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「さぁ、君もおいでよ。この世界に、光のもとに。」Ave Mujica 3rd LIVE「Veritas」レポート

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撮影:福岡諒祠(GEKKO)

■2024.10.13 Ave Mujica 3rd LIVE「Veritas」@河口湖ステラシアター

Ave Mujica 3rd LIVE「Veritas」が2024年10月13日に河口湖ステラシアターで開催された。メディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』に登場するリアルバンド・Ave Mujica。2023年6月にはAve Mujica 0th LIVE「Primo die in scaena」と題した単独ライブを披露して大盛況を博すと、翌2024年1月に開催したAve Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」はチケット即完。『Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-』DAY1への出演も果たし、その注目度の大きさは筆舌に尽くし難い。そんな彼女たちの初となる河口湖ステラシアターでの単独ライブ。そこで彼女たちはいかなるパフォーマンスを見せたのだろうか? その様子をレポートしていこうと思う。

(C)BanG Dream! Project

本公演が催された10月13日、会場周辺には澄み渡った空気が流れていた。開演時間を目前に控えた河口湖ステラシアターには怪しげなサウンドが流れ、集まったオーディエンスたちはその音色に合わせて手拍子を打ち鳴らす。Ave Mujicaの登場を前に、会場の一体感は満ち満ちていた。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

会場の照明が落ち、ひとつ、またひとつとピアノの音色がこだまする。青い薄靄に包まれるステージ。そこに堂々たる振る舞いでAve Mujicaの面々が登場する。そして、轟音が響く。ステージは白い光で照らし出され、この日のパフォーマンスの幕開けが堂々と明示された。

手にした楽器を力強くかき鳴らすAve Mujicaの面々。切り裂くような音色が会場の空気を振動させる。そして、佐々木李子演じるドロリスが歌声を発する。

「失えばいい たったひとつのひかり目指すため」

一曲目として披露したのは「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」。開幕早々から明確な世界観が会場を包み込む。オーディエンスたちは音に合わせて身体を揺らす。そして、一曲目の締めくくりから会場には大歓声が巻き起こった。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

疾走感あふれるサウンドが続け様に会場を席巻する。ステージは真紅の光に包まれ、橙の火柱が上がる。披露したのは「Symbol I : △」。Ave Mujicaが会場の空気を制圧し、さらなる熱気を生み出す。オーディエンスたちはその熱気を吸い込むと、ステージに向けて大きな声援を送った。

立て続けにゴシックでダンサブルなナンバー「Symbol II : Air」が響き渡り、会場にはダークで軽快な空気が流れる。ドロリスが高笑いするような歌声を響かせ、ステージ上をゆらりゆらりと揺れ動く。ステージは黄金色に輝き、ハッピーで退廃的な、“Ave Mujicaの世界”をオーディエンスに見せつけた。

一瞬の静寂が訪れる。Ave Mujicaの面々はステージから姿を消し、会場には風の音が響く。ポツリポツリと、彼女たちの独白が会場にこだまする。そして、彼女たちの独白はこう締め括られる。

「光なんて、この世界のどこにもありはしない。それが僕たちの、僕たちが作り上げたこの世界の真実。」

そしてここに、再びステージに現れたドロリスが一言。

「神さま、バカ」

落ちていくような音色が響き、ステージには赤い光が落ちる。披露したのは「神さま、バカ」。ドロリスの悲痛さが混じる歌声がこだまする。Ave Mujicaの面々はお互いに視線を送り合いながら本楽曲をパフォーマンス。そして、続いての楽曲へと音色が弾き継がれる。ネクストナンバーは「ふたつの月 ~Deep Into The Forest~」。高尾奏音演じるオブリビオニスがキーボードを奏でると、そのバトンを引き継ぎAve Mujicaの5人が重厚感溢れるサウンドを会場に響かせる。曲中、意味ありげな視線を送り合うドロリスとオブリビオニス。その姿は、見るものの記憶に強く刻まれる。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

ここで彼女たちの奏でる音色は一寸の高揚感を帯びる。披露したのは「暗黒天国」。タイトルが示す通り、自身が提示した“暗黒”の世界観を、“天国”のように満喫するAve Mujicaの面々。ここに聖歌を思わせるコーラスが響くと、その場に展開するサウンドは一気に力強いものへとスイッチする。そしてAve Mujicaの面々がこうシャウトする。

