横浜郵船ビル 市認定歴史的建造物に 外観を保存し、ホテルへ
横浜市は5月9日、日本郵船(株)が所有する横浜郵船ビル=中区海岸通=を横浜市認定歴史的建造物として認定した。同社を含め2者がホテルとして活用することを発表した。26年秋に竣工予定で開業は2027年春を見込む。
認定された建造物は、今回で105件目。郵船ビルは1936年に建てられ、長期間、事務所や訓練所として使用されてきた。横浜港から乗船する多くの乗組員を輩出しており、貿易産業を盛り上げ同市の発展に寄与した歴史がある。また、市内で古典主義様式が用いられた最後期の建物で特に正面は、コリント式の16本の並んだ柱が特徴的。海岸通り地区の歴史的景観を形成する代表的なランドマークとなっている。
市は、郵船ビルに対して専門家などの調査を踏まえ価値の高い建造物として判断し、歴史的建造物に認定した。今後、保全改修などで市の助成を受けることが可能になる。
再開発事業の一環
郵船ビルがある海岸通り地区は、22年に同社を含む3者が都市計画の変更を提案したことで、再開発事業がスタート。すでに一部の施設がオフィスとして生まれ変わったほか、同ビルの隣接地には、オフィスや文化施設を兼ね備えた高層ビルの建設を予定しており、昨年5月に新築工事に着手している。さらに、海岸線を歩けるように水際線プロムナードの整備も計画している。
郵船ビルの外観はそのまま保存され、建物内部を宿泊・レストラン・バンケットを備えたホテルに改装する。同時に、チャペルなどの付帯施設や広場も整備される。市の担当者は「外観の特徴をそのまま残して活用いただけるのは、ありがたい。この事業による新たなにぎわいを期待したい」と話した。