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「興味を持つから、生き抜いていける」。そう感じさせるバイブル的な作品ーー『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』最終(ファイナル)シーズン 第2クール:小林裕介さん×野島健児さんインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

TVアニメ『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』最終シーズン第2クールがTOKYO MX他にて放送・配信中です。

『Dr.STONE』(ドクターストーン)は稲垣理一郎先生×Boichi先生による人気コミックスで、週刊少年ジャンプ(集英社)にて、2017年より2022年まで連載されました。2019年にはTVアニメ放送が開始。2025年1月より物語の最終章『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』(分割3クール放送予定)が始まり、現在は第2クールが放送中です。

最終シーズンで、人類石化の黒幕・ホワイマンの本拠地“月”を目指す千空たちは、ゼロから宇宙船を作るビッグプロジェクトへと乗り出し、その第一歩としてアメリカ大陸へ。そこで出会った科学の師匠Dr.ゼノたちとの最終決戦を迎えます。

アニメイトタイムズでは、放送を記念して石神千空役・小林裕介さん、Dr.ゼノ役・野島健児さんにインタビュー。キャラクターの関係性から作品の見どころはもちろん、ご自身のクラフトについても語っていただきました。

※以下、『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』第1クールのネタバレを含みます。

<これまでのお話>
ゼノ軍との戦いの末、ペルセウス号を占領された千空たち科学王国。しかし、クロムたちがゼノの捕獲に成功。千空はコーンシティをニッキーたちに託し、スタンリーの猛追をかわしながら、石化光線発生の地・南米を目指す。そして、千空は石化光線と月の謎を突き止めるべく、かつての科学の師匠であるゼノとタッグを組む! 地球最強の科学者が二人、互いの知見を持ち寄り、忌まわしき光の正体に迫る……!

【写真】『Dr.STONE』第4期第2クール 小林裕介&野島健児インタビュー

お互いにとって特別な存在 千空×ゼノ

――お互いのキャラクターについて、お聞かせください。

石神千空役・小林裕介さん(以下、小林):Dr.ゼノは(千空の)科学の師匠にあたるような存在です。知識は千空もすごいですけど、ゼノの方が抱えている知識の総量としては多いだろうし、それをスラスラと説明できるところに、天才らしい圧も感じます。

原作を読んでいた時は、ゼノはどこかダークサイドな感じで、けっこう低めの音ですごむようなキャラクターになるのかなというイメージが自分の中でありましたが、ゼノが初登場するアフレコ収録で聞いた野島さんの演じるゼノは、どちらかというと、静かで、クレバーさを前面に押し出すようなお芝居をされていていたんです。

自分が予想していたキャラクターの印象以上の演技を野島さんがされていたので、非常に驚いたのと興奮したのを覚えています。あの顔の傷も含めて、マッドサイエンティスト感がもっと根底にあるのかと思いきや、そこをサラッと超えてくるようなところが魅力的だと思いました。

野島健児さん(Dr.ゼノ役/以下、野島):僕は途中から作品に参加したこともあって、ゼノというキャラクターを作りながら、「この作品のキャラクターの中心として、千空はどういうふうに存在するんだろう?」と思って見させていただいていました。千空は真ん中たる芯の強さを初めから持っていて、本人は周りを引っ張っていこうという意識がなくとも、自然と周りが彼についていきたくなるような魅力を持った存在で、そこが千空たる所以なんだなと感じました。

わりと頭のいい役を演じることが多いんですけど、僕自身はどちらかというと、ゆっくりした人間なんです。なので、「小林さんがどんなふうに天才を演じていくんだろう?」と思って見ていたんですけど、その中で、わりとストレートではない、どこか天才ゆえのクセのようなものがすごく前面に出ていて、「さすがだな!」と感じましたね。

喋り方のトーンや喋り方のクセにしても、「声を聞くだけで彼の天才性と、いい意味での変態性を感じさせてくれる役作りをしているな」という印象を受けました。

――野島さんの演じるゼノからは静かなクレバーさが伝わりますし、作品を見ていると、ゼノの純粋性を感じます。

野島:もちろんオーディションで選んでいただいた役なので、そこを信じて演じさせていただいています。僕の中で、ゼノはもちろん純粋性もあるんですけど、天才ゆえの寂しさもあるんだろうなと思って、そこを主軸として、僕の中で役をつかんでいきました。だから寂しさゆえに、裏を返せば本当は人が好き。好きだから傷つきたくないし、拒絶する部分や寂しい部分を常に持っているのではないかと思っています。

