニューを用意し、足の使い方や目線など小学生にも分かりやすいよう解説を加えながら教えた。
数人でのパスランを何度も繰り返し練習。女子主将の外川凜々香さん(12)は「パスしながら動くとシュートにつながる。パスランは大事だと改めて感じた」とうなずいた。スムーズな動きの感覚をつかんだ様子で、「褒められたからうれしかった。言われたことを伝え合って、みんなで高め合いたい」と笑顔を見せた。
男子主将の那須友馬さん(12)は、特別コーチ3人の動きの素早さに目を丸くし「すごかった」と感心。普段とは違った練習メニューは刺激になったようで、「声を出したりして、ミート(自分からボールを受けに行ったり、パスをもらいやすい場所に移動したりすること)すると、シュートにつながる。低学年に教えてレベルを高めたい」と気合を入れた。
終了後には記念撮影やサイン会も行われた。矢野さんはパスランやドリブルといった基本や日々の練習の大切さを伝え、「嫌になることがあるかもしれないが続けて。身に付けば、とても楽しくなるから」と助言した。
練習中は指導に集中していた大山さんは、子どもたちが楽しみながら取り組む様子に「笑顔がたくさん。ほっとした」と表情をやわらげた。釜石への来訪は2017年に同教室を隣町の大槌町で行って以来。東日本大震災から復興しつつある当時の街並みを思い出したようで、スポーツに取り組める環境が整ったことを喜ぶ。「必要なことを持ち帰って、しっかり練習してほしい。チームが勝てば、頑張れる」とエールを送った。
今月下旬にミニバス地区予選がある。男子は4チームが出場予定で、小佐野が目指すのは「優勝」。来年1月にある県大会への出場切符を手にすべく、那須さんは「いろんな練習をしっかりして、力を発揮できるようにする」と意気込む。女子は3チームで競う。夏の大会で女子は県大会に出場し1勝した。外川さんは控えめに「今度は県大会で2勝したい」と話しつつ、最終目標は「ベスト8」と定めた。
「子どもたちの刺激になれば」と見守った小林さん。3人の指導は「シンプルで、当たり前なこと」だが、子どもらがいつも以上に集中し静かに話を聞こうとする姿勢が見られ、うれしく感じた。チーム外から「弱点を指摘され、意識した」と確信。充実した学びの機会を得た子どもらの成長に期待していた。