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倉敷水島・築100年越えの古民家宿「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」~ 世界中からゲストが訪れる520㎡・11LLDDKの一棟貸し

倉敷とことこ

倉敷水島・築100年越えの古民家宿「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」~ 世界中からゲストが訪れる520㎡・11LLDDKの一棟貸し

2024年7月、倉敷市水島にオープンした古民家宿「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI(リトリートコバヤシ)」。

外観からは想像がつきませんが、建物の床面積520㎡という広い一棟貸しの宿です。
住宅街の一角にひっそりと佇みながら、一歩中に入ると、そこにはまるで別世界のような空間が広がります。

「この仕事をしていなかったら会えないような人と話ができるのが楽しいんです」と、笑顔で話すのはオーナーの小林英夫(こばやし ひでお)さん

ゲスト一人ひとりとの出会いを大切にしたおもてなしが口コミで広がり、世界中から宿を訪れる人が後を絶ちません。

「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」の詳細やオープンに至った経緯、小林さんの新たな挑戦も含め、じっくり紹介しましょう。

規格外の広さが魅力の一棟貸し古民家宿

「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」は、一棟まるごと貸切で利用できる素泊まりタイプの宿です。

場所は倉敷市福田町古新田の落ち着いた住宅街。
倉敷美観地区のような観光地からは離れ、静かに滞在できる環境が魅力です。

もともと、オーナーである小林さんの親戚が所有していた家屋でした。手放され、取り壊して分譲される計画が持ち上がった際、小林さんが譲り受けることを決意。

2024年7月、宿として生まれ変わりました。
建物の床面積は520㎡、11LLDDKという広さで、最大10名が宿泊できます。

小林さん自身が「やっちゃいけない大きさですよね。修繕にお金かかるからするなってよく言われます」と笑うほどの規格外のスケールですが、だからこそ、他の宿泊施設では味わえない開放感とユニークな滞在体験を生み出しています。

まず、合計6つもの階段が存在し、まるで迷路を探検するようなワクワク感が味わえます。

画像提供:倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI

また、大人数のグループでも互いのプライベートを保ちつつ、ゆったりと過ごせるでしょう。三世代家族での旅行、友達家族との旅行、研修や合宿など、さまざまなシーンで活用できそうです。

一棟貸しなので、小さなお子様連れでも周囲に気兼ねなく、マイペースに羽を伸ばせるのも魅力ではないでしょうか。

「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」を探検!

「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」の内部を紹介しましょう。

和室1

玄関をくぐり、広々としたエントランスの奥には和室の居間が。

足を踏み入れれば、襖に描かれた迫力ある龍の絵が目に飛び込んできます。

オレンジ色のガラス玉が置かれていました(なんだか見覚えがあるような)。

建物のどこかに7つ隠されたガラス玉を見つけ出すという、遊び心あふれる仕掛けの一部。

宿には「4枚の襖に描かれた巨大な神龍の絵があり、その瞳には7つのドラゴンボールが宿っている」といった伝説があるという設定です。

仲間や家族と挑戦すれば、滞在がより一層楽しい思い出になるでしょう。

和室2

その奥には、迫力ある浮世絵が印象的な和室が続いています。

鮮やかな歌舞伎役者を描いた浮世絵や、葛飾北斎(かつしか ほくさい)の代表作である連作浮世絵「冨嶽三十六景」の一部が襖に描かれています。

古い襖を張り替えたり、塗装したりと、小林さんたちの手作業で整えられました。

着物や琴、茶道具などがあり、日本の伝統文化の魅力に触れられます。

歴史を感じる廊下を歩けば、懐かしい照明器具が。まるでタイムスリップしたかのような感覚になります。

和室3(寝室)

隣の寝室の障子には同じく富士山の浮世絵が。「冨嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」です。

吹屋の赤を思わせるベンガラ色に彩られた場所も。

日本の伝統美を感じる演出が随所に施されていました。

和室4(サブダイニングルーム)

「ここはサブダイニングルームです」と案内された和室です。

「『サブ』ということは、また別に、メインのダイニングルームがあるのか」とその広さに驚きます。

こちらの襖もベンガラで彩られています。

プロジェクターを備えた憩いの部屋

隣には、プロジェクターを備えた憩いの部屋が。

小上がりとなった畳のスペースにはゆったりとしたソファがあり、大人数でもくつろげそうです。

壁には、これまで訪れたゲストの国を示した世界地図や、笑顔あふれる写真が飾られ、オーナーの小林さんの温かな人柄と、楽しい交流のようすが伝わってきます。

世界各地からゲストが訪れていることがわかります。

そこから小さな階段をのぼれば、屋根裏部屋が。

むき出しの壁からは戦時中の新聞紙があらわに。建物の長い歴史を物語っています。

キッチンダイニング(メインダイニング)

