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DER ZIBET、40周年。ISSAYが遺した歌を元に制作したラストアルバム記念ライブに豪華ミュージシャン集結

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『DER ZIBET 40th anniversary LIVE ~Period~』

10月1日に高円寺HIGHで開催された『DER ZIBET 40th anniversary LIVE ~Period~』のオフィシャルレポートが到着した。

DER ZIBETのデビュー40周年とその歴史に終止符を打つアルバム『句点~Period~』のリリース記念ライブ『DER ZIBET 40th anniversary LIVE ~Period~』が10月1日に高円寺HIGHで開催された。

ボーカルのISSAYが2023年8月5日に他界し、追悼の想いを込めて翌年の7月にリリースされたのがトリビュートアルバム『ISSAY gave life to FLOWERS – a tribute to Der Zibet -』。多くのアーティストに影響を与えたボーカリストの突然の悲報は今も胸に刺さったままだが、かなり前からDER ZIBETは40周年に向けて、アルバムの準備を着々と進めていたという。プリプロ段階だったISSAYの歌詞とボーカルを元にHIKARU(Gt)が中心となり、MAHITO(Key)やトリビュートに参加したちわきまゆみや宙也(アレルギー / De-LAX / LOOPUS / 極東ファロスキッカー) 、ベーシストのJUN (Valentine D.C.)、ギタリストの米澤 誠一朗 (ex. Lynx / W.A.R.P. / Mother Goose)、ドラマーのMOTOKATSU(ex.THE MAD CAPSULE MARKETS)などDER ZIBETと交流の深いミュージシャンの協力を得て完成したのが最新作にして区切りとなるアルバム。ライブでは10月22日のリリースに先駆けて『句点~Period~』が会場で先行発売された。

DER ZIBETを愛するメンバーたちが集結したライブは一部、二部制。一部ではスクリーンにアルバムのジャケットから派生したアートワークが映し出され、新曲7曲がダイジェストでいち早くファンに届けられた。そして、ステージにHIKARUとちわきまゆみが登場し、アルバムについてのトークセッション。制作途中だったアルバムの楽曲たちをどうするか葛藤していたHIKARUを音源化に踏み切らせたのは“期せずしてトリビュート・アルバムの記念ライブを仕切り、参加することになったからだ”というエピソードや、タイトルはいつもISSAYと飲みながら話す中で生まれていたこと。「ISSAYなら漢字を使うだろうな」と“句点”という言葉を選んだことなどが明かされた。

インターバルを挟んでいよいよライブ本編がスタート。二部では1985年の10月1日にシングル「待つ歌」でデビューしたDER ZIBETの40周年を祝うアクトが繰り広げられた。HIKARU、MAHITO以外の楽器陣は米澤誠一朗、JUN、MOTOKATSU。ボーカリストとして今回のライブの仕掛け人でもある宙也、DER ZIBETとはデビュー前からの付き合いのちわきまゆみ、かつてHIKARUが作品をプロデュースしたValentine D.CのKen-ichiが参加した。

楽器陣が定位置につき、ボーカリストとして最初にステージに登場したのは宙也。ライブはセカンドシングルで16ビートのダンスナンバー「Girls」で幕を開けた。ステージに後期にISSAYがパフォーマンスで使用していた仮面と深紅の薔薇が置かれる中、DER ZIBETが残したセンスと才気溢れる楽曲たちが高いスキルと表現力を合わせ持つメンバーたちによって次々に披露されていくライブは“スペシャル”という言葉では言い表せないほど贅沢な時間だった。
特に3者3様の個性で魅せたボーカリストたちはISSAY不在のポジションを背負うプレッシャーを昇華するアクトで、集まったファンの心を解放する役割を果たしていた。
宙也は演劇的なパフォーマンスで“キング・オブ・デカダンス”と形容されたISSAYのダークサイドの真骨頂とも言える「Der Rhein」を異世界に連れていくような表現力で歌いきったと思えば、「青空」や「約束の海辺」といった透明感と切なさがあるメロディックな曲を繊細に丁寧に届けていく。それはまるでISSAYと深いところで溶け合っているような感覚を覚える歌であり、ステージングだった。

DER ZIBETと同期であり、同じくデビュー40周年を迎えたちわきまゆみは、後期の楽曲の中で艶やかで眩い光を放っていた「月下美人」を披露。夜に咲く花のような華やかさ、グラマラスな色気は性別を超えてISSAYと通じるものがあり、トリビュートアルバムに収録され、アップデートされた「沈みたい」も届けられた。

そして、Ken-ichiは「灯りを消して」などDER ZIBETの中では比較的、ストレートなアレンジのラヴソングや「天国へOver Drive」、「深海魚」など、ドーパミンが溢れ出るサイバーでアッパーなナンバーをパワフルでエモーショナルなボーカルで引っ張っていき、場内の熱を上げていった。

それぞれがソロで歌う曲もあれば、ちわきがコーラスをとる曲もあり、アニヴァーサリーならではの構成で楽しませた。

そして、この3人が身を委ねられるメンバーのプレイはDER ZIBETの2人にとってはオリジナル曲だとしても、恐るべき対応力。情感豊かでフレーズのセンスが光るMAHITO、HIKARUとの息もピッタリな米澤の緻密にして熱いギター、押し引きが絶妙なJUNのベース、タイトで無駄がなく楽曲を押し上げていくMOTOKATSUのドラミングはもはや、バンドに近いぐらい阿吽の呼吸に達していた。

本編のラストナンバーでは宙也が真っ白な衣装に着替えて登場。改めて40周年を祝う言葉を伝えた後、HIKARUとのレアなやりとりが繰り広げられた。
「ISSAYから“もうすぐ40年なんだよね”って数年前に聞いていて、“何かやらないの?”って聞いたら“うーん”って言ったままだったので、やれてよかった。まさか40周年にアルバムまで完成するなんて、何てサプライズ」_宙也
「宙也が勝手に今回のライブを決めてきたんだよ。じゃあ、アルバム出さなきゃなって、ちょっとケツ叩かれた感じ」_HIKARU
そして宙也の「こちらからのサプライズ」という合図でステージに運びこまれたのは40周年を記念したスペシャルケーキ。歓声の中、スマホの撮影タイムが設けられた。

「HIKARU、MAHITO、MAYUMI、HAL、そしてISSAY。心を込めて、敬意を込めて」と前置きして歌われたのはちわきとKen-ichiがコーラスで参加した「待つ歌」。普遍の輝きを持つ歌と演奏が場内を浄化するように響いた。

熱い声援に応えてのアンコールではDER ZIBETを担い、色彩豊かな素晴らしいプレイで魅了したHIKARUが自ら口を開いた。
「まさか、こういうライブができると思わなくて、宙也とメンバーとスタッフに感謝です。アルバムが間に合ってよかったです」。
HIKARUがメンバーを紹介し、披露されたのは完成したばかりのアルバムの中からの新曲「月の小径」。スクリーンには地球滞在期間を終えたISSAYの姿を思わせる美しいアートワークが映し出され、ISSAYの歌声が中心に響く中、宙也とちわき、Ken-ichiのコーラス、メンバーの演奏が加わっていく演出は、集まったファンを感涙させた。

そして、涙を吹き飛ばすように最後に投下されたたのはライブの定番曲だったジャングルビートのぶっ飛んだナンバー「マンモスの夜」。

このようなライブが実現できたのはHIKARUも伝えていた通り、参加メンバーの熱く深い想いがあってこそだろう。DER ZIBETへのリスペクトと愛が溢れ出る歌と演奏が何より、そのことを物語っていた。

文=山本弘子

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