ブラッド・ピット、『セブン』当時はドン底だった ─ キャリアに迷い、カメレオンと暮らし、コーラとマリファナ漬けの毎日
ブラッド・ピット&モーガン・フリーマン主演、デヴィッド・フィンチャー監督による傑作サイコサスペンス映画『セブン』(1995)。製作から30年を経てなお熱狂的に支持されているこの作品に出演した当時、ピットは「もっとも不健康な時期」を送っていたという。
トーク番組「」にて、ピットは出演を引き受けた1994年当時を振り返っている。「94年はとんでもない年でした。カート・コバーンが死んで、O・J・シンプソン事件が起きて……」。
90年代前半、ピットは『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)や『トゥルー・ロマンス』(1993)『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(1994)といったキャリアを代表する作品に出演した。しかし、「いくつかの仕事はあまりいい経験ではなかった」と告白する。当時は未来が見えず、苦しい時間を過ごしていたそうだ。
「自分が何をしているのかわからなかった。本当に奇妙な夏でした。当時の彼女が爬虫類に夢中だったので、カメレオンを40匹飼ってね。独身向けの部屋で、窓がたくさんあって、部屋はテラリウム(飼育用容器)だらけ。もっとも不健康な時期でした。逃げ出したかった。朝起きて、ボングでマリファナを吸って、氷を入れたコカ・コーラを4本飲んで、食事はしない。O・Jの裁判を見ながら、“次はどうしよう、何をしよう”と。」
しかし、そんなときに出会ったのが『セブン』の脚本だった。ピットが「親友であり、マネージャーであり、今では姉のような」存在だというシンシア・ペット=ダンテから「読むべきだ」と薦められたのだという。
「だけど最初の7ページを読んで、“ふざけてるのか?”と言ったんです。年寄りの警官が仕事を辞めたがっていて、そこに若い警官がやってきて、高校時代のフットボールのトロフィーを見ているような、いかにもありきたりな話だと。すると、彼女は『最後まで読みなさい』と。その後、フィンチ(デヴィッド・フィンチャー)と会ったら、彼は映画について、今まで聞いたことのないような話をしてくれました。」
この経験が、ピットに『セブン』への出演を決意させた。「以前の情熱が戻ってきた。自分の求めていたものが蘇ってきました」という。その後、『セブン』はピットの新たな代表作となり、フィンチャーとは『ファイト・クラブ』(1999)や『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)でもタッグを組んでいる。
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現在、ピットは演じたデヴィッド・ミルズ刑事役について、「彼はこの世界を理解していると思っている。その無知と傲慢さが好きでした」と語っている。ミルズは「この世界を自分の庭のように見ていて、自分とは別の考えを持つ人や、隠れた動機を持つ人、異なる美しさや信念を持つ人がいることを理解していない」のだと。
ただし、ピットは「こうした“傲慢さ”は、僕にとっても常に重要なテーマでした」といい、自分自身と重なる部分があったことを明かしている。「僕がこれまで打ちのめされてきたのは、すべて傲慢さのためでした。自分は状況を理解している、真相がわかっていると思っていたんです」。
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