過去に増築されたという屋内で行き来できる別棟には、エアコンが効いて快適なメインのダイニングスペースがあり、広々としたキッチンも併設。

IHコンロ、電子レンジ、炊飯器、調理器具や食器類も一通りそろっているため、食材を持ち込んで料理を楽しめます。

宗教上の理由などで食事に制限がある人にとっても、安心して滞在できる環境です。

2階の寝室1・2

別棟の階段をのぼって2階には、それぞれ趣の異なる寝室がふたつありました。

どこで眠り、どこで過ごすか、グループでわいわい相談するのも醍醐味だと思います。

館内には、百人一首や花札、けん玉など日本の伝統的な遊びも用意されていました。

建物そのものだけでなく、調度品や雑貨にも歴史の重みが感じられ、訪れる人を飽きさせません。

「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」はどのように完成したのか。今後の新たな展望とは?

オーナー・小林英夫さんにお話を聞きました。

「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」オーナー・小林英夫さんインタビュー

オーナーの小林英夫(こばやし ひでお)さんに、「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」はどのように完成したのか、今後の新たな展望などを聞きました。

宿を始めた経緯

──宿を始めた経緯を教えてください。

小林(敬称略)──

もともとは親戚の家で、もう誰も住んでいなくて、手放して売ってしまうという話が進んでいたんです。建物を潰して土地を分譲する計画だと。

それで「何とかするから」と勢いで譲り受けることになりました。

ただ、いざ自分たちのものになると、この大きさをどう活用するかが大問題。
自分で住むには広すぎるし、誰かに貸すにしても、これだけの規模の古い家を住めるよう修繕するには費用がかなりかかります。

建物の用途変更をして別の事業用に考えても、ハードルが高くて難しい。いろいろと考えた結果、最後に残った選択肢が「宿泊施設」だったんです。

──修繕は大変だったのではないでしょうか。

小林──

そうですね、大変でした。
実は、この宿のプロジェクトが動き出す少し前に、長年勤めた仕事を辞めて、地元に帰ってきたんです。

ちょうどそのタイミングで、半年間リフォームの基礎を学ぶ学校に通いました。

そこで基本的な知識や技術を身につけたとはいえ、いざ実践となると壁を塗る作業一つとっても、古い壁の表面を処理するところから始めなければならず、気の遠くなるような作業でした。

幸い、リフォームの学校で知り合った仲間や、以前から付き合いのある経験豊富な知人、起業塾で出会ったメンバーたち、約10人が集まってくれて。

画像提供:倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI

傷んでいた床の全面的な張り替え、壁の漆喰塗りや塗装など、多岐にわたる作業を一緒におこなってくれました。

時には夜9時過ぎまで作業に付き合ってもらったことも。

画像提供:倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI

本当に多くの人の力があって、ようやく形になりました。

画像提供:倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI

完成して宿へと生まれ変わったときは、本当に感動しましたね。

「ももクエ(ももスタイノベーターズクエスト)」での学び

──ももスタ(ももたろう・スタートアップカフェ)による「ももクエ(ももスタイノベーターズクエスト)」での学びも大きかったそうですね。

小林──

ももクエは、岡山市のももスタ(ももたろう・スタートアップカフェ)が開催しています。「やりたい」をカタチにする実践型の起業・事業構想プログラムです。

岡山県内を中心に、さまざまなバックグラウンドを持つ受講生たちが、講師や仲間と共に課題に取り組みながら、自身のビジネスを具体化していきます。

宿泊施設を始めるにあたり、観光地である倉敷美観地区ではなく少し離れた水島で、果たしてうまくいくのかと心配していました。

また、これまで別の事業に挑戦した経験はありましたが、宿泊施設は初めて。その点でも不安がありました。

私自身が講師の金丸裕佑(かねまる ゆうすけ)さんの大ファンで、「ももクエ」に参加したのも金丸さんから直接学びたいという気持ちが強かったから。参加して良かったです。

金丸裕佑
ビジネスエンターテインメント合同会社 代表社員。
株式会社ミクシィで新規事業開発や戦略立案を担い、独立後はベンチャー・スタートアップ企業、上場企業の新規事業立上げ、戦略策定、組織開発、人財育成を支援。

画像提供:ももスタ(中央が金丸裕佑さん)

自分の事業プランを徹底的に突き詰めて考えられ、同じようにゼロから事業を立ち上げようとしている仲間たちもいて、大きな刺激になりました。

みんなが頑張っているから、自分も頑張ろう、と。

画像提供:ももスタ(岡山の観光産業に関する新規事業を考え発表したときの写真)

特に印象的だったのは、プログラムが終わった後に金丸さんに「もっとスケール(事業を拡大するという意味のビジネス用語)するんでしょ?」と言われたこと。

それが、今準備している2軒目の宿のプロジェクトにつながっているんです。

2軒目の宿を準備中

──2軒目の宿についても、少し教えていただけますか?

