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ZAZEN BOYS×ドレスコーズ+味園ユニバース=まぜるな危険な熱闘『Next To 湯(You)#2』レポート

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『Next To 湯(You)#2』ZAZEN BOYS、ドレスコーズ

『Next To 湯(You)#2』2024.8.24(SAT)大阪・味園ユニバース

ZAZEN BOYS、ドレスコーズが出演したライブイベント『Next To 湯(You)#2』が8月24日、大阪・味園ユニバースで開催された。『Next To 湯(You)』は、関西のコンサートプロモーター・清水音泉がこの春、新たに立ち上げたライブイベントで、3月に同所で行われた初回は、崎山蒼志、Helsinki Lambda Club、リーガルリリーの3組が火花を散らし話題に。第2回目となる今回もZAZEN BOYSとドレスコーズと、「オルタナティブ」をテーマに掲げた『Next To 湯(You)』にふさわしい、究極の2組がぶつかり合う熱湯、ならぬ熱闘となった。

ZAZEN BOYS

階段を降り『Next To 湯(You)』ののれんをくぐれば、そこは桃源郷。かつてはキャバレーとして栄えたレトロなネオン揺らめく味園ユニバースには満員御礼ソールドアウトの観客が待ち構え、開演時間ジャストにまずステージに現れたのは、向井秀徳(Vo.Gt)。どよめくフロアを横目にチューニングを済ませ、缶ビールを開ける音が開演の合図。

「大阪シティ、MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYS」(向井、以下同)と手短にあいさつし、歓声とともに吉兼聡(Gt)のエッジィなギターリフが走り出す。12年ぶりにリリースしたアルバム『らんど』でもオープニングを飾る「DANBIRA」を早速披露したかと思えば、「MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYS」と念仏のように繰り返し、「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」では、松下敦(Dr)が中心となって叩き出す変態ビートの応酬でトリップさせる。ZAZEN BOYS×味園ユニバース、この組み合わせはやはり危険にして極上!

「一応、言っておきます。MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYSです。大阪シティは、やっぱり今日も土曜日で。それはつまり一言で言うと「Weekend」」
そんな口上から、リフレインの高揚感と轟音ファンクにどっぷり浸らせた後は、「大阪シティ、ちょっとね、ここでとても大事なお知らせがあるんですけど、我々、MATSURI STUDIOからやってきたZAZEN BOYSです」と告げ、ここからは再び『らんど』の収録曲が続く。

鋭利な刃物のようなギターとパーカッシブな語感で絶え間なく攻め立てる「バラクーダ」、2本目の缶ビールを開け、MIYA(Ba)の歪んだベースが扇動した「八方美人」、「あの、一言だけ言っておきたいんですけど、多分忘れていると思うんですけど、MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYSです」となだれ込んだ「チャイコフスキーでよろしく」~「ブッカツ帰りのハイスクールボーイ」のメロウネスと静かなる躍動感には、自ずと肩が揺れる。

オルタナティブロックへと回帰した『らんど』の世界観は『Next To 湯(You)』とベストマッチで、軽々しく言いたくはない唯一無二という言葉以外に適した表現が見つからない、「This is 向井秀徳」な音塊を軽々とかき鳴らす光景は壮絶の一言に尽きる。それは、バキバキでスリリングな変則ダンスナンバー「COLD BEAT」、「この時間になりますと、ここにいらっしゃる皆さんが全員、男性女性関係なく吉岡里帆さんに見えてきます。ありがとうございます」と届けた、音も言葉も中毒性しかない「ポテトサラダ」、ノスタルジックでデイドリーミングな「YAKIIMO」の流れもしかりだ。

