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福祉用具専門相談員の資格を取るには?難易度や費用、仕事内容なども徹底解説!

ささえるラボ

福祉用具専門相談員の資格を取るには?難易度や費用、仕事内容なども徹底解説!

執筆者

ささえるラボ編集部

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/3

福祉用具専門相談員は、主に福祉用具貸与・販売事業所で、福祉用具の選定や提案、使用方法の指導などを行う専門職です。指定された講習を受け、修了することで、資格を取ることができます。講習で習得できる知識は、福祉用具専門相談員への転職を目指す人はもちろん、介護職のスキルアップにも役立ちます。

今回は、福祉用具専門相談員という職種やその資格に興味がある方に向けて、主な仕事内容や、資格の取得方法と難易度、取得にかかる費用、平均給与、向いている人の特徴といった基礎情報を解説します。

福祉用具専門相談員とは

そもそも福祉用具とは

福祉用具とは、「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。」と、福祉用具法によって定義されています。※

主な福祉用具には、介護ベッドや車椅子、歩行器、歩行補助用のつえ、手すり、移動用リフトなどがあります。
※出典:福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律第一章 総則 第二条

福祉用具専門相談員は、利用者さんの適切な福祉用具利用をサポートする!

福祉用具専門相談員は、介護保険を利用して、福祉用具を使う利用者さんのために、専門知識をもとに、適切な福祉用具を選定します。そのほか、福祉用具を納品したあとの組み立てや調整、使用方法の説明、定期的な点検なども行います。

代表的な福祉用具専門相談員の活躍の場は、福祉用具貸与・販売事業所です。福祉用具貸与・販売事業所が事業者として介護保険の指定を受けるためには、福祉用具専門相談員を常勤換算法で2人以上と、管理者を常勤専従で1人を配置しなければなりません。

なお、福祉用具の貸与・販売は、介護保険サービスのなかの「居宅介護サービス」の一種です。居宅介護サービスとは、主に自宅で暮らす要介護・支援者のためのサービスで、居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーが作成するケアプランをもとに提供されます。

福祉用具専門相談員の仕事内容

では、福祉用具専門相談員は、どのような仕事をしているのでしょうか。
ここでは、代表的な職場である福祉用具貸与・販売事業所における福祉用具専門相談員の主な仕事内容を紹介します。

1.ヒアリング・情報収集
2.福祉用具の選定・福祉用具利用計画書の作成
3.福祉用具の調整・利用方法の説明
4.福祉用具の点検・モニタリング

1.ヒアリング・情報収集

福祉用具専門相談員の仕事は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーや利用者さんから福祉用具のレンタルや販売の依頼を受けるところから始まります。利用者さんに合った福祉用具を選ぶには、まず利用者さんの心身の状態や現状を把握する必要があります。

そのためのヒアリングや情報収集は、利用者さんの自宅を訪ねて行うのが一般的です。福祉用具専門相談員は、利用者さんやそのご家族の要望や困りごとを聞き取り、心身の状態や要介護レベル、住宅の構造、生活環境などを調査します。

2.福祉用具の選定・福祉用具利用計画書の作成

続いて、福祉用具専門相談員は、担当のケアマネジャーが作成したケアプランとヒアリングで収集した情報をもとに、利用者さんに合った福祉用具を選定し、福祉用具利用計画書を作成します。福祉用具利用計画書には、利用者さんの身体状況・ADL、介護環境、住環境、意向、選定した福祉用具名、提案する理由などが記載されます。計画書の内容に対して、ケアマネジャーが修正指示やアドバイスをすることもあります。

その後、福祉用具専門相談員は、福祉用具利用計画書に基づいて、利用者さんに福祉用具を提案します。提案のために利用者さんの自宅を訪問する際には、ケアマネジャーが同行することもあります。福祉用具を提案した後、利用者さんとその家族が同意すると、福祉用具利用計画書が交付され、福祉用具の提供がスタートします。

