高虎の遺訓200か条 全面改訂の冊子刊行 伊賀文化産業協会
江戸時代に伊賀国を治めた初代藤堂藩主、藤堂高虎(1556‐1630)の家臣が書き残した「遺書録」の原文と現代語訳の冊子「高虎公遺訓二百カ条」を三重県伊賀市にある伊賀上野城を管理運営する伊賀文化産業協会が改定し、刊行した。同城天守閣の他、同市内の書店で取り扱っている。
「遺訓二百カ条」は高虎自身の経験や体験を基に語った家訓で、死後34年経ってから書き残され、「侍としての常の覚悟」「家来としての心掛け」「君主に対する奉公の心」「家老の心構え」の4章で構成されている。現代語訳のみだった初版は2000年の出版で、13年発刊の第二版では原文も掲載した。在庫切れになったため、新版2000部を作成した。
新版は、同市上野図書館が所蔵する「遺書録」の写本で確認し、誤記を訂正。忠実に活字化した。現代語訳も更に分かりやすい表現に改めた。「こちらの努力に気付かない主人なら仕えるのをやめるべきだ」という、若き日の高虎があちこち渡り歩き主人を替えて奉公した経験からの言葉ともとれる条文や「妻を大切に」「人の悲しみや喜びには共感を持つこと」など家庭人として心の機微に触れた内容もあるという。
編著者で同協会専務理事の福田和幸さん(76)は「現代社会に生きる私たちへのメッセージとしても読むことができる。共鳴できる条目をみつけてみては」と話す。A5判。付録付きで1冊税込み800円。
問い合わせは同協会(0595・21・3148)へ。