国産4種の煮干し×3種の醤油の香り高いスープ「煮干し中華そば」【二星製麺所】打ちたて自家製麺のラーメン店 魚津サバ寿司名店の味を再現も
日本の国民食とも呼ばれるラーメン。オーソドックスな鶏ガラだしと醤油ダレをベースにした中華そばやご当地ラーメン、安くておいしいものから高級路線など、味もジャンルも幅広く独自の進化を遂げてきました。
なかでも近年のトレンドとなっているのが、魚介系ラーメン。煮干しやかつお節、サバ節、昆布など、魚介からとった“だし”のうま味を十分に引き出したスープは、和食のだし文化にも通じる繊細さがあり、脂も少なめで罪悪感なく食べることができます。
今回は、そんな煮干しのスープと打ちたての自家製麺にこだわる魚津のラーメン店「二星製麺所」を紹介します。
煮干しと打ちたて自家製麺にこだわり 「二星製麺所」
さっそくですが、店名の「二星製麺所」。なんて読むか、わかりますか?
“二星”、こう書いて「にぼし」と読むんです。
「店名を考えていたときに、煮干しラーメン…にぼしの文字が頭のなかを駆け巡って、“二星”という漢字が降りてきました」
経緯を教えてくれたのは、店を運営するシーキュービックの鬼原潤社長。
黒部市で二郎系ラーメンの店「麺家なると」も手掛けている鬼原さんは無類のラーメン好き。「二郎系とはまったく違うジャンルのラーメンを作りたい」と試行錯誤の末、たどり着いたのが、素材のおいしさにこだわった煮干しラーメンだったと言います。
大型ショッピングセンター内で気軽にラーメンを味わえる
「二星製麺所」が店を構えるのは、多くの家族連れでにぎわう魚津市のMEGA ドン・キホーテUNY 魚津店の1階。
深みのあるオレンジの壁には、「煮干」と「二星」の大きな文字。そして自家製麺ののぼりが目に飛び込んできます。
落ち着いた色調の店内には、カウンター席とテーブル席が設けられています。
ベビーカーもゆったりと通れる広い空間で、テーブルに横づけして一緒に食事も楽しめるそう。家族連れにはうれしいポイントです。
国産4種類の煮干し×3種の醤油 「氷見煮干し中華そば」
国産の鶏ガラをベースにしたスープに合わせる煮干しダシには、氷見産の片口鰯の煮干しを中心に、国産の4種類の煮干しを使用します。最初は水出しでうまみを抽出し、そのあとゆっくりと時間をかけてエキスを煮出しています。
カエシには、小矢部市で100年近くにわたって醤油や味噌を作り続けている畑醸造の醤油をベースに、白醤油と濃口醤油の3種類をブレンドしたもの。
複数のこだわり食材を使って丁寧に作ったスープは透明感があり、口に含むと香り高い煮干しの風味と醤油の甘みがふわっと広がります。味も香りも強すぎることはないので、うまみをしっかりと感じながらノドの奥のほうへスーッと浸み込んでいくような、やさしいスープです。
麺は毎日打ちたて 黒部の名水を使った自家製麺
自家製麺は、名水の誉れ高い黒部の湧水を使って毎日打ちたてのものを使用しています。
「煮干しスープには、全粒粉のストレート細麺を合わせています。加水はちょっと低めで、パツッとした麺に仕上げました」(鬼原さん)
小麦の香りもしっかり感じられる細麺は煮干しの風味をしっかりまとい、お互いのよさを引き出してくれます。
鬼原さんがこだわった麺の食感も、納得のもの。ズズッっとすするたびに軽やかに舌の上を踊るような心地よい弾力です。
弱火で3時間ほど煮込んでいるというチャーシューは厚みがあり、満足感があります。
箸で持ち上げるのも大変などほどトロトロで、スープに浮かんだみじん切りのタマネギがほどよい脂と肉のうま味をよりいっそう引き立ててくれます。
1日限定40食! 強火で煮込んだエキスが凝縮「限定濃厚煮干しそば」
そして、鬼原さんの煮干し愛をさらに感じられる1杯が、「濃厚煮干しそば」。
「鶏白湯を作って、その中に煮干しを大量に入れ、強火で4時間ほど煮込むと、最初にあったスープが半分くらいになります。1日40食しか提供できないこだわりのスープです」(鬼原さん)
ドロッとしたスープは、煮干しをそのまま砕いたかのような濃厚さですが、臭みはまったくありません。
煮干しラーメンというと「和」なイメージを思い浮かべますが、不思議とこちらは「洋」のテイストを感じる風味。とろみのあるスープは飲むというより食べる感覚に近く、ストレートの細麺に絡めて食べると、さながらパスタを食べているような気分です。
「市外からわざわざ食べにこられる濃厚系が好きな人、結構いますね」(店員さん)
魚津で半世紀親しまれた名店の味を再現「サバの押し寿司」
鬼原さんが並々ならぬ情熱を注いだ1品は、サイドメニューにも。
それが、かつて魚津市で半世紀にわたって親しまれながら2023年に閉店した「志むら乃寿司」の味を再現したという「サバの押し寿司」です。
「サバの押し寿司は魚津や黒部など新川地域を中心に親しまれた郷土料理で、『志むら乃寿司の押し寿司』は名物でした。その味を残していきたいという想いを伝えて、作り方や食材、専用の木桶なども引き継がせてもらいました。『志むら乃寿司』で働いていたスタッフに作ってもらっていて、完全再現できたと思っています」(鬼原さん)
「志むら乃寿司」のサバの押し寿司は、〆サバの切り身ではなく、焼いたサバのほぐした身を酢飯で挟み込むのが特徴。てっぺんに板海苔がのせてあって、見た目はまるで海苔弁当です。
海苔の風味、酸味の効いたシャリと焼きサバのほぐし身は三位一体で、噛めば噛むほど、米やサバのうま味が口いっぱいに広がります。
新川地区伝統の味は煮干しスープとの相性も◎。煮干しラーメンはハーフサイズもあるので、ボリュームに自信がない人も安心です。
ラーメン目当てに訪れるのはもちろん、ショッピングのついでなどに気軽に立ち寄っても満足できそうですね。
【二星製麺所】
住所 富山県魚津市住吉600MEGAドン・キホーテUNY魚津店1階
営業時間 11:00~21:00
定休日 12月31日、1月1日