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第16回 オカダ・カズチカは、果たしてこのままでいいのか!? ~AEW初のオーストラリア大会成功の影でくすぶるパッとしない現状~

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第16回 オカダ・カズチカは、果たしてこのままでいいのか!? ~AEW初のオーストラリア大会成功の影でくすぶるパッとしない現状~

■盛況となったAEW初の豪州大会
去る2月15日(現地時間)、AEWとして初となるオーストラリアでの大会「GRAND SLAM AUTRALIA」が開催された。米国以外での本格的な海外での主催大会は、過去二度に渡って開催され毎年の定番となっているイギリスはロンドン、サッカーの聖地であるウェンブリー・スタジアムでのPPV大会「ALL IN」に続いて、2カ国目の進出となる。

昨年の開催発表当初は、ALL INと同様に5万人規模を収容するスタジアム大会として告知されたのだが、チケットの売れ行きが芳しくないことから急遽1万人規模の会場へと開催場所が変更となり、AEW人気凋落の兆しかと何かと騒がれたのも確かだ。

しかしながら、1年以上ぶりとなるAEWマットへの本格復帰を果たしたケニー・オメガと、ウィル・オスプレイによる初のタッグ結成マッチの他、すべての王座戦にご当地オーストラリア出身のレスラーが挑戦するという出し惜しみのないマッチメイクが功を奏し、当日の会場はフルハウス感が迸る大熱狂ぶりで、AEWによる豪州初進出を歓迎するムードに包まれた。

そして、我らがオカダ・カズチカもコンチネンタル王座のチャンピオンとして、地元オーストラリア出身のバディ・マシューズとのタイトルマッチに出場、挑戦者の猛攻を退けて”無事に”同王座を防衛してみせた。

AEWとして初の開催となったオーストリア大会において、”無難に”王座防衛を果たしたオカダ・カズチカ。豪州の観客に、果たしてその姿はどう映ったのか…- 2025年2月15日(現地時間)オーストリア・クイーンズランド ブリスベン・エンターテインメント・センター –


■王座防衛をするにはしたが…
だが、率直に言ってこの一戦は、結果的に消化不良感が残る試合となってしまった。なによりの要因として、マシューズが試合中盤頃からアクシデントにより左足を負傷してしまい、その後も果敢に最後まで試合をこなしたものの、本来のポテンシャルを十分に活かしきれた上での敗戦かと言えば、マシューズにとっては大いに悔いが残る一戦だっただろう。

だが、それよりも問題だと感じたのは、チャンピオンであるオカダによる試合運びぶりにあった。日本の活躍ぶりが未だ記憶にあるファンにとっては、なかなか信じがたいだろうが、オカダはAEWへの電撃的な移籍を皮切りにヒールターンし、観客に向かって中指を突き立てるような侮蔑的な態度をとるレスラーになっているのだ。

筆者もオカダのヒールターン自体の選択については、特に異論はない。現に、新日本プロレスのマットに外道を引きつれて返り咲き、当時IWGPチャンピオンだった棚橋弘至に対峙した時は、まさしくヒールとして人気を不動のものとしただけに、そのポテンシャル自体は疑い余地はないだろう。だが、今現在のオカダに、アメリカマットで通用するようないわゆる”ヒールらしさ”が備わっているかと言えば、そこには大いにクエスチョンマークを付けざるを得ないのだ。

実際、この日の大会のフィニッシュシーンは、あろうことかレフェリーとの接触を契機としたブラインドに乗じて、マシューズにローブローを浴びせた上でのレインメーカーによるピンフォールである。ヒールにおける定番中の定番のシチュエーションによる王座防衛劇ではあるものの、非常に憎らしい印象が残ったわけでもなく、会場から猛烈なブーイングを浴びせられるかと言えばそうでもない。明らかにファンがオカダに期待しているものと、オカダ自身が現在演じているヒールとが、完全に乖離していると感じられてならないのだ。