3.福祉用具の調整・利用方法の説明

福祉用具を利用者さんの自宅に納品する際には、福祉用具専門相談員が、利用者さんの体の状態や生活環境に合わせて福祉用具を調整する必要があります。

利用者さんが安全に福祉用具を使えるように適切な使用方法を説明するのも、福祉用具専門相談員の仕事です。

4.福祉用具の点検・モニタリング

利用者さんが福祉用具を使い始めてからも、福祉用具専門相談員は利用者さんの自宅を訪問して、利用状況をチェックします。福祉用具に故障や不具合がないかを点検して交換やメンテナンスをしたり、利用者さんの心身の状態や生活環境の変化に応じて計画を見直したりします。この定期的なチェック業務はモニタリングと呼ばれ、年2回実施することが介護保険法により義務づけられています。

福祉用具専門相談員によるモニタリングの結果は、担当のケアマネジャーとも共有されます。福祉用具の見直しが必要になった場合には、ケアマネジャーや担当の介護職、リハビリ職、医療職などとともにサービス担当者会議に出席して意見交換をすることもあります。

福祉用具専門相談員の1日のスケジュール

下記は、福祉用具貸与・販売事業所で働く福祉用具専門相談員の1日のスケジュール例です。

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

細かい業務内容や出社・帰社時間は事業所によって異なりますが、1日に複数の営業先を回るのが一般的です。

そのほか、社内外の会議への出席、福祉用具サービス計画書の作成といった事務作業も、日常的に行う業務です。

福祉用具専門相談員の資格を取るには

では、福祉用具専門相談員の資格を取るには、どのような条件や手続きが必要なのでしょうか。

資格取得に必要な講習の概要、取得の難易度など、福祉用具専門相談員を目指すうえで確認しておきたい情報を紹介します。

福祉用具専門相談員指定講習の受講要件

福祉用具専門相談員の資格を取るには、計50時間の福祉用具専門相談員指定講習を受けて修了する必要があります。福祉用具専門相談員指定講習は、都道府県から指定を受けた民間スクールや福祉法人などが運営しています。実際に教室で受講する対面形式のほか、オンライン形式の講習を開講しているスクールもあります。

都道府県のホームページには講座を実施している事業者の一覧が掲載されていることが多いので、受講を検討する際には確認してみましょう。なお、受講のための要件は特にありませんが、なかには、講習の実施機関の判断で要件が設けられているケースもあります。

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

参考:厚生労働省 老健局「福祉用具・住宅改修」をもとに作成
カリキュラムの受講にかかる日数は、実施機関によって異なりますが、7日間前後が一般的です。講座を受講した後、約1時間の筆記試験が行われ、試験に合格すると講習修了となります。

2025年度(令和7年度)を目途にカリキュラムの見直しが行われます

また、上記カリキュラムについては、2023年以降、見直し案の検討が進められており、2025年度を目途に、新カリキュラムが施行されることが決まっています。新カリキュラムでは、講習の合計時間が53時間となり、一部の科目が追加・修正される予定です。

ただし、2025年度中は新カリキュラムへの移行期間とされ、上記カリキュラムも指定講習として認められる見込みです。2026年度以降は、全ての指定講習事業者が新カリキュラムで講習を実施することになります。※
※参照:厚生労働省福祉用具専門相談員の新たな指定講習カリキュラムの適用開始時期について

資格取得の難易度

筆記試験の合格率は不明ですが、筆記試験は、受講者をふるいにかける目的ではなく講習の内容を理解しているかどうかを評価するためのものなので、難易度は高くありません。

講座の内容をしっかり聞いていれば、まず落ちることはないといわれています。万が一、合格点に達しなかった場合でも、補講や再試験を受けられるケースが多いようです。

取得にかかる費用

福祉用具専門相談員指定講習の受講費用は、事業者や受講形式によりまちまちですが、4~6万円程度が一般的です。なお、福祉用具専門相談員指定講習は、厚生労働省による特定一般教育訓練制度の対象なので、必要な条件を満たせば、雇用保険から受講費用の40%の支給を受けることができます。

特定一般教育訓練制度の支給を受けるには、受講前にハローワークで受給資格を確認したうえで、講座を修了後、ハローワークで支給申請を行う必要があります。給付条件をはじめ特定一般教育訓練制度の詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください。※
※厚生労働省教育訓練給付制度

