「自社開発したいのに内定が出ない…」そんなときにやるべき頭の整理とは?
澤円の「モヤモヤ言語化ラボ」
皆さんこんにちは、澤です。
今月から連載をリニューアルすることになりました!
ずばり、連載タイトルは
悩みもニュースも、言葉にしてスッキリ
澤円の「モヤモヤ言語化ラボ」
エンジニア読者のみなさんが仕事やキャリア、働き方でモヤモヤ悩みがちなことをはじめ、
時には気になるニュースを言葉にして、頭の中の情報整理をお手伝いしてみたいと思います。
では早速、初回の相談にいってみましょう。
相談内容
今SESで働いてるんですが、将来的には自社プロダクトを持ってる会社に転職して、ちゃんと自社開発に関わりたいと思ってます。
ただ、正直「このプロダクトの開発に携わりたい!」って思える会社からは全然内定が出なくて……。 逆に、そこまで興味を持てない事業会社からは内定がもらえることもあります。
こういう場合って、興味がある会社は一旦諦めてでも、とりあえず「自社プロダクト開発」に関われる会社に行ったほうがいいんでしょうか?
まず、SESとは何か。言語化してみる
ふむふむ。
こういう悩みを持っているITエンジニアの方、少なくなさそうです。
まずは、SESの仕事環境をいったん“言語化”して整理してみましょう。
日本は、いわゆるシステムインテグレーター(=SIer)と呼ばれる、顧客からの要望を受けてシステム開発・運用を行う会社があります。自社製品ではなく、あくまでも顧客の要望に従ってシステム開発するというスタイルですね。
SES、すなわちシステムエンジニアリングサービスを行う会社は、このSIerの受けた開発案件を二次請けの形で受託することが多く、「作るものが決まっている」という状況で開発をするのが主体になります。相談者さんの言うように「自社プロダクトを開発」という状態とは、全く違う状態での開発作業になります。
相談者さんとしては、「SIerが受けてきたどこかの顧客のシステムを作るより、社員同士でアイディアを出し合って自社プロダクト開発をする方が魅力的である」ということでしょう。
うん、気持ちはめちゃくちゃ分かります。
その方がずっと楽しそうな印象を持ちますよね。
そして、「このプロダクトの開発に関わりたい!」と思って面接を受けてもなかなか内定が出ないとのこと。
でも、興味は持てない会社からは内定が出ているということなので、エンジニアとしての実力が全然ないというわけではなさそうですね。会社によってはしっかり評価されるだけの経験と実績をお持ちであることが垣間見えます。
さて、どうすればいいでしょうか??
SESと自社開発の決定的な差
ここでちょっと気になったことをいくつか挙げてみましょう。
「自社プロダクトの開発」と「SESとしての受託開発」の決定的な差はどこにあると考えているのでしょうか?
もしかして、自社プロダクトの方が自由度高く開発ができると思っている?
あるいは、製品仕様の意思決定に深く関われると思っている?
開発したプロダクトが稼働しているのをみて、高い満足感が得られると思っている?
この辺りを“言語化”して、自分が何にワクワクして何に違和感を覚えるのかを言葉にしてみると、進む方向がクリアになると思います。相談の文章だけでは、「なぜ自社プロダクトを開発したいのか」を十分に読み取ることはできません。
もしかしたら、確固たる何かしらの意識がおありなのかもしれないので、まずその気持ちとしっかり向き合うこと。その上で、「本当にそれが実現できるのか」を自分に問いかけてみることが大事だと思います。
自社プロダクトを持っている会社も、全てを社員が開発するとは限りません。モジュールを細分化して、アウトソースしている場合もあるでしょう。そうなると、プロダクトを持っている会社の人は、プロジェクトマネジメントが主な業務になり、「開発をしている」という実感を得られない可能性もあります。
プロダクトだけに目が向いていると、実際に行う業務とのギャップに驚くなんてことが起きるかもしれません。
また、現時点では魅力的なプロダクトを持っていない会社であっても、将来的には面白いプロダクト開発をし始めないとも限りません。あるいは、あえて相談者さんがその会社に入ることによって、「面白いプロダクト開発」の原動力になることもできるかもしれません。
内定をもらえることもある、ということは「自社に入って活躍してほしい」という意思表示でもあるわけで、入った後で存在感を高めて「面白いプロダクト開発をする」という中心人物になるのはどうでしょう。
相談の文面からは、「面白い仕事を誰かから与えてもらう」というマインドセットを感じてしまいました。
別にそれは悪いことではないんですけれど、与えられるのを待っている人のところには、本当に望む形のチャンスがやってくる可能性は高くないと思います。
むしろ、自分からガンガン取りに行く人、あるいは自分で作り出す人のところにチャンスというのはよって行きやすいと思うのです。現時点では面白いプロダクトを作ってない会社であっても、自分が入社することで変貌を遂げるかもしれませんからね。
究極の選択肢だってナシじゃない
もう一つ、究極の選択として「自分で面白いプロダクトを持つ会社を作る」という方法もあります。
その一例として、YouTubeの開発秘話について触れてみましょう。元PayPal社員だったチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジャウド・カリムによって設立されたYouTubeは、元々「自分たちが使いたいサービス」として開発が始まりました。友人が撮った動画をもっと簡単に共有したい、ネット上にある面白い動画を簡単に見つけたい……といった動機から「自分たちで作る」という手段に出ました。
2005年2月にローンチしたものの、1年以上の間は数千回再生/日程度だったそうです。それが、2006年の夏に一気に成長し、1億回再生/日を記録するまでになりました。そして、Googleに買収されて更なる飛躍を遂げたのはもはや説明不要ですね。
ということで、「ないなら自分で作る」というのも選択肢の一つです。
そうしたら、まさに「面白いプロダクト開発」を誰に邪魔されることもなくできます。もちろん、相当なリスクはありますが、一回チャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。あるいは、パートタイムでもいいので起業準備中の友人を、プロダクト開発の面でお手伝いしてみるのもいい経験になります。
「自社プロダクト開発」に関する解像度を思いっきり上げていくことが、まず大事かなと思います。そうしないと、結局SESにありがちな「グリップ感の薄い開発作業」を続けることになりかねません。
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