起点にあるのは、幼い頃のいろんな経験だろうなと。子どもっぽい部分も持っているから、もしかしたらそこが純粋性みたいなところに繋がっていくのかもしれないですし、あとは純粋に科学が好きなんだと思います。

――スタンリー・スナイダーという理解者がいても、孤独なんですね。

野島:彼はもちろん大事な信頼のおける仲間です。ただその反面、みんなに「知ってほしい、わかってほしい、わかり合いたい」とも思っているのではないかと思っています。でも天才ゆえに、同じレベルで会話ができる相手がなかなかいないし、理解されづらい存在なので、より自分を知ってほしいんでしょうね。理解者がいないゆえの孤独を持っているんだと思います。

――千空はいかがですか。

小林:彼にはそういう孤独感を感じていないですね。彼の一番の願望は宇宙に行くこと。しっかりとした目標があるから、それに向かって、ただただまっすぐ進んでいく。それこそ、人の目をそもそも気にしていない。

そんな中でも(大木)大樹や、(小川)杠たちがある意味、勝手についてきてくれたという感じ。自分がやりたいことをやっていただけなんだけど、それでも自分のそばに居てくれた事には、もちろん拠り所として感じていると思います。

野島:あとは、やっぱりお父さん(石神百夜)の存在が大きいよね。

小林:パパからの愛がすごいですよね。そもそもゼノは、科学においては、自分が全てやる。それを実行するのはスタンリーや他の人たちがいる。

でも千空は、科学の分野においても、一人ではできないことは人の手を借りるということをずっとやってきたので、それはもしかしたら、百夜がほしいものを買い与えてくれたことも影響しているかもしれない。結局自分一人ではなくて、人からの助けというものがなければ、やれないということを幼少期から何となく感じていたからなのかなと思っています。

――千空は自分で思いついたクラフト技術を惜しみなく、他の人に教えることが印象的です。

野島:自分の目的を遂行するために、知識があるということですね。

小林:結局科学というのは積み重ねで、今まで何千年と受け継がれてきて、今があるということを知っているから、自分で留めることは愚かだと思っているんじゃないですかね。

自分でできることには限度があって、いろんな意見や発想があるから、いろんなエンタメが生まれていますから。とにかく、楽しいものをもっと知りたいという知識欲があるからこそ、どんどん進んでいく。本人は知識をバラまいているつもりはないとは思いますけど(笑)。

天才同士がクラフトする めちゃくちゃ平和な楽しい瞬間

――今回のクールならではの見どころや注目ポイントを教えてください。

小林:科学者二人がそろったことによる、進歩のスピードはすごく早いなと思います。今までは科学を説明しては、「どういうことだ?」、「つまりこれはこう~」と聞かれて、答えて、聞かれて、答えてというスピードでしたが、今回のクールでは、答えて、答えて、答えて、答えてというテンポの良さ。

だから石化光線の発信源も二人の知識があったからこそ、導くことができたというのもあるし、そこに至るまでの用いた時間も、今までに比べたらだいぶ短縮されています。科学が進化することに対して、今まで以上のテンポの良さがありますね。

それから今回、常にタイムリミットを設けられたうえでの科学クラフトなので、そのテンポの良さと、(スタンリーたちに)追い付かれるんじゃないかという緊張感が常にある点は見どころなんじゃないかなと思います。

今まではぶつかりさえしなければ、時間をかけても多少余裕があったんです。科学のアドバンテージがない分、より緊迫している空気がアフレコ収録をしていても感じられて楽しかったです。

野島:石化光線の発信源を探し、計算することもありますが、純粋に心の底から楽しんで、いきいきとしているあの二人の背中、二人の行動、そして一回脳を通しているのかもわからないぐらい素早い会話。そんな二人の姿を見て、「ゼノも千空もいろいろなしがらみとは全く関係なく、めちゃくちゃ平和な楽しい瞬間がここにある」と微笑ましく感じています。