講習を受けなくても業務にあたれる場合も

下記の国家資格を持っている人は、福祉用具に関する知識があるとみなされるため、講習を受けなくても福祉用具専門相談員として、介護保険の指定福祉用具の貸与・販売事業所で働くことができます。

介護福祉士・社会福祉士・保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・義肢装具士

現役の介護職で、「当面は介護職として働きたいけれど、将来の選択肢として福祉用具専門相談員になることも視野に入れている」という人は、介護福祉士の資格取得を目指すとよいでしょう。
※参考:厚生労働省 老健局「福祉用具・住宅改修」

福祉用具専門相談員の資格を取るメリット

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

次に、福祉用具専門相談員の資格を取得するメリットを紹介します。

1.仕事の選択肢が広がる
2.介護の仕事に役立つ
3.採用で有利になる場合がある

1.仕事の選択肢が広がる

資格を取ると、福祉用具貸与・販売事業所で福祉用具専門相談員として働けるようになります。

また、福祉用具貸与・販売事業所のほかにも、福祉用具メーカーや住宅メーカー、リフォーム会社など、福祉用具に関する知識を持つ人を求めている職場は少なくありません。福祉用具専門相談員の資格があれば、仕事や職場の選択肢が広がります。

2.介護の仕事に役立つ

資格を取る過程で身につけた福祉用具に関する知識は、介護の仕事にも活かすことができます。介護現場ではさまざまな福祉用具が使われています。介護職がその選び方や正しい使い方に精通していれば、利用者さんやその家族に対して、より適切なアドバイスができるようになります。

利用者さんの体の状態が変化して、今使っている福祉用具が合わなくなったという場合にも、介護職が担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に共有すれば、いち早く見直しにつなげることができます。

3.採用で有利になる場合がある

特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームといった介護施設でも、福祉用具に関する専門知識を持つ人材は歓迎されます。

介護従事者が介護業界で転職する場合、介護の資格とあわせて福祉用具専門相談員の資格を持っていると、希望条件に合う職場で採用されやすくなるでしょう。

福祉用具専門相談員が活躍する場所

福祉用具専門相談員は、どのような職場で活躍しているのでしょうか。主な勤務先を紹介します。

1.福祉用具貸与・販売事業所
2.福祉用具メーカー
3.住宅メーカー・リフォーム会社・工務店
4.介護施設・事業所
5.ホームセンター・ドラッグストアなど

1.福祉用具貸与・販売事業所

福祉用具専門相談員の代表的な勤務先です。福祉用具貸与・販売事業所で働く福祉用具専門相談員の主な仕事は、利用者さんやケアマネジャーからの相談に応じて福祉用具を選定・提案し、納品後の点検、モニタリングなどのアフターケアにあたることです。

福祉用具貸与・販売事業所には、福祉用具専門相談員の資格を持つ人を2人以上配置することが法律にで義務づけられており、多くの事業所が福祉用具専門員の求人募集を出しています。また、福祉用具貸与・販売事業所では、納品や営業で利用者さんの自宅、居宅介護支援事業所などを車で訪問する機会が多いため、採用条件として、福祉用具専門相談員の資格とともに普通自動車免許を求められるケースが一般的です。

2.福祉用具メーカー

福祉用具メーカーも、福祉用具専門相談員が活躍できる場の1つです。新しい福祉用具の企画・開発や営業には福祉用具に関する知識は必須なので、資格があれば福祉用具メーカーへの転職活動では有利になるはずです。

求人募集時に、メーカー側が、福祉用具専門相談員の資格があることを希望条件として提示する場合もあるでしょう。

3.住宅メーカー・リフォーム会社・工務店

住宅メーカー、リフォーム会社、工務店といった建築・改修工事に携わる業種でも、福祉用具専門相談員は求められています。理由として、近年、自宅で介護サービスを受けながら暮らす高齢者が増えるなかで、手すりやスロープを設置するといったバリアフリーリフォームのニーズが高まっていることが挙げられます。福祉用具貸与・販売事業所のなかには、貸与・販売をしながら住宅リフォーム業も請け負っているところもあります。

