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圧倒的芳香のライ麦パン!【麻布十番モンタボー nonowa国立店】(東京都・国立市)

パンめぐ

ライ麦が30%というライ麦の香りが活きるバランスのパン

「リジェネラティブ・ベーカリー」シリーズ

北海道産のライ麦を使ってお店がパンを焼き、そのパンを私たち消費者が食べることが「環境再生型農業」の普及につながるというお話。

農薬や化学肥料に頼りすぎない農業「環境再生型農業」の手法の一つにライ麦栽培があります。
ライ麦は人の背丈ほどの高さまで成長し、と同時に土の中に深く根を張るので畑の保水性や排水性が上がるなどの土壌改良の効果が知られています。

今の日本では緑肥(葉や茎を土壌にすき込んで肥料とすること)にするライ麦品種が主流ですが、ここに登場する“ハンコック”という品種は食用なので、緑肥として、食用として利用価値が高いと期待されているのです。

リジェネラティブ・ベーカリーシリーズではその“ハンコック”を使ったパンを作っているお店をご紹介していきます。

第6弾は「麻布十番モンタボー」の商品開発部長である鈴木清司シェフにお話を聞いてきました。
取材場所は、JR国立駅直結の商業施設nonowa国立EAST内にある店舗。
全国に50あるモンタボーの店舗の中で、こちらのnonowa国立店と神奈川県にある鵠沼海岸店は“国産小麦100%使用”のお店になります。

約2年前に取材させていただいたときに「大手ベーカリーチェーン店で国産小麦100%への切り替えができるのはすごいこと!」とお伝えしましたが、今回はそれに加え、国産ライ麦を使用するようになったそうです。10月14日に解禁になった『北海道小麦ヌーヴォー』。
畑で小麦を「育てる人」、パンやお菓子を「つくる人」、そしてそれらに感謝の気持ちを込めて「食べる人」。
みんなで新小麦の収穫を祝い、共に味わうことで小麦が農産物であること、その年によって味や品質に違いがあること、そして小麦にも旬があるということを感じてもらいたいという想いからスタートしている活動です。
モンタボーさんもこの想いに賛同して参加されています。ヌーヴォー期間、ライ麦商品が下記の15店舗で販売されています。
麻布十番本店/nonowa国立店/鵠沼海岸店/木場店/西友練馬店/西友浜田山店/駒沢店/ココリア多摩センター店/ビーンズ阿佐ヶ谷店/アピタ阿久比店/アピタ北方店/アピタ稲沢店/アピタ桑名店/アピタ向山店/石窯ベーカリー モンタボー一宮店
※準備したライ麦を使い切り次第、国立店、鵠沼海岸店以外では販売終了となる予定。

ライ麦応援に参加しようと思われたのはなぜ?

昨年、アグリシステムさんの北海道小麦ヌーヴォーツアーにモンタボーから私含め3名が参加し、初めて北海道の農家さんの大変な努力の上に小麦が育てられ、収穫のタイミングも1日単位で見極めなければならないとてもシビアな世界だと知りました。
そのときに「オーガニック農家を増やしたい、オーガニックライ麦の生産を増やしていきたい」という声を聞き、その努力に少しでも報いることができるよう、我々チェーン店として、一企業として、なるべく多くの店舗で使うことが農家さんの応援に繋がると思い、ヌーヴォーイベントに参加し始めた当初の2店舗から今年は15店舗まで取り扱い店舗を広げました。

国立店、鵠沼海岸店以外の店舗ではしばらくの間ライ麦商品の販売がありませんでした。それは、ライ麦や全粒粉に対するお客様の反応が薄く浸透しなかったからです。
今回の『北海道小麦ヌーヴォー』というイベントを通じてまずライ麦パンを手に取ってもらい、土壌改良や環境改善にもつながるという取り組みを多くの方に知ってもらえたらと思います。

今回のライ麦商品が各店で定着すればしっかり量も使えるようになり農家さんが安心してライ麦を作れるようになると思うのです。

今までに使ったライ麦との違いは?

香りが抜群にいいです!作っている自分たちが「やっぱりいい香りするね」と感じています。
食べていてクセになる美味しさです。
最初は少なめの分量からスタートしましたが、味わいがあるし分量を増やしても苦みやえぐみが出にくいように思います。
粒子も細かいので製パン性が高いです。

どんな商品に北海道産ライ麦を使っている?

