The Game Awards 2024にて全3部門を受賞、初の大規模展覧会 『メタファー:リファンタジオ展』レポート
象徴と隠喩に満ちたアトラスの完全新作ファンタジーRPG『メタファー:リファンタジオ』の世界が展覧会になった。本展覧会は2025年7月10日(木)から8月30日(日)まで、大阪・なんばパークスミュージアムにて開催される。今回は大阪会場に先がけ、去る3月23日(日)まで東京・天王洲アイルの寺田倉庫B&C HALLにて開催されていた『メタファー:リファンタジオ展』の鑑賞レポートをお届けする。大阪開催に向けて、会場に見事に再現された作品世界へと思いを馳せてみてほしい。
『メタファー:リファンタジオ』は『真・女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズなど、多くのRPGを生み出したアトラスが贈る新作ファンタジーRPG。The Game Awards 2024では全6部門にノミネートされ、「BEST RPG」「BEST ART DIRECTION」「BEST NARRATIVE」部門において「もっとも優れたゲーム」として表彰されるなど、世界中から大きな注目を集めた。
本展はそんな『メタファー』にとって初となる大規模な展覧会。美麗なアートワークや作品世界を再現したフォトスポット、貴重な制作資料などが一堂に展示されるほか、展覧会オリジナルアイテムなどを購入できる併設ショップも魅力のひとつだ。
愛と気合いの滲むフォトスポットたち
展覧会冒頭でまず度肝を抜かれるのは、巨大シーカーのフォトスポットだ。全長は約3.5m。たなびくマントの躍動感も、手元の覚醒器の作り込みも細やかで、グッと作品世界に引き込まれる。
さらに一歩進むと、そこは智の殿堂「アカデメイア」をイメージしたフォトスポット。あたり一帯にはもちろんアカデメイアの荘厳なBGMが流れている。モア役の声優・子安武人による新録ボイスで「やあ……」と話しかけてもらえるのも嬉しい。
本展では数多くのフォトスポットが用意されているが、中でも“なりきり型”のものが凝っていて面白い。例えばこちらは、王都の風景をバックにした「太刀乗り」のフォトスポットだ。剣の上の足跡マークに合わせて立てば、街中を走っているかのような写真を撮ることができる。土煙のパネルがアクリル製なので、写真になるとなかなかリアルに写るのだ。
あなたの推しは誰ですか?
続いて、『メタファー』の個性豊かなキャラクターたちを紹介するパートへ。各キャラクターのイラストと解説が一体になった立ち絵・横顔・解説パネルが一体になった三角柱がキャラごとに用意されているので、ぐるぐる回りながら進んでいこう。ちなみに、周囲の壁面に展示されているのは各アーキタイプの全身像だ。
キャラクター紹介はパーティーメンバーに限らず、支援者や敵キャラも一部解説されている。解説部分にキャラクターデザイナーからのコメントが添えられているものもあり、デザインコンセプトや誕生秘話などを知ることができてニヤニヤしてしまう。
選挙ポスターの掲示板のように、候補者たちの張り紙を集めた展示も。海外ポスターをモチーフにしたという1枚ごとの見応えに加えて、注目してほしいのは貼り方である。よく見ると右手のギドのポスターが破られているところとか、最上段のルイのポスターが歪んでいるなど、眺めているだけで、何となく街の雰囲気が想像できて面白い。
メタファー美術館へようこそ
それではここで、「キャラクター」と「ワールド」のセクションで見つけた、華麗なるメタファー美術の一部をご紹介しよう。
プレイヤーなら誰もがお世話になったはずの、ルイ様の大肖像画。ちなみに壁からは外れない。
マリアにあげた絵をいっぱい飾った、「蜜蜂のささやき亭」の壁も完全再現! ニューラスの風景画はぜひ集めて展示してほしいと期待していたけれど、まさかこの形でリアルに再現してもらえるなんて。個人的にものすごくテンションの上がったポイントである。ここはフォトスポットになっているので一緒に撮影も可能だ。
そしてもちろん、旅で訪れる各地のコンセプトアートもクリエイターコメントとともにじっくりと堪能できる。見ていけば自然と、そこで出会った人たちの顔や音楽、食べ物などが思い起こされるだろう。
憧れの鎧戦車に乗れる!
