地物で人気!最北の回転ずし店が「業績がいいから」M&Aへ 背景に見えた決断のワケ
今、北海道内の中小企業で大きな課題になっているのが後継者不足の問題です。
地元で人気の店を将来も残したい、北海道稚内市の回転ずし店の社長が「決断」をしました。
「ハレの日」に欠かせない、稚内の回転ずし店
身がぷりっとした宗谷産のホタテに、稚内産のタコ。
もちろん、ヒラメだって地モノです。
宗谷海峡を臨む日本最北端の回転ずし店、稚内市の「花いちもんめ」です。
「どれもおいしいですね、新鮮だし、他の店にないメニューも結構あるから」
「やっぱりお寿司食べようと思ったら、だいたいここにくる」
入学式や学芸会、運動会など。
稚内の人々のいわゆる「ハレの日」になくてはならないお店で、3連休明けのランチどきもとてもにぎわっています。
この味を残すために、創業20年、58歳の社長はある決断をしました。
「一番いいタイミング」
手頃な価格で稚内市内で唯一の回転ずし。
地元の人たちや観光客に人気の店ですが、経営者の親族や従業員の中で後継者が見つからず、将来的な事業の継続が課題になっていました。
そこで、社長が決断したのはM&Aによる事業の引継ぎです。
稚内回転寿司・花いちもんめ運営の金子正九社長は「すごく今、会社の状態がいいんですよ。業績がよくていい時期が一番いいタイミングだと聞いたので、それが今回のM&Aにつながる決断にも大きく影響している」と話します。
事業継承によって、回転ずし店は店の名前を残したまま営業を続けることができます。
一方、事業を譲り受けた会社も、営業エリアの拡大や新たな業態=回転ずしへの進出ができるのです。
引き継ぐ側の札幌海鮮丸の飯塚隆夫社長は「後継者に悩んでいる中小企業をどう救っていくかということで、もともとは札幌海鮮丸の事業承継というものを今から3~4年前に進めていた」と話します。
生き残りのための一つの答え
今回「花いちもんめ」を引き継ぐ札幌海鮮丸も事業継承を経て、東京の企業「まん福ホールディングス」の子会社となった経緯があります。
「花いちもんめというブランドを、しいていえば北海道を代表するような、そんな寿司ブランドとして今後は皆さんに発信したい」
少子高齢化が進むなか、特に地方の後継者問題は深刻で、道内でも2025年1月から9月の間に76件のM&Aが行われました。
廃業のリスクを回避して地域の経済を活性化させる。生き残りの一つの答えが最北の回転ずし店からみえてきます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年11月4日)の情報に基づきます。