【京都ぶらり】琵琶湖疏水を歩く散策道『そすいさんぽ』☆鴨川~山科~滋賀大津【前編】
汁物大好きな三杯目 J Soup Brothersです!FU~FU~☆彡今回は最近整備された琵琶湖疏水を歩く『そすいさんぽ』。新たな観光スポットとして今注目!今回は3コースの一つ、鴨川から琵琶湖までのコースを前後編に編集し、その前編。
鴨川から岡崎、山科へと続く琵琶湖疏水をたどるコース☆前編
京都市と滋賀県大津市を結び、明治時代に整備され、水運、電力など近代産業の発展に寄与した水路『琵琶湖疏水』。今も地元民の暮しに寄り添い、疏水沿い散策道は四季折々でその景観を楽しめる憩いのスポットでもあります。
文化庁所管で、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」と認定する取り組み。この琵琶湖疏水も日本遺産に認定されていて、その沿線を歩いて楽しむ散策道『そすいさんぽ』も、そんな取り組みの一環で2023年に整備。
そすいさんぽコースは「大津-鴨川コース」「鴨川運河コース」「疏水分線コース」で全3種類あり、概要は以下に。
①大津-鴨川コース:琵琶湖から山科、蹴上、岡崎を経て、鴨川までの12.5㎞
②鴨川運河コース :鴨川から南下し、深草、伏見を経て宇治川までの12.6㎞
③疏水分線コース :蹴上から哲学の道、松ケ崎を経て堀川通までの9.7㎞
※かつての疏水や疏水が合流している濠川などを含む全34.8㎞
コースのところどころでマップや距離標示もありますが、より迷うことなく歩くために、QRコードでコースをダウンロードすることもできます。
前回はその3コースのうちの②鴨川運河コースをめぐりました。→ https://kyotopi.jp/articles/BZaBJ
今回は別のコース、琵琶湖~山科~蹴上~岡崎を経て、鴨川をたどる①『大津-鴨川コース』を散歩することに。そして、本来は琵琶湖からのスタートですが逆行して鴨川から琵琶湖をめざし、さらに2日にまたがるため前後編に編集。今回はその前編。
冷泉放水口周辺からスタート。その脇には鴨川が流れています。
そこから冷泉通を東へ進むと見えてくる、琵琶湖疏水ならではの関連施設。レンガ造りのレトロな風情が印象的な建物『夷川発電所(夷川ダム)』。
第二琵琶湖疏水完成に伴い、大正3年(1914年)に運転を開始した水力発電所で、1992~1993年には水車および発電機を交換しつつ、2017年以降は関西電力・水力発電所として現役稼働中。
2001年には日本の歴史的建造物の中でも、土木系に特化した土木学会選奨土木遺産に認定された建物。
さらに聖護院エリアから岡崎エリアへ。
平安神宮や文化施設が集中するエリア。その周辺を疏水が流れ、春には周囲の桜並木を愛でながら運行する遊覧船『岡崎さくら回廊十石舟めぐり』も楽しめます。
疏水対岸には『京都市動物園』や『琵琶湖疏水記念館』も。
そこから『蹴上インクライン』へ。
明治24年(1891年)に琵琶湖疏水の一部として建設され、昭和23年(1948年)まで使用されていた歴史的な傾斜鉄道。全長約582メートルあり、当時の世界最長インクラインと伝わっています。春には多くに観光客が線路上を歩きながら桜を鑑賞する人気スポット。
地下鉄蹴上駅からすぐの場所にある、レトロなレンガ造建築トンネル『ねじりまんぽ』。
アーチ部を斜めにねじって積まれる構造のトンネル「斜拱渠(しゃきょうきょ)」のことを指し、コンクリート構造物が発達する大正時代以前に建てられた歴史的建造物。渦を巻いたように積まれたレンガがアーチ状トンネルになっており、関西では旧国鉄東海道本線の敷設工事などで見られる工法ですが、鉄道以外の場所で見られるのは希少。トンネル自体を斜めに通内し壁のレンガをらせん状にすることによって、上部を走行する台車の重みにも耐えうるような構造上の強度が増すんだとか。
そこからさらに東、旧東海道、旧三条通経由で山科方面へ。このあたりの距離標示は電柱に貼られているので見落としがち要注意。
その途中の石碑『日ノ岡宝塔』。
この途中にある九条山辺り、江戸時代まで京都最大級刑場「粟田口刑場」があった場所で、そこで処刑された罪人の供養塔。昭和14年(1939年)に建立。
旧三条通から一旦疏水寄りの住宅街へ。ここからちょっとわかりづらいルートですが、傾斜を上って行けば疏水にぶち当たります。
疏水沿いに向かうスロープ。
疏水に合流しますが、一旦疏水の名所・第3トンネルに向かって逆行します。
疏水に架かる、明治建築の日本初鉄筋コンクリート橋、さらに橋のすぐ西側には第3トンネルが口を開けています。トンネル上の扁額には第4・6代内閣総理大臣だった松方正義作『過雨看松色』と書かれています。時雨がすぎると、一段と鮮やかな松の緑をみることができる、という意味。
そすいさんぽでは、こうした疏水トンネルの扁額バリエーションを楽しむのも醍醐味の一つ。
第3トンネルからターンして琵琶湖へ向かって進みます。
左手には、新山科浄水場取水池として利用されている一角にある『日ノ岡船溜(ひのおかふなだまり)跡』。かつての疏水を行き交う船の停泊場所。
さらに第2トンネル出口が登場しますが、ここからは一旦また住宅街にもどり、再度遊歩道に戻るルートになっています。
そしてまた疏水沿い遊歩道に復帰すると登場する、モダニズム建築先駆けの住宅『栗原邸』。国の登録有形文化財に登録。
京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)校長を務めた染色家の鶴巻鶴一の邸宅として1929年に建設。設計者は同校教授であった建築家・本野精吾(1882-1944)。当時最先端の工法「中村式鉄筋コンクリート建築」による特殊なコンクリートブロックで建てられた、合理性を追及したモダニズム建築。
神社仏閣へ続く朱色の橋も疏水に架かり、エモい風景。
今まで1㎞刻みだった距離標示がなぜか『7.3㎞』て、なんでこんな刻むの?と。
ちょうどこの右手が『天智天皇陵』の裏手。ここに設置叶わず、手前に標示することになったのが理由みたいです。宮内庁と文化庁で省庁間調整つかなかったのか(笑)
この遊歩道は、そすいさんぽコースであり、ランニングコースにもなっています。
作家・村上春樹のお気に入りのランニングコースとも言わています。この場所も桜並木が続き、春には桜の名所としても知られています。
その途中にある高野山真言宗の仏教寺院『安祥寺』。嘉祥元年(848年)、仁明天皇女御で文徳天皇の母・藤原順子の発願により、入唐僧・恵運によって創建。普段は非公開寺院ですが、特別拝観も実施され、珍しい秘仏も。
今回はここまで。さらに後編でここから琵琶湖を目指します!
マップ
詳細情報:https://biwakososui.city.kyoto.lg.jp/episode/detail/47