未来型超高層マンション群「幕張ベイパーク」を歩いてみた
「職・住・学・遊」を融合させた未来型の国際業務都市を目指す千葉県の幕張新都心。その東側で現在開発が進んでいるのが、超高層マンション群「幕張ベイパーク」です。幕張ベイパークは、約17.6ヘクタールの広大な敷地を10年以上かけて整備。8街区に約4,800戸・約1万人が暮らす街を開発するプロジェクトとなっていて、職・住・学・遊の多様な機能を併せ持つ街づくりを目指しています。まだ誕生したばかりといえるこの街は、もっとも古いマンション(クロスタワー&レジデンス)でも、入居が開始されたのは2019年3月。そして2025年3月には、最寄りのJR海浜幕張駅の幕張ベイパーク側に新改札が新設されました。さらに2026年4月には、隣接する土地に小学校が開校するといいます。このように勢いのある新しい街は一体どのようなところなのか、実際に散策してみました。
幕張ベイパークの歴史
まずは幕張ベイパークの歴史を振り返っておきます。
2008年4月:千葉県企業庁が「文教地区未利用地マスタープラン」(土地利用基本計画)を策定。
2015年7月:当該地区の事業予定者が千葉県企業庁と土地譲渡契約を締結。米国の建築事務所・ZGFアーキテクツが参画。
2015年12月:暫定施設として、「B-1街区」にZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA※1がオープン。
2018年1月:「B-2街区」着工。
2018年11月:幕張ベイパークエリアマネジメント(通称「B-Pam」)※2の設立。
2019年3月:クロスタワー&レジデンス(B-7街区)の入居開始。
2019年4月:街びらき。「A街区」にイオンスタイル幕張ベイパークがオープン。
2020年5月:サービス付き高齢者向け住宅(B-7街区)の入居開始。
2020年8月:「B-3街区」着工。
2021年3月:スカイグランドタワー(B-2街区)の入居開始。
2021年8月:「B-5街区」着工。
2022年11月:「B-4街区」着工。
2024年2月:ミッドスクエアタワー(B-3街区)の入居開始。
加えて、2025年3月に最寄りのJR海浜幕張駅の幕張ベイパーク側に新改札が新設され、2026年4月には、隣接する土地に幕張若葉小学校が開校する予定となっています。
※1 ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREAとは、サッカー選手である本田圭佑氏がプロデュースするサッカー、フットサル、テニスなどのスポーツ施設。
※2 幕張ベイパークエリアマネジメント(通称「B-Pam」)とは、住民・事業者・地権者などが行う地域の価値を維持・向上させるための活動。
JR海浜幕張駅から歩いて幕張ベイパークを散策
それでは実際にJR海浜幕張駅から歩いて幕張ベイパークを散策した様子を紹介していきます。スタートは新設されたばかりの「公園改札」から。これによって従来よりも直線で約190m改札口が近くなりました。また、「公園改札」にはスーパーマーケットやドラッグストアなどのテナントが入っていて、通勤帰りなどに手軽に買い物ができます。
公園改札口から幕張海浜公園の中を通って幕張ベイパークへ向かいます。ここで気になったのが、信号が3つもあること。この日は一番近いB-2街区の超高層マンション「スカイグランドタワー」まで11分で到着しましたが、タイミングによっては1~2分余計にかかるかもしれません。
地上48階建てのスカイグランドタワーの高さは約172m。さすがの存在感で、天を仰ぐように見上げてしまいます。ここに住むのはどんな気持ちなのだろう、と想像しながら視線を横に広げると、筆者を囲むマンションのほとんどが高さ100mオーバー。首が痛くなるほど曲げて周りをぐるっと見渡し、尻もちをつきそうになりました。
超高層マンション群の中央にある広大な「若葉3丁目公園」
そんな超高層マンション群の中央にあるのが若葉3丁目公園です。幅約80m、奥行き約430mの広大で緑豊かな公園。この日は日曜日だったので、たくさんの親子連れが遊具やキャッチボールなどで遊んでいました。やはり、若い街なので子どもが多いようです。公園内に限らず、視界には常に小さな子どもが駆け回っていました。また、小型犬を連れている人も目立ちました。実は知人がこの街に住んでおり、トイプードルを2匹飼っています。彼は高層マンションで犬を飼うことについて、ここは目の前に若葉3丁目公園があり、さらに広い幕張海浜公園も隣接しているので、かなり便利だと話してくれました。
2026年4月に幕張若葉小学校が開校予定
若葉3丁目公園を一回りしてから、北側の道路を隔てた場所にある幕張若葉小学校の建設現場に向かいます。開校予定は1年後の2026年4月。計画では、21の普通教室と特別支援学級4教室をはじめ、多目的ホールや図書室が一体となったメディアセンターを備える施設になります。開校時は12学級、児童数320人ですが、2032年度には27学級、900人になる見込みです。とはいえ、そこはまだ重機が並ぶ更地でした。
地域内でほとんどのことが完結できるような周辺施設
その後、再度若葉3丁目公園の脇を通ってイオンスタイル幕張ベイパークなどの商業施設が並ぶA街区へ。途中であることに気づきました。電柱と電線がどこにもない! 地中化されているので空が広く、摩天楼の存在感がさらに増すことにつながっています。だからなのか、街中は老若男女問わず人が多く、活気があふれているのに空気感がすっきりしています。そんな空気を突き抜けて、イオンの隣のZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREAから青く瑞々しい掛け声が響いてきました。チアリーディングの練習をしているようです。このような若い声も地域に躍動感を与えています。
イオンの脇にはさまざまな種類の店舗が軒を連ねていました。カフェ、焼肉店、居酒屋、雑貨店、100円ショップ、イタリアンレストラン――。公園の近くには各診療科のクリニックとコンビニエンスストアもありました。これだけ充実していれば、地域から一歩も出なくても生活ができるかもしれませんね。
どのような色に染まっていくのか楽しみな街、幕張ベイパーク
天に突き抜けるような摩天楼群。その中心に緑豊かな公園。電柱のない街並み。充実した商業や医療施設。さらに徒歩圏内に鉄道駅とビジネス街もあります。幕張ベイパークは、狙い通り「職・住・学・遊」を実現しています。映画に出てくる未来の街のようでした。でもほんの少しだけ、気になることもありました。子どもからお年寄りまで多くの人たちが行き交い活気にあふれているのに生活臭が薄いのです。「なんでここにこんなものがあるの!?」といった雑味がありませんでした。けれども、それはまだ生まれたばかりの街だからかもしれません。これから10年、20年と経てば、この地域ならではの色に染まっていくはず。そのときの色彩が楽しみです。
この記事では画像に一部PIXTA提供画像を使用しています。