確定申告は進んでる?今だからこそ見直したい個人事業主ができる節税方法3選!
確定申告の時期となりました。この期間は、節税のチャンスでもあり、うっかり見落とすと余計な税金を支払うリスクもあります。
個人事業主にとって、節税は経営における重要なポイントです。しかし、節税を目的に経費を無闇に増やしてしまった結果、かえって追加納税が必要になった方も多いのではないでしょうか。
本記事では、合理的かつ効果的な節税方法を3つ解説しています。節税したい人はもちろん、自分が取り組んでいる節税方法が正しいか不安に感じている人も参考にしてください。
節税の基本知識
個人事業主の方のなかには、なんとなく税金を払っているだけで、節税をあまり意識していない方もいるでしょう。そのような方のために、節税の基本知識を解説します。
節税と脱税の違いを正しく理解する
「節税」と「脱税」は一見似ているように見えますが、実態は異なります。「節税」とは、法律の範囲内で合法的に税金の支払額を抑えることです。例えば、本来支払う必要のない税金を排除したり、税金を払い過ぎないようにしたりすることが、節税にあたります。
それに対して「脱税」は、法律の範囲外まで税金の支払額を過剰に抑えることを意味します。これは「違法」です。時に姑息な手段を使って、税金を納める義務を免れ、逮捕されるケースもあるのです。
そのため、本人に脱税しているつもりがなくても、申告すべき所得を申告しなかったり、経費を多く計上したりすると、脱税行為と判断され、税務署から調査が入るケースもあります。
節税を意識するべきタイミング
節税を意識するべきタイミングは「確定申告」の時期です。なぜなら、所得税や住民税、国民健康保険料は確定申告に基づいて決まるからです。具体的に払う税金の金額は、所得の種類や、その所得金額、必要経費、税額控除の金額などで変わります。1年間の所得が48万円以上ある個人事業主は、確定申告をしなくてはなりません。期間は2月〜3月の新年度が始まる前に、前年度の申告をします。この時、確定申告に計上すべきかどうか判断することで、節税につながるケースがあります。ぜひ、意識してみてください。
個人事業主が活用すべき主な節税方法
個人事業主の節税方法は数多くありますが、節税するなら効率の良い方法を選びましょう。これから紹介する3つの節税方法は、特に活用していただきたい節税方法です。まだ節税対策をしていない人は、基本的な節税から始めてみてはいかがでしょうか。
家賃や光熱費の家事按分を正しく計算する
節税するために、家賃や光熱費などの「家事按分」を今一度見直してみましょう。なぜなら、家賃や光熱費の一部も「事業における必要経費」として計上できるためです。「家事按分」とは、生活費と事業経営にあたる経費が混在している費用を、私用と事業で分けることです。実際に、家賃と光熱費が事業経営でどれくらい使われているか計上してみましょう。
家賃を家事按分する方法は以下の2種類があります。
・スペースの割合から求める方法
・使用時間から求める方法
それぞれの計算方法を例題に沿ってみていきましょう。
【スペースの割合から求める手順】事業で使用しているスペース(㎡ )÷ プライベートスペース(㎡ )= 按分率1ヶ月の家賃×按分率=事業で使用している家賃【使用時間から求める手順】1週間の自宅の業務使用時間を計算する1週間の自宅の業務使用時間÷1週間の総時間(168時間)1ヶ月の家賃× 按分率= 事業に必要な経費として計上できる家賃
光熱費は、電気料金とガス・水道費に分かれ、それぞれ計算式が異なります。
【電気料金の場合】
電気料金の家事按分は、2種類あります。電気を使った時間および日数から求める方法と、自宅にあるコンセントの差し込み口のうち業務利用している数から求める方法です。
【電気を使った時間および日数から求める手順】1週間のうち、在宅勤務で使った時間 × 日数 = 1週間で使った電気(時間)1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間1週間で使った電気(時間) ÷ 1週間の総時間(168時間 ) =按分率1ヶ月の電気代× 按分率= 事業に必要な経費として計上できる電気代【自宅にあるコンセントの差し込み口のうち業務利用している数から求める手順】業務に使っているコンセントの数 ÷ 自宅にあるコンセント差し込み口の総数 = 按分率1ヶ月の電気代× 按分率= 事業に必要な経費として計上できる電気代【経費として計上できるガス代、水道費を求める手順】1週間のうち、在宅勤務で使った時間 ÷ 1週間の総時間(168時間 ) = 按分率1ヶ月のガス代または水道費× 按分率= 事業に必要な経費として計上できるガス代または水道費
小規模企業共済で所得控除を受ける
小規模企業共済に加入することも、節税に有効な手段です。小規模企業共済とは、個人事業主をはじめとする小規模企業の経営者に向けた退職金制度です。掛金を毎月積み立てていくことで、廃業してしまった時などに共済金としてお金を受け取れます。掛金の額は任意で決められます。また、増額や減額も可能なので、融通が利きやすいのもメリットです。
もし、経営資金が不足した場合、低利ですが融資も受けられるほか、共済金を一時金あるいは年金として受け取ることも可能です。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」に該当します。
