パリ五輪馬術戸本さん メダル下げ「原点の地」へ 明大時代のつながり今も
パリ五輪総合馬術団体日本代表の一人として銅メダルを獲得した戸本一真さん(41)が9月17日、錦ヶ丘こども文化センター(多摩区栗谷)などを訪れた。訪問のきっかけは、大学生の頃に親しくしていた坂田不二子さん(76)=多摩区在住=から約20年ぶりに送られたメッセージだった。
日本の馬術では92年ぶりとなる史上2回目のメダル。団体でのメダル獲得は初めてで「初老ジャパン」としても、今夏に大きな話題となった。
明治大学体育会馬術部時代、練習を重ねた馬場は生田キャンパス内にある。当時、坂田さんは近隣にあるコンビニで働いていた。「馬術部の部員がよく買い物に来てくれて。いつの間にか、仲良くなっていったのよ」と坂田さんは懐かしむ。坂田さんの自宅は、部員が遊びに来て、テレビを見たり会話をしたりする場になっていたという。「戸本さんは優しさに溢れていて、すごく真面目。一生懸命、馬術に向きあっている大学生だった」と坂田さんは振り返る。卒業後に連絡をとることはなかったが、今夏にテレビで活躍を見て「本当に懐かしくて。『おめでとう』という気持ちを伝えたくて、メッセージを送った」。返信がきたことに対して「絶対に返ってこないと思っていたので、本当にびっくりした」。かつて同センターのスタッフだった坂田さんは、現館長の寒水晃世さんからの「子どもや地域の人たちに五輪の話や、メダルを見せに来てもらえないか」という相談を戸本さんに伝えると、快諾されたという。
「本当に来てくれるとは」
戸本さんは「生田駅で電車を降りたのは、おそらく卒業後初めて。本当に懐かしい。生田、ここが自分の原点。だからこそ、近隣の方や子どもたちの力になれれば」と訪問した理由を語った。
戸本さんの訪問を歓迎する装飾は地域の子どもたちが協力した。「ずっしり重い」「初めて本物を見た」と銅メダルを持ち写真を撮る姿も。約1時間、質問などに答えながら交流。最後には、子どもたちが手作りしたメダルと花束が渡された。
約20年ぶりに再会した坂田さんは「まさか、本当に来てくれるなんて。夢を見ているみたい」と話し「次の五輪でもメダルを取って生田に来てほしい」と笑顔を見せた。
この日、戸本さんは南生田小学校わくわくプラザにも訪れた。