山口財務事務所の企業景気予測調査 マイナスの景況判断はほぼ横ばい
財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果を、このほどまとめた。調査時点は5月15日で、今期(4~6月)の現状、翌期(7~9月)の見通し、翌々期(10~12月)の見通しについて山口県内114社に聞き、106社から回答が寄せられた。業種別内訳は、製造業が42社(39.6%)で、非製造業が64社(60.4%)。規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が24社(22.6%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が28社(26.4%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が54社(50.9%)だ。
今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は9.4%で、「下降」と回答したのは19.8%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス10.4ポイントで、前期(1~3月)のマイナス11.0ポイントからほぼ横ばいだった。
業種別に見ると、製造業はマイナス9.5ポイント(前期比プラス6.8)で非製造業はマイナス10.9ポイント(同マイナス3.3)。規模別では、大企業は0.0ポイント(同プラス11.1)、中堅企業はマイナス7.1ポイント(同マイナス3.8)、中小企業はマイナス16.7ポイント(同マイナス1.3)だった。
全体の先行きは、翌期、翌々期ともマイナス0.9ポイントの見通しだ。
次に、2025年度の「売上高」(回答76社)は、前年度比4.5%の増収見込み。製造業は、脱炭素需要の高まりに伴うエネルギー向け製品の販売増加(化学)や原材料価格高騰分の価格転嫁が図られたこと(パルプ・紙等)から、4.8%の増収見込み。一方非製造業は、仕入価格上昇による商品価格の引き上げ(小売り)や、高単価な運送契約の締結(運輸・郵便)により、3.2%の増収見込みとなっている。
2025年度の「経常利益」(同75社)は、前年度比1.2%の減益見込みだ。製造業は、市況回復に伴う半導体関連製品(化学)や省エネ向け製品(金属製品)の販売増加などから、0.3%の増益見込み。非製造業は、老朽化した設備の維持費等の負担増加(運輸・郵便)などにより、13.6%の減益と見込まれた。
そして、2025年度の「設備投資」(同83社)計画は、前年度比4.1%の増加見込み。製造業は、カーボンニュートラル関連投資(化学)や、社内業務効率化を目的とするITインフラ・システム開発への投資(生産用機械)などから、6.9%の増加見込み。非製造業は、前年度の大型投資の反動減(運輸・郵便、鉱業・採石等)などにより、8.2%の減少見込みだ。規模別に見ると、大企業(20.2%)と中小企業(12.4%)は増加だが、中堅企業(マイナス41.3%)は減少見込みとなっている。
「雇用」の現状BSI(同105社)は28.6ポイントの「不足気味」超。「不足気味」超は46期連続で、翌期(23.8ポイント)と翌々期(25.7ポイント)も続く見通し。
回答企業からの声
回答企業からは
「足下で公共工事の件数が減っていることから、建築資材に対する受注が減少している」(窯業・土石)「大阪・関西万博や首都圏の再開発向けで需要が好調」(金属製品)「男女ともに紫外線対策等で化粧品向け需要が堅調であるなか、顧客基盤の拡大に取り組んだところ、新規顧客を獲得できており、受注が好調」(化学)「ゴールデンウイーク期間中は国内の宿泊客数が堅調に推移していたほか、台湾からの団体・個人ツアー客が増えるなど、海外からの宿泊客数も好調だった」(宿泊・飲食サービス)「建築資材の高騰や住宅ローンの金利上昇により消費者マインドが押し下げられ、住宅建築の受注が減少している」(建設)「仕入価格の高騰が利益を圧迫しているほか、企業の省力化に向けた設備投資が一巡したことで、自動発注システムなどに対する需要が減少している」(情報通信)
などの声が聞かれた。