今回は天才同士で単純に楽しいんじゃないですかね。「この人にわかるように言わなくては」というのがない。そのまんまの自分でしゃべっても、何の問題のない相手。

すごく力の強い相撲取りが小さい弱い子どもと戦ったら、加減もしなくてはいけないし、子どもは頑張らなくてはいけないという気持ちになるけど、同じ土俵に立つもの同士がぶつかり合ったら、やっと本気を出せるし、やっと自分自身を認められる。相手も認めてもらえるところにいけたんじゃないかなと思いました。だから、グラフィックも二人とも子どもみたいなデフォルメキャラになるじゃないですかね。

小林:なりますね。

野島:あれは子どもの時の純粋性のまま、共に楽しんでいる瞬間として描かれているんだろうなと思いました。

小林:これまでも千空がクロムと一緒にクラフトしていく中で、クロムが意外な着眼点を見つけてきて、千空が「そういうのもあったのか」という気づきはあれど、対等という意味では、千空にとっても初めてだったと思います。

野島:もちろん熱量もすごいんですけど、もしかしたらゼノはあの瞬間をきっとどこかで思い出すんじゃないのかなと……。今回本当に純粋に楽しく科学を千空とやりあえて、共に目的に向かっていくというのは、ゼノの人生で初なんじゃないかなと思うんです。

ゼノが「あの時、楽しかったな」と思い出せるくらいのキーポイントなんじゃないかなと感じました。これまでの彼の人生でそういうことがあったかわからないし、あったら、もうちょっと違う性格になっていたんじゃないかなと思います。

小林さん、野島さんの科学技術を駆使したクラフト

――この作品で千空たちはクラフトしますが、お二人は何かクラフトはしますか。野島さんは以前、農業をされているとお聞きしました。

野島:僕は変わらず畑をやっています。もう窒素、リン酸、カリウム……。

小林:(驚きながら爆笑)

野島:その植物が必要とする栄養素など、そういったものの知識があるとないとでは全然違います。土壌に何が足りてなくて、何が多すぎるんだろうというバランスを取りながら、畑の肥料を考えたりしなくてはいけないんです。酸性なのか、アルカリ性なのか、それがわからないと野菜をたくさん育てることはできません。

自分が食べる分だけだったら、そこまで必要はないですけど、いきいきと植物に育ってもらうために、科学知識は必要なので、それをもとにやっています。今はバカみたいにきゅうりが獲れて……。

小林:(笑)。

野島:きゅうりもなすもトマトもししとうもピーマンも枝豆もとうもろこしも……。区民農園ですが、規模感がやばい……。

一同:(笑)。

――いつ頃から農園を始めたんですか?

野島:科学的知識を持って、畑仕事をしているのは2、3年前ですけど、科学的知識がなかったなら、8歳ぐらいからやっています。今は科学の畑をやっていますけど、以前はナチュラルな畑でした。

――失敗することもあるんですか。

野島:あります、あります。去年は冬場に空心菜を作ったら寒さにやられて全滅してしまいました。2週間後にまた空心菜を植えるんですけど、今年は失敗しないように育てたいなと……。

小林:トライ&エラーだ!

――科学知識は役作りやお芝居などに役立ちますか?

野島:何かどこかにあるんですかね。しゃべりながら理解しているのと、理解していない言葉は全然違いますよね。セリフの乗り方は違いますし、何を言っているかわかっていると安心ですよね(笑)。

――小林さん、いかがですか。

小林:(困った感じで)えぇ……。

一同:(爆笑)

野島:今の話を聞いたら、話しづらいよね(笑)。

小林:科学的なことであれば……自炊をするんですけど、最近見ているYouTuberの料理人の方が科学的にどうやって料理を美味しくするかを実践しているんです。

たとえば、普通の人が何の下ごしらえもせずに焼いた鶏肉と、プロが作った時の違いみたいなものをご自身で再現されています。「なぜこうなるかというと、グルタミン酸は何度になると、分解されてしまうので、こういうふうに作ると、とっても美味しくできます」と細かい科学の知識を使って、料理を作っていらっしゃるのを見て、たまにそのように作っています。

野島:すごい!