「大阪シティの皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。ドレスコーズの皆さんとお会いするのも久方ぶりぶりぶりですけども、いつもながらグラマラスなレスポールカスタムサウンドで。企画していただきました清水音泉の皆さん、ユニバースの皆さん、ありがとうございます。MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYSです」
クライマックスはまたも『らんど』の楽曲群から、ツーコードに乗せたメッセージで心臓を貫いた「永遠少女」、すさまじいテンションで突入した「乱土」~「胸焼けうどんの作り方」という混沌のままクロージング。10月27日(日)には初の東京・日本武道館公演も控えるZAZEN BOYSが放った激ヤバな13曲の強烈な余韻が、いつまでも心と体に残っていた。

ドレスコーズ

転換中の「ゴッドファーザー 愛のテーマ」から切り替わった、カーペンターズの「スーパースター」のSEとほの暗い光を背に登場したドレスコーズは、志磨遼平(Vo)を中心にライブやレコーディングごとに流動的にメンバーが入れ替わるが、この日は田代祐也(Gt)、有島コレスケ(Ba)、ビートさとし(Dr)、中村圭作(Key)を加えた5人編成。映像作品『ドレスコーズの味園ユニバース』に収められた伝説の一夜と同じ面々が再集結した、粋なラインナップだ。

最後に志磨が姿を見せると七色のネオンサインが点灯し、毛皮のマリーズ時代のアンセミックな「ボニーとクライドは今夜も夢中」で幕開け。花のあるロックンロールをかき鳴らし、いとも簡単にクラップを発生させた「この悪魔め」でも、その熱狂は続く。バンドセットでは今年初の大阪公演というのもあってか、待ってましたの期待感と比例する熱気がいつ爆発してもおかしくないヒリヒリとした空気の中、ドラマチックに疾走する「襲撃」へ。まるでドレスコーズのために作られたかのように絵になる舞台で、ザ・スミスのごとく軽快で流麗な「聖者」~「惡い男」と立て続けに魅せていく。

「ようこそ! 今さら僕が説明することもないですけど、ここは70年の歴史を持つダンスホールっていうやつで。高度経済成長期とかバブルの頃は、それはにぎやかだっただろうね。昔は箱バン=キャバレーが雇っているバンドがお客さんのために毎晩演奏して。今日はそれをやってみよう。主役は僕らじゃなくて、そこに立っているあなた、あなた、あなた、あなた、みんなが主役だよ!」(志磨、以下同)

「ヒッピーズ」では、ダンスフロアと化した味園ユニバースで手を振るオーディエンスを見て、「きれいだよ」と志磨。その後も、グッドヴァイブに包まれ溶け合った「エロイーズ」~「すてきなモリ夫(すてきなモリ―)」と、ノンストップでめくるめくドレスコーズの世界へといざなっていく。「少年セゾン」でも舞うように歌い上げる志磨が、恍惚と幸福にまみれた見る者の熱量をさらに引き上げていく。

「どうもありがとう! 楽しい時間はもう後わずかです。思い残すことはない? でも大丈夫、そんなすぐには終わらないから(笑)。じゃあこの不真面目なユニバースの国歌を。君がユニバースのキング、そしてクイーン!」
「コミック・ジェネレイション」は今日イチとも言える盛り上がりで、割れんばかりの大合唱が巻き起こる! そのままイントロからテンション爆裂の「ビューティフル」、天井に吊るされた惑星のように巨大な照明もろとも幻想的な夜へと連れていく「ナイトクロールライダー」と畳み掛け、最終的には志磨がクラウドサーフする怒濤のエンディング!

鳴り止まない拍手に応えたアンコールでは、「今日のこと、どうか覚えていてね、忘れないでね!」と「愛に気をつけてね」を。イベントを取り仕切る清水音泉・女湯ふふみ嬢も、会場の最後方で手を上げ、充実した表情で見守るミュージックラバーぶり。ラストは自らを「ミスターユニバース!」とぶち上げ、多幸感いっぱいに『Next To 湯(You)#2』を締めくくってくれたドレスコーズ。早くも次回が待ち遠しくなる、最高のフィナーレとなった。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 写真=清水音泉 提供(撮影:渡邉一生)

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