「麦の余韻」という九州産小麦さちかおりと北海道産オーガニックライ麦ハンコックを使用した、香りのとてもいいシンプルな食事パンと、
その生地にレーズン、クルミ、オレンジピールを練り込んだ「麦の余韻とフルーツ」、
「麦の余韻」に国産鯖をサンドした「麦香る国産鯖サンド」の3品です。各店舗のスタッフが作りやすい工程を考え、普段作っているバゲット生地の派生アイテムとして作っています。
具体的にはライ麦をペースト状にしたものを後入れで練り込むという方法です。
小麦が70%、ライ麦が30%というライ麦の香りが活きるバランスに仕上げています。
鯖サンドは、シンプルなライ麦パンをどうやって食べればいいかわからない方にも好評でよく売れています。
「宝幸」さんの国産鯖のオリーブオイル漬けの缶詰を使い、レッドオニオンと人参のマリネを上に添え、さらに食べやすいようにバジルガーリック風味のペーストを少しパンに塗っています。
店頭にこの鯖缶も並べているので、プレーンなライ麦パンと共に購入しご自宅で作るという食べ方のご提案も、昨年国立店と鵠沼海岸店ではPOPを作って勧めていたのでだいぶ認知されています。

ハンコックを使ったパンを実食!

◆麦の余韻
ライ麦特有のクセのある香りはせず、香ばしさが前面に。香りだけですでに食指が動きます。
クラストは厚めでカリッといい音。嗅ぐより食べたほうがお煎餅のような香ばしさが口内から鼻腔を抜けていってうっとりする美味しさ。
クラムはむっちり高加水。ねばついたりもせず口どけはサラリ。クラストとクラムと一緒に食べると香ばしさと甘み、食感のコントラストが楽しめて最高です。
家にあった豚のリエット(塩やラードと共に煮込んだ豚肉をペースト状にしたもの)を塗って食べたら相性抜群!!
油分との相性がいいので、バターやチーズを塗って好きなものを挟んでお好みのサンドを作ってみてくださいね。
◆麦香る国産鯖サンド
「麦の余韻」に国産鯖のオリーブオイル漬け、人参マリネ、甘めの味付けのレッドオニオンマリネが全体をまろやかにしています。缶詰を使ったことで青魚の臭みもなく、食欲そそるバジルガーリック風味のペーストの味にパンが負けないのはライ麦パンだから。
他店の鯖サンドは脂ののった焼き鯖を使うところが多いように思いますが、モンタボーさんのはさっぱりとしているので試してみてほしい一品です。

ライ麦に限らずお店で人気のパンもご紹介

◆もっちりブール クーベルチュール
食パンを普段召し上がらない方にも食べてみてほしいという想いから作られた角食の生地を使った丸パン。
とってもふんわりとして触っているだけで心地いい。食べるともっちり感もあり、ふわもち食感好きな人に絶対ハマります!
大きめのチョコチップが中に散りばめられていてどこを齧ってもチョコがでてきてチョコ好きさんも大満足!
もっちりブールはプレーン、スイートコーン、クーベルチュールの3種類があります。
◆全粒粉ブレッド「健美」
今年初めに開催された「第5回 ベーカリー・ジャパンカップ」食パン部門で入賞した鈴木シェフ考案の食パン。
十勝産小麦100%、全粒粉を配合し10種類の穀物を練り込み、食物繊維たっぷりです。
手にしただけで穀物の香ばしい香りが漂ってきます。この香ばしさはアグリシステムさんの「ゆめちから全粒粉」ならではだそう。
見るからにふんわり、クラストは少し引きがあります。
香ばしい黒ごまの香りも感じられ、香りだけならハード系っぽいのですが、食感はしっとりふわふわなので、つい食べ進めてしまいます。
健康にいいならもう少し食べてもいいかなと食べすぎ注意の美味しさです。
※現在は、国立店と鵠沼海岸店のみで取り扱っています。

国産小麦を使うようになって感じることは?

「麻布十番モンタボー」全体では「北海道牛乳パン」が一番の柱です。それ以外だと食パンが売れ筋になってきています。
その中でもシンプルな「麦の輝き」が角食・山食共に一番出ます。
国立店を取材していただいた昨年2月時点では、菓子パンより食事パンの売上比率がアップしてきていると話しましたが、国産小麦100%の店舗に変わって丸2年、圧倒的に食事パンの売上が強い店舗になりました。日々の食事に必要とされていることを実感できて嬉しいです。

麻布十番の本店は通常商品に加えて早い時期にバゲットや食パンなどの国産小麦商品を店頭に並べるようになりました。
「ゆめちから全粒粉ブレッド」という食パンは売れ行きはスロースタートでしたが、徐々に販売数が伸びています。
最初は全粒粉のハードルが高そうでしたが「食べてみると香りがいい!一度食べると白い食パンが物足りなく感じる」という声をいただくようにもなりました。
ライ麦も同じように時間がかかるかもしれないけれど浸透していくと思っています。

