背番号65から再スタートのオリックス福田周平、データから見える課題と復活の可能性
オフに背番号1を返上した福田周平
パ・リーグ3連覇から5位転落し、岸田護新監督の下で逆襲を期すオリックス。中でも福田周平が2025年に懸ける思いは人一倍強いだろう。
広陵高から明治大、NTT東日本を経て2017年ドラフト3位で入団。167センチと小柄ながら俊足巧打で活躍し、ルーキーイヤーから113試合に出場すると、2年目の2019年には135試合に出場して打率.250、出塁率.342、30盗塁をマークした。
2021年も107試合に出場して打率.275をマークし、チームは25年ぶりのリーグ優勝。2022年も118試合に出場し、2連覇に貢献した。
しかし、2023年はケガもあって自己最少の36試合出場に終わり、2024年も69試合出場で打率.232にとどまった。
オフには背番号1を返上。今年から65番を背負って再スタートを切っている。
ファーストストライク打率が大幅に低下
福田のデータを見ていると、ある事実に気付く。2連覇に貢献した2022年と昨季のファーストストライクへの対応を比較したのが下の表だ。
2022年のファーストストライク打率は.425と高かったが、2024年は打率.235と2割近くも下がっている。スイング率も.327から.202に大きく低下。ただ、コンタクト率は.954から.920とそこまで下がっていないことから、打てなくなったというより、打ちにいっていないと推察できる。
同様の傾向は初球データにも表れている。初球スイング率は2022年の.203から2024年は.148に低下。コンタクト率も.951から.872に下がっている。もちろん、相手投手がボール球から入ってくる場合もあるとはいえ、初球から積極的に打ちにいく姿勢が見られなくなっているのだ。
課題はスピードボールへの対応と積極性
さらにもうひとつ気になるのが速球への対応。近年は投手が急激にレベルアップし、平均球速が150キロを超える投手も珍しくない。逆に打者は2024年のパ・リーグで打率3割を超えたのがソフトバンクの近藤健介のみで、投高打低が顕著だ。
福田は140キロ以上の投球に対して、2022年は打率.276だったが、2024年は.198に低下。150キロ以上に限れば.227から.042と大きく下げている。
それと比例するように、逆方向の打球割合は32.9%から38.3%に増加している。狙って流し打ちしているというより、速球に振り遅れて引っ張れていないのではないか。
投手の基本がストレートであるのと同じように、打者も速いストレートを弾き返すのが打撃の基本だ。スピードボールへの対応は簡単ではないかもしれないが、福田はまだ32歳と老け込む年齢ではない。
外野は西川龍馬、中川圭太、杉本裕太郎と強打者が並び、ドラフト1位の麦谷祐介(富士大)も加入。ポジション争いは熾烈を極めている。 それでも福田が速球への対応力を上げ、ファーストストライクから積極的に振っていく姿勢を取り戻せば、復活も不可能ではないはず。背番号65からの再出発はこれからが本番だ。
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記事:SPAIA編集部