旅の思い出を振り返っているところへ、少しずつ聞こえてくる勇ましいBGM。会場奥で待っているのは、本展のハイライトのひとつ「鎧戦車」の再現エリアだ。
リアルに再現された窓の向こうの景色はすごいスピードで後方へ流れ去っていき、鎧戦車の速度が体感できるようになっている。じっと見ていると、BGMも相まって心地よい揺れまで感じられそうだ。
円卓の一番奥の席には、実際に座ることが可能。仲間と地図を広げて作戦会議をしているような、没入感のある展示だった。
どの壁面も見逃せない
このあとは2階展示エリアへ。移動する両サイドに「ニンゲン」がたくさんいるのでご注意を。気持ち悪い〜、と思いつつ、ついじっくり見てしまう。ああ、これぞメタファー。
1階奥にあるメッセージコーナーでは、CVを担当した声優たちのサインやコメントを発見。第1回キャラクター人気投票の結果を踏まえて、「ストロール1位!」「バジリオ4位!」などの喜びの声も記されていた。
こ、この衣装は!
さて、2階に上がってまず目を奪われるのは衣装だ。こちらは東京ゲームショウ2024オフィシャルコスプレイヤーたちが着用したものだそう。
神はUIにも宿る
奥にはゲーム内の印象的なUI(ユーザーインターフェース)を紐解く展示エリアが。メインメニューからカットイン演出まで、プレイヤーが触れるもの全てに創意工夫が満ちていてスタイリッシュ、それが『メタファー』である。ここでは4つのモニターを通して、開発者コメントとともに各UIの魅力を実感できるようになっている。ゲームの中に、何ひとつ意図されていないものなんて無い。改めてそう感じさせてくれる、胸の熱くなる展示だった。
そして同エリアには、戦闘シーンを再現したなりきり型フォトスポットが用意されている。作中のバトルBGMも流れても流れているし、これはもう、試さずにはいられない。巡回中のスタッフさんにお願いして、シャッターを押してもらった。
おおお、結構サマになっている! そして、すごく嬉しい! やっぱり好きな作品の世界に入り込めるのって幸せである。このフォトスポットは特におすすめなので、ひとりで訪れたとしても諦めず、ぜひ挑戦してみてほしい。
アイデアの源泉に触れる
最後は、キャラクター、エネミー、UIなど、『メタファー』世界に関わる設定資料がドーンと350点以上展示される圧巻のエリアだ。ここで初公開となる資料もあるそうなので、ファンならば隅々まで見逃せない。長い制作年月の中で、残念ながら実現することのなかった初期アイデアの一部も公開されているのだが、それもまた面白いのである。じっくり腰を据えて鑑賞したい、見応えたっぷりのエリアだ。
なお本展は、カーテンで区切られた一部の「シークレットゾーン」を除いて、ストーリーのネタバレが無いよう細心の注意が払われている。『メタファー』未プレイの人も、安心してご鑑賞あれ。
いつも心と手元にメタファーを
思い切り『メタファー』の世界を堪能した後は、ミュージアムショップでグッズをチェック。展覧会パンフレットのほか、アクリルもの、布ものと、豊富に展開していてワクワクする。主要キャラクターのほか、マスコット的存在のホモ・テンタのグッズもたくさんあって可愛い。
本展は、美しい旅を振り返り、創造の背景を知り、ちょっとだけなりきることもできる、大満足の展覧会だ。すべての『メタファー』ファンの皆様に、力強くおすすめしたい。会場に見事に再現された作品世界へを体感しにぜひ会場へと足を運んでもらいたい。『メタファー:リファンタジオ展』は、大阪・なんばパークスミュージアムにて、2025年7月11日(木)から8月30日(日)までの開催。前売り券はイープラスにて発売予定。
(C)ATLUS.(C)SEGA.
文・写真=小杉 美香