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ひらがなは何歳から?年齢ごとの理解度、発達障害との関係も【医師監修】

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ひらがなは何歳から?年齢ごとの理解度、発達障害との関係も【医師監修】

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

ひらがなへの関心は4歳頃から

子どもが文字へ興味を持ち始めるのはだいたい4歳頃と言われています。

よくある例としては、保護者や園の先生が読んでくれた絵本に興味を持つようになり、自分でも眺めるようになることが挙げられるでしょう。最初は絵などに関心を持ちますが、次第に文字へも関心を持つようになっていきます。

また、5~6歳頃になると自ら「書く」子も出てきます。クレヨンや鉛筆で文字をまねたものを書き、お友達とお手紙ごっこなどの遊びをはじめる子もいます。

この状態では絵や写真と違って文字は音を表すものである、という認識はあるようです。まだ理解が不十分なこともあって、鏡文字や間違った字を書くことも珍しくありません。しかし、この時期の文字の間違いはよくあることなので、そこまで気にする必要はないと言われています。

ひらがなが読めるようになるまでのステップ

子どもがひらがなを読んだり書いたりするようになるまでのステップを、もう少し詳しく紹介していきます。

大・小など大きさの概念や、色の識別ができるようになってきて、絵本などに描かれた絵や写真などに興味を持つようになり、保護者や先生に「これは何?」と尋ねたりすることが増えてくる時期です。

その後は、絵本などを自分で持って読んでいる真似をするようにもなります。これはエマージェントリテラシーといって文字を取得する前段階に現れる状態です。文字への関心が芽生えて、文字の機能を何となく理解できているという証拠でもあります。

4~5歳頃になると文字への関心が大きく、具体的になってきます。
絵本などを通して文字を学んでいき、4歳頃には自分の名前や身近なものに書いてあるひらがなを読めるようになる子どもが増えてきます。

また、5歳頃になると約8割以上の子どもがひらがなの大部分を読めるようになります。先ほど紹介した「お手紙ごっこ」など文字を取り入れた遊びをするようになってきます。これは、ひらがなに興味を持ち、コミュニケーションに使うものだという機能を理解しているためであり、後のひらがな習得に繋がっていきます。

ひらがなを教えるときの注意点やコツは?

ひらがなを本格的に教える前に大切にしたいのは、文字に対して興味を持ってもらうことです。興味がない中で書き取りノートなどを与えられても、子どもは無理やりやらされているという気持ちになり、苦手意識を持つ可能性もあります。そのため、幼児期では土壌づくりを優先するといいでしょう。

土壌づくりとして行えることは、

・絵本の読み聞かせ
・ことばを使った遊び
・日常生活で文字に触れるようにする

などがあります。

【絵本の読み聞かせ】
絵本の読み聞かせは文字への関心に大きな意味があると言われています。読み聞かせをする際は、集団ではなく1対1で行う方が子どもの集中力があがります。絵本の読み聞かせをすることで、「先生は何を読んでいるんだろう?」「この形(文字)は前も見たことがある」など、文字取得につながる興味を持つことがあります。

【ことばを使った遊び】
ことばを使った遊びを取り入れることも大切なポイントです。
1対1でも集団でもさまざまな遊びがあり、例えば「しりとり」や「カルタ」などを行うことで、子どもたちは楽しみながらことばに親しんでいくことができます。ほかにも「ことばを言いながら音の数だけジャンプする」など、ことばを発しながら身体を動かす遊びも取り入れていくといいでしょう。

【日常生活で文字に触れるようにする】
子どもと一緒に散歩をしている時に、目立つひらがなの看板があれば「あの文字は○○くんの名前と一緒じゃない?」など、日常生活でことばを意識する場面を増やしていくということも土壌作りの方法の一つです。

ここで紹介したのは、一つの例です。子どもの発達には個人差がありますので、この時点でひらがなの習得がうまくいかなくても、あまり思いつめたり、叱責したりせずにチャレンジしたことを褒めるようにしていきましょう。

ひらがなを読めない、書けない…LD・SLD(限局性学習症)の可能性は?チェックポイント

ひらがなの習得には個人差があります。しかし、それでも発達の目安や同年代の子どもと大きく違っていると心配になる方もいるでしょう。

文字を書かない、または間違いが多い理由の一つとしてLD・SLD(限局性学習症)がある可能性があります。LDとは、読み、書き、計算など特定の分野の学習のみが非常に苦手な発達障害のことです。学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。

LD・SLD(限局性学習症)の可能性があるかのチェックポイントをご紹介します。

【LD・SLD(限局性学習症)かも? チェックポイント】
・文字に関心が薄い(例:絵本を見ていても、質問したり文字を追ったりしない)
・単語の発音を正確に言えないことがある(例:「クリスマス→クスリマス、クスリスマス」のように、音の順番の変化や数の増減などが見られる)
・「ことばを一音ずつに分解して一つの動作と対応させるような遊び」ができない(例:ことばを言いながら、一音ごとに一歩ずつ移動したり、手を叩いたり、すごろくのコマを進めたりといった遊び)
・歌の歌詞がなかなか覚えられない
・文字を書くことを嫌がる、または関心がない

このチェックは簡易なものなので、これだけでLD・SLD(限局性学習症)と判断することはできません。当てはまる項目があり、不安な方は以下の相談機関に問い合わせてみるとよいでしょう。

・かかりつけの小児科
・専門の医療機関(療育センター、児童精神科、小児神経科など)
・市町村保健センター
・子ども家庭支援センター
・児童相談所
・発達障害者支援センター
・児童発達センター

どの機関でも、専門的なスタッフが相談対応にあたり、アドバイスや状況に合わせた別の機関の紹介をしてもらえることもあります。電話での相談が可能な場所もあるため、ホームページを確認してみてください。

まとめ

子どものひらがなへの興味は4歳頃から芽生えることが多いと言われています。興味が芽生えてもすぐに練習帳などを与えるのではなく、まずは土壌づくりとして絵本の読み聞かせやことばを使った遊びを多く取り入れていくとよいでしょう。

また、ひらがなの読み書きができるようになる年齢には個人差が大きいと言われていますが、文字に全く興味を示さないなど気になる様子がある場合は、不安を抱えこまずに専門機関に相談してみましょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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