小林──

現在準備しているのは、倉敷市の水島地区にある「旧吉田彦七家住宅(きゅうよしだひこしちけじゅうたく)」という建物です。

画像提供:小林英夫さん

水島市街地に建つ住宅で、1943年(昭和18年)に操業を開始した三菱重工業水島航空機製作所の工員用社宅として建てられました。

市内に残る昭和戦中期の小規模社宅として数少ない例として貴重な建物です。

戦時中に突貫工事で建てられた平屋の住宅群で、そのうちの一つが、奇跡的にあまり手を加えられずに残っていて、国の登録有形文化財にも指定されています。

しばらく使われていなくて、放っておけば朽ちていくだけ。「もったいない」という気持ちが強くて、たまたま見に行ったら、やはり何とかしたいなと。

画像提供:小林英夫さん

それで持ち主にお願いして貸していただけることになりました。
広さはここほどではないですが、歴史的な価値とストーリーがある建物なので、それをいかした宿にしたいと思っています。

画像提供:小林英夫さん

「ももクエ」で金丸さんに発破をかけられた直後のタイミングでの出会いだったので、まさに導かれたような感じですね

──宿を運営されていて、一番の喜びは何でしょうか?

小林──

間違いなく、普段の生活では出会えないようなさまざまなお客様と出会えて、直接お話ができることです。

特に海外からのお客様は、長い時間をかけて計画して、安くはない費用を使って倉敷に来てくださるわけです。

滞在を楽しんでくれて、「良かったよ」「また来たい」と喜んでくれる顔を見られたとき、これ以上の喜びはないと感じます。

宿の運営は、掃除も大変ですし、ベッドメイクも気を使いますし、決して楽なことばかりではありません。でも、「ありがとう」の一言や笑顔で、苦労が吹き飛びます。

例えば、こちらは私がこれまでで一番感動したメッセージです。

一晩しか滞在できなかったのが残念です!

こんなに大きくて古い家に泊まれたのは、日本での最高の経験の一つで、とてもユニークで思い出深いものでした。必要なものはすべて揃っていたので、滞在は楽しく快適なものでした。

魅力的な着物や琴など、家の中に置かれた美しい品々を眺めるだけでもとても楽しかったです。家の周りも絵のように美しい景色が広がっていました。

しかし、私たちの滞在を本当に素晴らしいものにしてくれたのは、ホストの秀夫さんの温かいおもてなしでした。バス停で待っていてくれただけでなく、周辺を案内してくれたり、地元の料理を紹介してくれたり、息を呑むような夜景を見るために山に連れて行ってくれたり、他にもたくさんのことをしてくれました。

私たちは皆、言葉の壁が全く存在しないかのように、とても楽しい会話をしました。Google翻訳は本当に便利でした!また、彼が私たちのために用意してくれた茶道にも参加し、日本の文化をより深く体験することができました。

秀夫さんの素晴らしいサポートとおもてなしは、私たちが予想していなかったことでしたが、私たちの滞在を本当に思い出深いものにしてくれました。この家で過ごした夜は私たちにとってかけがえのない思い出となりました。

ぜひ皆さんにも体験していただきたいです!!

(ポーランドからのゲストの感想を翻訳)

これほどダイレクトにプラスのフィードバックをもらえる仕事は、なかなかないんじゃないでしょうか。

今の時代、こういった一棟貸しの宿はリモートで、チェックインからチェックアウトまで対面しない形も多いと思いますが、うちは対面してしっかり説明することを大切にしています。

その結果、ゲストからの評価も良く、その評価を見てほかのゲストが来てくれるような、良い循環になっていると感じています。

おわりに

オーナーである小林さんの熱い想いと、その想いに共鳴し集まった仲間たちの手によって再生された古民家宿「倉敷の宿 Retreat KOBAYASHI」。

・大人数で気兼ねなく泊まれる宿を探している
・ありきたりのホテルでは物足りない、ユニークな体験がしたい
・まるで自分の家のように、暮らすように旅を楽しみたい

など、さまざまなニーズに応えてくれるのが、大きな魅力だと感じました。

ぜひ一度、小林さんに会いに訪れてみてください。

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