福祉用具専門相談員の資格があれば、顧客に対して、専門知識をもとにリフォームのアドバイスをすることができます。なお、リフォーム関連の業種に従事するなら、福祉用具専門相談員に加えて、福祉住環境コーディネーターの資格取得を検討するのもよいでしょう。

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害のある方に住みやすい住環境を提案する職種で、東京商工会議所が試験の実施や資格の認定を行っています(詳細は後述)。

4.介護施設・事業所

実際に高齢者を介護している介護施設・事業所では、車椅子や介護ベッドなどの福祉用具を日常的に使用しています。そのため、介護職や管理者に福祉用具に関する専門知識があれば、介護業務に活かしたり、現場の介護職に注意点を共有したりすることもできます。

また、介護施設・事業所の職員が、スキルアップや給与アップなどを目指して、福祉用具専門相談員の資格を取ることもあるようです。介護職としてのキャリアプランを立てる際に、興味があれば検討してみてください。

5.ホームセンター・ドラッグストアなど

近年は、ホームセンターや大規模なスーパー、ドラッグストアなどにも福祉用具の販売コーナーを設けている店舗があります。

こうした店舗では、福祉用具の選び方や使い方を来店客にアドバイスできる人材として、福祉用具専門相談員を採用する場合があります。

福祉用具専門相談員の平均給与

厚生労働省の職業情報サイトjobtagによると、福祉用具専門相談員の平均年収は、394.3万円です。ただ先述したように、福祉用具専門相談員は介護福祉士や社会福祉士、看護師などといった福祉・介護職の資格を所持している人であれば従事することができます。

これらの資格別平均年収を確認すると、以下のグラフのように資格や職種によって金額が大幅に異なります。そのため、この数字はあくまで参考値で、勤務地や勤務先、所持している資格などによって平均年収は異なると言えるでしょう。※
※厚生労働省 職業情報提供サイト福祉用具専門相談員

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

※参考:厚生労働省令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(介護福祉士・社会福祉士)
※参考:厚生労働省 職業情報提供サイト保健師(保健師)
※参考:厚生労働省看護師の平均賃金(役職者除く)(月収換算)(看護師)
上記3サイトをもとに作成

福祉用具専門相談員に向いている人の特徴

では、福祉用具専門相談員には、どんな人が向いているのでしょうか。ここからは、向いている人の特徴を紹介します。

1.コミュニケーション力がある人
2.体力のある人
3.観察力がある人
4.知的好奇心が強く、勉強熱心な人
5.営業職、介護職の経験がある人

1.コミュニケーション力がある人

福祉用具専門相談員が福祉用具を販売・貸与するにあたっては、利用者さんやそのご家族の要望や困りごとを十分に聞き取って、心身の状態や生活環境を把握する必要があります。さらに、ケアマネジャーと連携しなければならない場面も多々あります。

そのため福祉用具専門相談員には、コミュニケーション力や相手の状況や気持ちを想像する力が求められます。また、一種の接客・営業職なので、人あたりがよく、人と話すのが好きで、細やかな対応ができるタイプの人が適しています。

2.体力のある人

福祉用具専門相談員は介護現場で働く介護職のように利用者さんの身体介護にあたるわけではないので、それほど体力は必要ないと思う人もいるかもしれません。

しかし、福祉用具専門相談員の業務の中心は、利用者さんの自宅や介護施設・事業所など、複数の営業先への外回りで、決してデスクワーク中心の職種ではありません。また、福祉用具には、車椅子や電動ベッド、移動用リフトといった大型のものも多く、納品時にはそれらを運ばなければならないこともあります。

福祉用具専門相談員には、体を動かすことが好きで、ある程度以上の体力がある人が適しているといえるでしょう。

3.観察力がある人

福祉用具専門相談員が利用者さんに適した福祉用具を提案するためには、自宅でのヒアリングの際に、利用者さんやそのご家族が要望として発する言葉はもちろん、動作や様子、周囲の環境などもよく見て参考にする必要があります。

いったん適した福祉用具を納品しても、その後、利用者さんの体調や体の状態が変化した場合には、交換や見直しをしなければなりません。そのため定期的なモニタリングの際にも、福祉用具専門相談員は、注意深く利用者さんの状態を観察する必要があります。