小林:何もしないものと、しっかり下ごしらえしたものを作って「マジだ全然違ぇ! 鶏肉のジューシーさがまるで違うし、できた時のふくらみ方も違う!」と感じながら、たまに作っています。

野島:確かに、料理は科学です。特にお菓子作りはめちゃくちゃ科学ですよね。

小林:そうです。お菓子作りは本当に分量を量り、ちゃんと温度を守ったらできるけど、焼くのは強火、弱火というちょっとした微妙なものがあるじゃないですか。「そんなの、わからんわ」という感じでしたが、最近はレーザーポインターを当てたら、温度がわかるんですよ。

野島:えぇ~~~、科学だ!!

小林:なるべく理論的に美味しくなるものを作りたいと思って、とにかく調理器具だけは集めています。

野島:面白い! 感覚じゃなくて、数値化しているんですね。

小林:卵を割る時に、鍋の近くギリギリから落とした方が細胞も壊れなくてフワフワになるとか。

野島:なるほどね。

小林:目玉焼きも油をけっこう多く入れて、卵をそっと割ってフタをして5分ぐらい蒸し焼きにすると、焦げ目とか裏に全くつかずに、フワトロのやつになる。それを朝ごはんに食べるだけで幸せになる。

野島:それやってみる!

小林:ぜひ! 「もったいない!」と思うぐらい油を入れてください。というように僕は科学を使って料理を“たまに”します。毎日ではないので「たまに」と書いておいてください(笑)。

――それは役作りやお芝居などに役立ちますか?

小林:先程も野島さんがおっしゃっていましたけど、「知ってる、知らない」だけかもしれません。ただ「料理は科学だ」と言っていますけど、全部繋がっているんだろうなと思うと、きっと頭のどこかにそういうものが出るんだなとは思いますね。

野島:フランソワも美味しく作ろうとしていますしね。

小林:あとは作中で出てきた式は調べるようにしています。

野島:偉い!

小林:理系だったので、「あぁ、すげぇ! トリチェリーの定理(※1)出てきた!」とか、「ベルヌーイ(※2)が出てきた!」というのがあって、ちょっと嬉しくなる時があります。

野島:全然わからない……。

※1:トリチェリーの定理…1643年にイタリアのトリチェリーが発見。容器の底に開いた小さな穴から流出する液体の速度を計算する式。流体力学の基本的な法則

※2:ベルヌーイの定理…1738年にスイスのベルヌーイが発表。流体の圧力・速度・高さ(位置エネルギー)の関係を記述する式。流体力学の基本的な法則。

――最後に、今シリーズを楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。

小林:クラフトのレベルはシーズンを経ていくとどんどん上がっていくものです。そこをすべて理解したり、ついてこられなくてもいいので、「あぁ、そうなんだ~」くらいの気持ちで見ていただきつつ、今作は心が苦しくなるシーズンになるなと思っています。特に今回のエンディングテーマが泣けるんですよ。

「あぁ、だからこの3人なんだ」というのに目頭が熱くなったり、今までとは違う涙がこぼれるんじゃないかと思っているので、心して見ていただきたいと思います。

野島:小林さんのコメントが素晴らしすぎて、何も言えない(笑)。単純な話なんですけど、僕は家族そろって見てもらいたい作品だと思っています。

子どもたちの夏休みの自由研究の参考にもなるし、僕の子どもはもう大きいんですけど、もしまだ小さかったら、見せたい番組だと思います。科学的なことだけではなくて、いろんなこと、いろんなジャンルで楽しむ要素が入っています。

いろんな人たちが「楽しむということは、どういうことなんだろう?」、「生きるって、どういうことなんだろう?」という原初的なことから、この世の中にある様々な出来事に関して、彼ら天才だけじゃなくて、いろんな人たちがいろんなものに興味を持って生きていく。興味を持つから、生き抜いていける。興味を持つことの楽しさやいろんな仲間たちが実は周りにいるんだということを気が付かせてもらえる、バイブル的な作品だと思っています。

子どもがいなくても、周りの子どもをひっ捕まえて(笑)、大人も子どもも一緒に見てもらえたら、楽しんでもらえる作品だと思っていますので、ぜひぜひこれからもいろんな子どもたちに見せつけてください。お願いします!

――ありがとうございました!

[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク) 撮影/胃の上心臓]

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