また、確定申告の際、掛金を全額「小規模企業共済等掛金控除」として申告できます。これは、所得控除にあたるため、申告する際は青色申告決算書ではなく、確定申告書上で申告しましょう。
青色申告特別控除を最大限利用する
節税をするには「青色申告特別控除」も最大限利用しましょう。
「青色申告特別控除」とは「青色申告」でできる特別控除で、白色申告ではできません。控除額は、65万円、55万円、10万円の3つのどれかです。この所得控除は、青色申告者が一定の要件を満たす必要があり、金額によって条件が異なります。
控除を受けられる条件は以下の通りです。
【65万円控除を受けたい場合】事業的規模での不動産所得または事業所得がある複式簿記で記帳をしている確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付しているe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存をしている【55万円控除を受けたい場合】事業的規模での不動産所得または事業所得がある複式簿記で記帳をしている確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付している【10万円控除を受けたい場合】65万円もしくは55万円の条件に満たさなかった場合に適用
通常、所得は収入から必要経費を差し引いた金額にあたりますが、青色申告特別控除制度を最大限活用すれば、最大65万円まで差し引けるため、所得税の節税につながります。さらに、国民健康保険や住民税も節税できるため、個人事業主はぜひ活用しましょう。
可能であれば、65万円控除をもらった方が節税になるため、あらかじめ条件を満たしておくことをおすすめします。
節税対策を成功させるポイント
節税対策を手順通り進めたとしても、なかなか節税の効果が表れにくいケースがあります。これは、節税をより効果的にするポイントが発揮できていない可能性が高いため注意が必要です。節税効果を最大限発揮させるために、以下のポイントを覚えておきましょう。
税理士に相談するメリットと選び方
自分なりに節税方法を調べるにも限界があります。それだけではなく、実際に節税対策を進めていく上で分からないことも出てくるでしょう。そのような時は、税理士に相談することを検討してみてください。
税理士は「税務相談」を受け付けています。「税務相談」とは、税理士法によって定められている税理士の独占業務の一つです。個人事業主の節税に関する相談をはじめ、事業計画に関する相談や融資に関する相談、資金繰りなどについての相談も受け付けています。
税務相談ができるのは、税理士や税理士法人のみとなっているため、貴重なアドバイスをもらえるでしょう。税理士に相談するメリットは主に2つあります。それは「正しく節税できること」と「税務調査されにくくなる」ことです。税金に関する法律は複雑であるため、ある程度専門的な知識が必要です。そのため、自己判断をしたり、税金に関する知識がない一般企業に判断を委ねるのはおすすめできません。
その点、税理士は国家資格を持っているいわば「税金のプロ」です。そのため、安全かつ確実に節税できるメリットがあるのです。安全に節税できるため、税務調査されにくくなるメリットもあります。税務調査とは、税務署が直接確定申告内容に虚偽がないか確認することです。
個人事業主の確定申告は「自己申告制」です。そのため、申告内容に誤りがあったり、故意に申告内容を変えているケースが見受けられます。そこで、税理士に確定申告を委託すれば、このような事態を避けられるのです。では、税理士はどのように選べば良いのでしょうか。
節税対策における税理士を選ぶ時は、以下の特徴を抑えている税理士であるかチェックしてください。
最新の税法を熟知している相談だけではなく提案もしてくれる節税によるメリットだけではなくリスクに関しても説明してくれる税務調査にも対応できる
無料相談窓口を設けているところもあるため、まずは一度試してみて、上記項目を満たしているか確認してみましょう。
経費管理を徹底して節税効果を最大化
節税するにあたり、家賃や光熱費以外の経費管理もしっかり見直しましょう。もしかすると、今まで以上に節税できるかもしれません。例えば、生命保険に加入している場合は「生命保険控除」を受けると、所得金額から最大12万円控除可能です。生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料で最大4万円ずつ控除可能であるため、組み合わせて節税効果を最大化させましょう。
また、病院で払った医療費も控除対象です。1年間にかかった医療費が一定額を超えると、所得控除が適用されます。生計を共にしている配偶者や親族のために支払ったものも対象になるため、領収書を必ず保管しておきましょう。
節税を取り入れる際の注意点
節税方法によっては手続きが難しく、時間を要する場合があります。そのため、取り組む節税方法が難しいと感じた場合は、一度税理士に相談してみましょう。
さらに、節税方法によっては、届出を提出しないと受理されないものもあります。提出書類には期限日があり、期日をすぎると受理されません。確実に申請するために、期日を確認し、早めの提出を心がけましょう。
まとめ
節税対策は税金を節約するだけではなく、事業運営や事業計画の見直しにもつながるのです。ただし、個人事業主の節税対策は短期的なものではありません。
ぜひ本記事を読んで、適切な方法を学び、長期的な視点で取り組むことをおすすめします。