加えて、オカダの最近のシェイプされていない体型振りにも苦言を呈したい。日本マットで”絶対王者”として君臨した頃の肉体からすれば、ぶよついたお腹のたるみや勝負所での細やかな動きなど、挑戦者として相対したマシューズの完璧なまでにビルドアップされた体付きと比べると、一見してどちらに王者の風格が備わっているかといえば、断然後者だったりするのである。実際、この日の試合ではマシューズの負傷の影響によるのかは定かではないが、レインメーカーに次ぐオカダの代名詞であるはずの、カウンターでのハイアングル・ドロップキックも繰り出されずに終わってしまったのだ。

■今後の展開を盛り上げる秘策はあるのか?
現在、オカダは旧知の盟友であるヤングバックスの二人とジャック・ペリーとで、AEW内のヒールユニットの一つである「ジ・エリート)に属している。ヤングバックスが、先の新日本・大阪大会において内藤哲也・高橋ヒロム組とのIWGPタッグ王座初防衛に失敗し、いまやジ・エリート内で王座ベルトを保持しているのはオカダ一人になった格好だ。

この先、オカダが同王座から仮に陥落してしまった場合、その後のヒール・ユニットとしての展開は一体どのようなものになるのか、現時点ではまったく見当がつかない。既に悪逆非道という点では、日本でもおなじみのジョン・モクスリーが率いる武闘派集団である「デス・ライダーズ」がヒールユニットとしての立ち位置を獲得しており、それに対抗するコープやジェイ・ホワイト、FTRといったベビー側の構図も出来上がっている。

また、竹下幸之介が属する「ドン・キャラス・ファミリー」も、一大勢力として幅を利かせており、これに対抗する因縁関係を先のケニーとオスプレイの超ベビーチームが担う形だ。さらに、コミカル路線という観点に立てば、AEWはもとよりプロレス界の重鎮たるクリス・ジェリコ率いる「ザ・ラーニング・ツリー」が何かとお騒がせなポジションを見事に確立しており、他にも先日の「1.5 WRESTLE DYNASTY」大会において新日本マット初上陸を果たした大型レスラー、ブロディ・キングと共にマシューズがユニットを組む「ハウンズ・オブ・ヘル」と、いずれのヒールパートにもジ・エリートの面々にはつけ入る隙がないように見える。

どのチームもかなりヒールとしての立ち位置とカラーが明確であり、観客にとっての分かりやすさがしっかり
と定着している。その点、ジ・エリートは「強さ」「非情さ」「憎々しさ」「ずる賢さ」といった、ヒールにおけるカラーが一体どのあたりなのか、極めてあいまいに映ってしまっているのは、果たして筆者だけが感じる印象だろうか。

そんな中で、オカダにとってジ・エリートとしての看板、さらにはそれに伴う王者であることが足枷になっているのだとしたら、むしろこのあたりでベルトを手放すのと引き換えにしたベビーターン、あるいはハングマン・アダム・ペイジやスワーブ・ストリックランドのような、”強さ”と”ハードさ”を前面に出した一匹狼的なキャラクターチェンジも、あるいはありなのではないだろうか。

現状のように姑息な手段で、こそこそと王座防衛を重ねる姿ではない、筆者や観客が望んでいるあろう「真に待ち望んだオカダ・カズチカらしさ」をそろそろ解禁してもいい頃合いではないかと、勝手ながら期待と共に切に願うのである。

岩下 英幸


(いわした・ひでゆき)

AEWインフルエンサー。ゲームクリエイター。1970年、千葉県生まれ。幼い頃からゲームセンターやファミコンに親しみ、それが高じてゲーム業界入り。プロレスを題材に開発した「バーチャル・プロレスリング」シリーズが国内外で高い評価を獲得し、米ゲームエキスポ「E3」では、格闘ゲーム部門の最優秀賞を2年連続で受賞する快挙を達成。現在、奥深いプロレス知識をもとにAEWにまつわる執筆活動中。最新作は2023年製作の「AEW : FIGHT FOREVER」。

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