利用者さんの些細な変化を見逃さない観察力のある人は、福祉用具専門相談員に向いているタイプといえます。

4.知的好奇心が強く、勉強熱心な人

福祉用具は種類が豊富なうえ、メーカーは次々に新商品を開発しています。最近では、AIやロボット技術を活用した福祉用具も増えています。

利用者さんに最新情報に基づく提案をするためにも、使用方法を正確に説明するためにも、福祉用具専門相談員は、常に新商品やその機能をチェックしておかなければなりません。知的好奇心が強く、新しいことを学ぶのが好きな人、こまめに情報収集することが苦にならない人は、福祉用具専門相談員向きといえるでしょう。

5.営業職、介護職の経験がある人

福祉用具貸与・販売事業所で福祉用具専門相談員に求められているのは、営業職としての役割です。そのため、求人募集では営業経験のある人を求めている事業所が少なくありません。必須の採用条件ではなかったとしても、営業経験があれば歓迎されることは間違いありません。

また、介護職としてのキャリアがあると、福祉用具の利用者さんである介護が必要な高齢者への理解があるうえ、コミュニケーション力や観察力が身についているため、比較的スムーズに福祉用具専門相談員の仕事になじめるはずです。営業職・介護職の経験がある人は、福祉用具専門相談員をキャリアチェンジの選択肢の一つとして視野に入れてみるとよいでしょう。

福祉用具専門相談員とあわせて取りたい資格

福祉用具専門相談員のほかにも、福祉用具の知識が身につく資格はいくつかあります。福祉用具専門相談員がさらなるスキルアップのために取得したい資格を紹介します。

1.福祉住環境コーディネーター検定試験Ⓡ
2.福祉用具選定士
3.福祉用具プランナー
4.介護職員初任者研修

1.福祉住環境コーディネーター検定試験Ⓡ

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害のある方に対して適切な住環境を提案するアドバイザーのことです。

福祉住環境コーディネーターが仕事に必要な知識を学ぶことのできる検定試験が、福祉住環境コーディネーター検定試験Ⓡです。出題範囲には、福祉用具に関する知識も含まれます。公式テキストで勉強したうえで、試験を受けて合格することで、リフォーム会社や工務店で働く場合に役立つ医療・福祉・建築についての知識を身につけることができます。

試験には、基礎的な知識の理解度を確認する3級、実務に活かすための知識が身についているかを確認する2級、より高度な知識とプランニング力や調整力が問われる1級があります。3級と2級の試験は7月と11月に、1級の試験は12月に行われます。受験場所は全国各地のテストセンターですが、2級・3級は、自宅や会社のパソコンから受けることも可能です。

受験料は、会場受験の場合は3級7,700円、2級9,900円、1級12,100円です(受験者自身のパソコンから受ける場合は3級5,500円、2級7,700円)。 福祉住環境コーディネーター検定試験Ⓡの詳細や最新情報は、東京商工会議所のホームページでご確認ください。※
※東京商工会議所福祉住環境コーディネーター検定試験®とは

2.福祉用具選定士

福祉用具選定士とは、福祉用具専門相談員の資質向上を目指して、一般社団法人 日本福祉用具供給協会が創設した資格です。福祉用具専門相談員またはそれに準ずる資格を保有していて、福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験がある人(介護福祉士・社会福祉士・保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・義肢装具士)を対象としています。

ベッドや車椅子について学ぶA研修(3日間)と、歩行器、床ずれ防止、リフトについて学ぶB研修(2日間)を受講し、各研修後に実施される筆記試験に合格する必要があります。研修は、東京、名古屋、大阪、福岡の4会場で実施され、A研修に3万円、B研修に2万6,000円の受講料がかかります(同協会の正会員の場合はA研修2万6,000円、B研修2万2,000円)。

研修の詳細や最新情報については、日本福祉用具供給協会のホームページでご確認ください。※
※一般社団法人 日本福祉用具供給協会福祉用具選定士

3.福祉用具プランナー

福祉用具プランナーとは、福祉用具を必要とする高齢者や障害のある方に対し、必要な福祉用具の選定を援助、適切な使用計画を作成、利用の支援および適用状況をモニター・評価まで行うことのできる専門家として、公益財団法人テクノエイド協会が認定している資格です。

