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「これって肺炎?」症状や原因、マイコプラズマ肺炎などの特徴【医師監修】

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「これって肺炎?」症状や原因、マイコプラズマ肺炎などの特徴【医師監修】

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

肺炎とはどんな病気? 肺炎が起きる原因は?

肺炎とは、肺胞と呼ばれる肺にある空気の袋やその周辺組織に炎症が起きることで発症する病気です。全世界において、子どもの主な死亡原因ともいわれていますが、日本のような先進国では死亡に至ることはまれです。

肺炎のよくある症状として、咳、発熱、呼吸困難などが挙げられます。肺炎にかかると肺胞内は膿や液体で満たされ、酸素の摂取量が減少し、呼吸時に息苦しさを感じます。

また、肺炎と似ている症状を呈する病気として上気道炎や気管支炎があります。肺炎との違いは、炎症の起きる場所にあります。まず、気道は鼻から始まり、咽頭喉頭(喉の奥~首のあたり)、気管と続きます。気管が枝分かれしたものが気管支であり、何度も何度も枝分かれを繰り返して細い気管支となっていき、最終的には肺胞という酸素と二酸化炭素の交換を行う器官となります。鼻腔、咽頭喉頭までに炎症が生じたものを上気道炎(いわゆる風邪の多く)、気管支に炎症が及んだものを気管支炎、肺胞まで炎症が及んだものを肺炎と呼びます。

肺炎は、呼吸状態が悪化して苦しい状態になっていることもありますし、悪化することで治療が長引いたり入院治療が必要となることもあるので、呼吸が苦しそうだったり、ぐったりしているという場合には、なるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。

肺炎は原因となる病原体によって、主に以下のように分類されます。

・ウイルス性肺炎
・細菌性肺炎
・非定型肺炎

ウイルス性肺炎とは、何らかのウイルスに感染することによって発症する肺炎のことです。肺炎を起こす主なウイルスはRSウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルスなどがあります。

細菌性肺炎とは細菌感染により生じる肺炎のことです。主な細菌としては、肺炎球菌やHib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)などが挙げられます。

ウイルス性肺炎を単独で発症することもあれば、細菌にも感染して細菌性肺炎を併発することもあります。

非定型肺炎は、ウイルスとも細菌とも違う病原体で生じる肺炎のことです。マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎などが該当します。

そのほかにも、食べ物などの誤嚥(本来気管に入ってはいけないものが入ること)で起きる誤嚥性肺炎、有機物の粉塵や化学物質を繰り返し吸い込んだことによるアレルギー反応により引き起こされる過敏性肺炎、「間質」と呼ばれる肺胞の壁に炎症が生じる間質性肺炎などが存在しますが、小児では後者2つはまれです。

肺炎はうつる?肺炎の初期症状、診断方法、子どもに多いマイコプラズマ肺炎の特徴は?

肺炎を引き起こした病原体の種類によっては、人にうつるものもあります。感染経路はさまざまありますが、主な感染経路は、感染者がくしゃみや咳をすることで発生する飛沫によるものです。ウイルスや細菌を吸い込むことで感染します。

典型的な症状は、咳、痰、発熱、胸痛、ぐったりしている、呼吸困難、多呼吸、食事量の低下などがあります。全てがみられるとは限りません。

小児の場合には、胸郭が薄くやわらかいため、大人に比べて呼吸の状態を目で見て判断しやすいです。呼吸状態が悪い場合(苦しい場合)、小児では努力呼吸が顕著になります。例えば、肋骨の下(お腹との境界)や胸骨上窩(胸骨の上、両側の鎖骨の間)がべこべことへこむように呼吸をしたり(陥没呼吸)、お腹を動かして呼吸をしたり(腹式呼吸)、といったことがみられるようになります。洋服の上からでは分かりにくいことも多いので、呼吸状態を確認する時には、上半身を裸にしてみてあげてください。普段の呼吸状態を時々観察しておいて、比較をすると分かりやすいかもしれません。また、呼吸の数も普段より多くなります。

乳児の場合、肺炎が重症化すると低体温、痙攣といった症状が生じるリスクもあるとされています。

肺炎の診断には、視診(努力呼吸や呼吸数)、聴診、酸素飽和度の値、胸部X線検査、胸部CTスキャンなどが参考になります。多くの場合、診察所見と胸部X線検査によって診断に至りますが、場合によっては胸部CTスキャンを行うこともあります。

肺炎の種類の中に、子どもの発症が多いといわれるマイコプラズマ肺炎があります。

マイコプラズマ肺炎は「肺炎マイコプラズマ」という名の微生物に感染することによって生じる肺炎のことです。患者のうち80%程度が14歳以下の子どもというのが特徴の一つです。通年見られますが、冬にはやや増加するという特徴もあります。

マイコプラズマ肺炎は咳や頭痛、発熱、だるさなどの症状がよく見られ、熱が下がっても咳は3~4週間続くことが多いといわれています。マイコプラズマに感染しても気管支炎ですむことも多いですが、中には肺炎まで進行し重症化する場合もあります。

治療にはマイコプラズマに効果のあるマクロライド系などの抗菌薬が用いられます。近年抗菌薬がきかない耐性菌も増えてきていますが、その場合もほかの種類の抗菌薬に変更して治療を行うことが可能である場合が多いです。基本的に症状は軽いことが多いですが、重症化した場合には入院治療を行います。呼吸が苦しそう、食事がとれていない、発熱が続くなど心配な点があれば医療機関に伝えるようにしましょう。

肺炎の予防法は? かかったら、どのくらいで治る? 治療に使われる薬や、入院の目安

肺炎は日常生活や予防接種である程度予防することができます。

主なものとしては、

・外出から帰ったときは手洗いをしっかりする
・家族で咳をしている人がいるときはマスクをする
・咳をしている人と別の部屋で過ごす
・大人の場合は禁煙をする
・ワクチンを接種する

などです。

ワクチン接種は肺炎そのものを予防するというより、百日咳やインフルエンザなど、合併症として肺炎を引き起こす可能性がある病気を予防するものが多くなっています。子どもが受けることのできるワクチンは積極的に接種していくといいでしょう。

細菌による肺炎の治療では抗菌薬を使った治療を行います。比較的軽症の場合は、飲み薬で自宅で治療できることも多いですが、重症化した場合には入院して酸素投与や点滴での抗菌薬投与が行われることもあります。入院治療では数日で呼吸状態が改善し、1週間程度で退院という流れが多いですが、長期化することもあります。

また、ウイルスによる肺炎の場合は抗菌薬は効果がありませんが、細菌とウイルスに同時に感染していることも考えられるため、抗菌薬が処方されることもあります。

長引く咳や胸の痛みや息苦しさなど気になる症状がある場合は、医療機関の受診を

肺炎はさまざまな原因で肺胞やその周辺組織に炎症が起きることで発症する病気です。咳、痰、発熱、努力呼吸、多呼吸などの症状があらわれます。

治療は肺炎の原因によっても変わってきますが、細菌が原因の場合は抗菌薬を使った治療が行われます。軽症の場合は飲み薬による治療ですが、重症化した際は入院治療を行う必要も出てきます。

日常的な手洗いやワクチン接種などの予防法がありますが、万が一呼吸が苦しそう、食事がとれていない、発熱が続く、ぐったりしているなどの気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。

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