トリマーのスキルを生かした保護活動 幸せな家庭に迎えられた犬たち
ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。
今回は、トリマーのスキルを生かした保護活動を始めて、現在までに500頭を超える犬たちの命を救ってきた「GOGO groomers」代表・猪野わかなさんの取り組みを紹介します。
目標は、トリミングサロンが犬と暮らす人々の交流の場となり、犬も人も幸せにすること
2019年に、東京都のAさん宅に迎えられたよつばちゃんは、最初は極度にビビリな犬でした。「たまたま訪れた譲渡会でよつばに出会ったのですが、ほかに参加している保護犬のなかでいちばん愛想がなく浮いた存在だったんです(笑)。そんなよつばがとても気になり、家族に迎えることに」とAさん。迎えた当初、散歩に行こうと外に連れ出した途端、よつばちゃんは大パニックを起こし、Aさんは途方に暮れたそうです。そして、猪野さんに相談したところ、フォスターサロン・ジャパンからドッグトレーナーを紹介してもらい、長い期間をかけて散歩の訓練を行いました。その結果、今では散歩が大好きに。
「2022年の秋には譲渡された犬たちの『里帰り会』があり、よつばも楽しく参加することができました。これからはドッグカフェなどにも挑戦していきたいです」とAさんは話します。
次に2022年に東京都のSさん夫妻の家族となったこやすくんは、11才のときWANBOで保護されました。
「猪野さんからは『感情の起伏が激しいコなので最初は注意が必要かも』と言われましたが、わが家に来た直後からリラックスしてくれて本当にいいコだったんです。私たち夫婦との相性がよかったのかもしれません(笑)。今ではとても甘えん坊になり、かけがえのない家族に!」とSさん。
この夏にはこやすくんといっしょにグランピングに行きたいそう。
トリミングのボランティアだけでなく、保護犬と人を幸せの架け橋でつなぐ猪野さん。今後については、「WANBOが地域のペットと暮らす人々のコミュニティの場になれたらと思っています。高齢者が病気などでペットの飼育困難になったときの相談窓口になったり、犬の問題行動に悩む飼い主さんのサポートをしたり。その結果、犬も人も幸せに暮らせる地域づくりに少しでも貢献できるのでは」と話してくれました。
出典/「いぬのきもち」2024年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/GOGO groomers
取材・文/袴 もな
※保護犬の情報は2024年2月6日現在のものです。