合計100.5時間の福祉用具を必要とする人のために適切な選定、計画の作成、モニター・評価を行うのに必要な知識を学ぶ、福祉用具プランナー認定講習を履修し、修了試験に合格すると資格を取得できます。

福祉用具専門相談員業務または福祉用具関連業務における2年以上の実務経験のほか、複数の条件があります。講習を実施しているのは、テクノエイド協会のほか、全国の複数の研修機関で、開催期間は研修機関により異なります。費用の目安は、研修機関により3万円~4万円程度で、別途eラーニング代が一律2万1,000円がかかります。

福祉用具プランナー認定講習の詳しい受講条件やカリキュラム、最新情報については、テクノエイド協会のホームページでご確認ください。※
※公益財団法人テクノエイド協会福祉用具プランナー情報

4.介護職員初任者研修

介護職員初任者研修(以下、初任者研修)は、介護の仕事をするために必要な基礎知識や技術を学べる研修で、130時間のカリキュラムを修了すると資格を取得することができます。実施するのは全国の民間スクールや社会福祉法人などです。研修期間はスクールやコースによりさまざまですが、1~4ヶ月程度が平均的です。

介護職経験がない人は、初任者研修を受けて基礎的なスキルや知識を身につけておくと、福祉用具専門相談員の仕事がしやすくなるでしょう。福祉用具貸与・販売事業所の採用でも有利になるかもしれません。

福祉用具の販売と貸与の違いは?

福祉用具を介護保険で利用する場合、貸与(レンタル)が原則とされています。というのも、利用者さんの身体状況は変化するうえ、福祉用具の機能は徐々に向上していくため、販売より貸与のほうが、その時期に適切な用具を利用者さんに提供できるからです。

ただし、便座や入浴用のイス、移動用リフトの吊り具のように、他人が使ったものを再利用することに抵抗感を伴うもの、使用によって形や品質が変化するものについては、例外として、年間10万円を限度に購入費の9割~7割が介護保険により給付されます。

貸与の対象となる福祉用具

車椅子、車椅子付属品、介護ベッド(特殊寝台)、介護ベッド(特殊寝台)付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置

販売の対象となる福祉用具(特定福祉用具)

腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部、入浴補助用具(入浴用イス、 浴槽用手すり、浴槽内イス、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分

また、令和4年4月からは、排泄予測支援機器が、令和6年4月からは、スロープ、歩行器、歩行補助つえが特定福祉用具とされています。

利用者さんの要支援・要介護度で用具の種類は決定する

上記が介護保険の対象となる福祉用具ですが、貸与(レンタル)の対象となる用具の種類は、利用者の要支援・介護度によって異なります。

一方、販売の対象となる福祉用具については、要支援または要介護の認定を受けた人であれば、上記いずれの購入費も介護保険の支給対象になります。

未経験でも福祉用具専門相談員になれる?

福祉用具貸与・販売事業所の福祉用具専門相談員として働くには、福祉用具専門相談員の資格が必要ですが、資格さえあれば、実務経験がなくてもチャレンジすることは可能です。実際に福祉用具専門相談員の求人募集を見ると、未経験OKの募集も少なくありません。

また、なかには福祉用具専門相談員の資格を持っていなくても、入職した後に、働きながら資格を取得できる職場もあります。

まとめ:福祉用具専門相談員は、介護職の将来の可能性を広げる資格

高齢化が進む日本社会では、日常的に福祉用具を必要とする人は増加傾向にあります。福祉用具専門相談員のニーズは、今後ますます高まっていくでしょう。利用者さんの要望を汲み取って適切な福祉用具を選定・提案する福祉用具専門相談員は、介護職と同様に、人の役に立てるやりがいのある仕事といえます。

福祉用具専門相談員は、介護職の転職の選択肢としてもおすすめです。福祉用具専門相談員にならない場合でも、講習を受けて資格を取っておけば、学んだ知識を介護の仕事に活かすことができます。福祉用具に関する知識を身につけたい人は、ぜひ資格取得を検討してみましょう。

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