「Choir Choir, Choir Choir ‘S’ Choir」

その声に会場が揺れ、ステージ上は胆礬色に瞬く。オーディエンスたちはその手を天に掲げ、高揚感を可視化。会場にあふれる一体感はこの上ないものへと昇華された。

そして、ステージ上に暗闇が訪れる。再びAve Mujicaの面々が、独白を会場に落としていく。

「誰か、助けて。楽になりたい」

切実な願いが会場にこだまする。静まり返った会場に、オブリビオニスの奏でる、哀愁を帯びたキーボードの音色が響く。そして、ドロリスが歌い出す。

「月を詠む 海のリズム 私は ‘最初に降り立った者'」

披露したのはそう、「Symbol III : ▽」。オブリビオニスとドロリスのセッションが河口湖の空気を揺らし、オーディエンスの耳を奪う。切なくも可憐な空気が会場に満ち、その場に居合わせた人々は際限ない多幸感に包まれた。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

続けて、オブリビオニスがピアノソロを奏で始める。確かな演奏技術に裏打ちされた、力強くも壮大なパフォーマンスがオーディエンスの目と耳を釘付けにする。そして、ドロリスがここに歌声を合流させる。

「ならもう汚れたっていい」

続いてのナンバーは「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」。悲壮感と力強さが共存したそのパフォーマンスに、大きな歓声が上がる。ステージは赤と白に明滅。Ave Mujicaの面々はステージ前方へと乗り出し、視覚からもオーディエンスたちを魅了した。

彼女たちの猛進撃は止まらない。続いて披露したのは「堕天」のカバー。ロックサウンドで再解釈された本楽曲。ドロリスのリズミカルな言葉運びがオーディエンスの血をさらに激らせる。その場に集った人々は会場にあふれる一体感をこの上ないほどに楽しんだ。

「...ようこそ。Ave Mujicaの世界へ」

ミステリアスな空気と真紅の光の中、ナンバーが走り出した。「Ave Mujica」、ドロリスの魅惑的な歌声が、オーディエンスたちを“Ave Mujicaの世界”の深部へと誘う。会場からは歓喜の声が上がり、その場に満ちる熱気は最高潮まで駆け上がった。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

大歓声鳴り止まぬ河口湖ステラシアター。そこに再び静寂が訪れると、Ave Mujicaの面々が再度、言葉を紡ぎ始める。発せられたのは、どこか前向きなメッセージ。それはまるで、本ライブで彼女たちが見出した“一筋の光”のようだった。そして、彼女たちの言葉はこう締め括られる。

「深い闇の中に、何かが、見える」

「Angles」、神聖さを帯びたサウンドに、ドロリスが気高い歌声を乗せる。一瞬たりとも目が離せない力強いパフォーマンスが展開される。続けて放たれた楽曲は「黒のバースデイ」。赤く染まるステージで、ドロリスが力強く歌声を響かせる。その姿にオーディエンスたちは魅入られ、身体を激しく揺らした。

「black-black, black, my black birthday」

そして、会場には一瞬の静寂が訪れる。そこに続いたのは「Symbol IV : Earth」。ステージ上には光が落ち、彼女たちを幻想的に照らし出す。緩急あるサウンドの応酬が、その場に集いし人々の血を激らせる。会場は最上の高揚感で包み込まれ、人々は脈を早めた。

「光ってなんだろう?」

そんな一言から、彼女たちの魂の叫びが再び会場に届けられる。そこに立ち現れたのは、絶望感を帯びた言葉たち。ただ、それも徐々に輝きに満ちたものへと変化していく。高らかな笑い声が上がると、彼女たちはこう私たちに告げた。

「さぁ、君もおいでよ、この世界に。光のもとに。」

神々しい音色を奏でるAve Mujica。披露したのは「Ether」。彼女たちは音と立ち振る舞いで、暗闇の中の一筋の光を体現して見せる。そのパフォーマンスに、オーディエンスは魅入られずにいられない。会場のリストバンドライトは優しく揺れ動き、その感動を可視化。曲終わりには大きな歓声が巻き起こった。ここまで圧巻の15曲を披露したAve Mujicaは、眩い光の中、ひとり、またひとりとステージを後にした。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

彼女たちのパフォーマンスは河口湖ステラシアターにおいても存分に発揮されていた。今後さらに力を増し、私たちを“Ave Mujicaの世界”のさらに深淵へと誘ってくれるだろう彼女たち。その活動に今後も注目していきたい。

取材・文:一野大吾 撮影:福岡諒祠(GEKKO)

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