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文は娘、絵は父 ぬいぐるみ巡る実話基に絵本出版 名張

伊賀タウン情報YOU

出版した本と語り合う山本さん、鈴木さん父娘

「自由な発想、楽しんで」

 三重県名張市桔梗が丘の団体職員、山本美里さん(43)が、熊のぬいぐるみを巡る実話を基にした絵本「トビー」(文芸社)を自費出版した。イラストは近くに住む父親の鈴木孝三さん(75)が手掛けた。

 物語は、夫と紳士服店を訪れた女性が、服のボタンが1つ欠けた熊のぬいぐるみが展示されているのを見つけたことから始まる。店長が奇麗な在庫商品を勧めるが、女性はボタンの欠けたぬいぐるみを求める。作中の女性は、山本さんがモデルとなっている。

 山本さんは、小学生の時から物語を書くのが好きで、大人になってからも趣味で書いた話を時々、学生時代の友人たちに読んでもらっていた。2年ほど前、紳士服店での出来事も友人に送ったところ、「感動した」「泣けた」などと絶賛され、絵本化を勧められたという。

 鈴木さんは若いころから絵を描くのが好きで、電気関係の仕事をする傍ら、「本当はイラストレーターになりたかった」と話したことがあった。山本さんは中学時代に聞いたその話を思い出し、絵を父親に頼むことにした。

妥協せず思い通りに

 鈴木さんは山本さんの文章を熟読して場面を思い浮かべ、岩絵の具と繊細な筆遣いで作品の世界を表現していった。特にぬいぐるみの柔らかい毛並みにはこだわったという。山本さんに確認してもらいながら何度も描き直し、約1年がかりで完成。描いた絵は約1000枚に上った。

 山本さんは「父のおかげで、妥協することなく思い通りの絵本ができた。大人から子どもまで、自由な発想で楽しんで頂けたら」と話した。

 絵本はB5判32ページで1320円。名張市のブックスアルデや伊賀市の岡森書店白鳳店、インターネット通販などで販売している。伊賀・名張両市の図書館にも寄贈したという。

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