ボクシング佐々木尽選手 邦人初 W(ウェルター)級世界王者に挑戦 6月にタイトルマッチ
中屋ボクシングジム(南町)所属のプロボクサー・佐々木尽選手(23)が5月15日に八王子市役所を訪れ、6月19日(木)に大田区総合体育館で行われるWBO世界ウェルター級タイトルマッチに向けた決意を初宿和夫市長に表明した。勝利すれば日本人初のウェルター級世界チャンピオンという偉業を成し遂げることになる。
同ジムの中屋一生会長らとともに市長表敬に訪れた佐々木選手は「NTTドコモPresentsLeminoBOXINGWBO世界ウェルター級タイトルマッチ」に挑むことを報告。日本人選手による同級の世界挑戦は16年ぶり、国内での挑戦では36年ぶりとなる。
「日本人初のウェルター級世界王者になる男」を公言してきた佐々木選手にとって、この挑戦は長年追い求めてきた夢舞台。対戦相手はWBO世界ウェルター級現王者のブライアン・ノーマン・ジュニア選手(24)=米国=。27勝無敗(21KO)のチャンピオンに、同級2位で19勝(17KO)1敗1分けの佐々木選手が挑む。
別所小、別所中、都立八王子拓真高校を卒業後、17歳でプロデビューした佐々木選手。2023年1月にWBOアジア・パシフィックウェルター級王座、24年5月に東洋太平洋ウェルター級王座を獲得するなど、若手ホープとして頭角を現してきた。4月25日に横浜市内で開いた今回の世界タイトルマッチ発表会見後にはこれらのタイトルを返上し、不退転の覚悟で世界王座にかける覚悟を示した。
八王子から世界へ
市長応接室で開かれた表敬訪問で佐々木選手は「いよいよ世界タイトルに挑戦できる。八王子、日本から史上初のチャンピオンになります」と力強く宣言し、決意をみなぎらせた。
サプライズとして佐々木選手を応援する横断幕を掲げて一行を出迎えた初宿市長は「決してあきらめることなく夢を追い続け、努力し挑戦してきたからこそ実現できたことと思う。その姿を市内の子どもたちに感じてもらいたい。ぜひ思い残すことのない試合をして、期待通りの結果が出ることを願っている」とエールを送った。
同席した中屋会長は「チャンピオンを呼ぶにはお金だけではない、勝つ可能性があると多くの皆さんが協力してくださったおかげでここまで来れた」と周囲の支援に感謝の念を表した。また前会長で現在もトレーナーとして佐々木選手を支える中屋廣隆さんは「ジムを開いて30年。自分の人生の集大成である佐々木尽が『歴史を作る』と言っている。今までにない大きな舞台を一緒に、自分にとっても最後の挑戦と思って取り組んでいる」と感慨深げに語った。後援会長を務める黒須隆一さんは「チーム中屋が一丸となって支えてきたから今日がある」とジムの献身的なサポートを称えた。
市を挙げ応援
佐々木選手の挑戦を市を挙げて応援しようと、市はJR八王子駅北口のマルベリーブリッジと南口のとちの木デッキ、市役所に横断幕を掲出する。さらに市民一体の応援ムードを盛り上げようと、市内の市立小中学校107校の学校給食で、佐々木選手応援メニューを提供すると発表した。献立は佐々木選手が子どもの頃に好きだったというマーボー豆腐など。6月6日(金)から18日(水)までの期間中に各校で1回提供される予定だ。
地元が生んだ若きボクサーの挑戦に地域の期待が高まっている。