製造の現場では、国産小麦もそうですが使ったことのない粉が店舗に入ってくることが従業員の教育の機会となっています。
初めて国産の粉を使ってみて「外国産とはこういう違いがあるんだ」と感じてもらえます。

チェーン店なのでどうしても店舗によってばらつきが出てしまいますが、そこで「ばらついたから無理だ」となるのではなく、どうしたら納得のいくものが作れるのか作り手側の勉強になるのです。

現在、社内での勉強の機会が減ってきていますが、新たに勉強の場を設けなくても現場にいるだけでそこが学びの場になります。
当初は「全然できません(涙)」という声も聞かれました。ミキシングスタートのまとまり方とか水和するスピードの違い、見た目もいつもの回っているときと違うから心配になってきます。
慣れてくると触らなくても見てわかる、大丈夫となっていたのが、やはり初めての粉の導入時には当たり前だけれど触らないとわからない。
そこで生地を触る、味見するなど基本に立ち返るのです。
難しいと感じても諦めずに作り続けないと上達はしません。

会社として国産小麦の需要が増えていることを実感しています。
個人店のようにすぐに導入できる環境ではないけれど、50店舗ある中でどれだけ国産小麦や北海道小麦ヌーヴォーの取組店を増やしていけるか頑張りたいです。

これからどのようなお店にしていきたい?

私がずっと思っているのは「モンタボーというブランドをもっと引き上げたい!」ということです。
チェーン店だけれど他がやっていないような取り組みだったり価値というものを会社全体として出せるよう、成長を進めていくことが大事と考えています。

私が入社した当初、一番店舗数が多い時期(100店舗くらい)でとても盛り上がっていて勢いもありました。
その頃からのモンタボーのパンのファンの方もいていまだに買いに来てくださいます。
あるとき「昔のモンタボーは美味しかったんだよね」と言われてハッとしたことがあります。正直に伝えてくださりありがたいと思いつつ「あぁ、まずいなあ。これはもう一回モンタボーの美味しさだったり、モンタボーと言えばというものを作り上げないといけない」と思いました。

ちょうどその頃に国産小麦の取り組みがスタートしました。
国産小麦100%のお店は当初は1店舗のみ。現在は2店舗になりましたが、3店舗4店舗とどんどん広げていき『モンタボーと言えば国産小麦のパンだよね』という声が、現状の『モンタボーと言えば北海道牛乳パンだよね』に次いで聞こえてくるようになったら成果としてやった甲斐がありますし、会社としての価値も上げられるのではと考えています。

国産小麦や国産ライ麦を通じて会社全体がレベルアップをしていけば「チェーン店でもここまでできるんだ!」と感じてもらえますし、他業種からのパン業界参入がある時代に、最終的に「モンタボーなら安心安全な国産小麦&ライ麦を使った美味しいパンを買える」と広く認識されるようにしていきたいですね。

鈴木清司シェフ

入社から「麻布十番モンタボー」一筋の鈴木シェフ。
パン屋になりたい!と思って始めたわけではなかったそうですが、自分で一から作れるのが面白く、先輩の技術を見ては「この人の食パンはなんでこんなに綺麗に焼けるのだろう?」「コロネの巻き方が上手だなあ」など自分もそうなりたくてどんどんパンの世界にハマっていったそう。
オールスクラッチだからこそチェーン店でも違うものができあがってしまうのだけれど、そこが難しさでもあり面白さでもあります、と上の立場になられてもやりたいことに向かって突き進んでいかれる鈴木シェフのお姿に心動かされました。

お話を聞く前は「甘いパンや総菜パンが人気のチェーン店」という認識でした。
でも実際に国産小麦&国産ライ麦のパンを食べて、その香りの良さ、素材の旨みを感じられるパンに「より多くの方に食べていただきこの美味しさを知ってほしい!」と思いますし、食べることで農家さんを応援することになるんだと思い出してもらえたら嬉しいです。

SHOP INFORMATION
【店名】麻布十番モンタボー nonowa国立店
【住所】東京都国立市北1-14-1 nonowa国立EAST内
【電話番号】042-505-5622
【営業時間】10:00~21:00
【定休日】1月1日、その他年1回

※写真の商品の種類、価格は、2023年11月現在の情報となります。
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗もしくはSNSなどでご確認ください。

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