犬を『抱っこ』するときの絶対NG行為4選 愛犬に負担やストレスがかかる抱き方とは
犬を抱っこするときの絶対NG行為は?
抱っこは、愛犬とのスキンシップになるだけでなく、散歩中の危険回避にも役立ちます。また、動物病院で診察台に乗せる際などにも抱っこが必要となるでしょう。
このように、愛犬を抱っこをする機会は多いものですが、間違った方法で抱っこをすると、愛犬の体に負担をかけたり、ストレスを与えてしまったりする可能性があります。ここでは、犬を抱っこするときの絶対NG行為を4つご紹介します。
1.両脇に手を入れて抱き上げる
ついやってしまいがちですが、正面から犬の両脇に手を入れて抱き上げるのは絶対に避けるべき行為です。
人間とは異なり、犬には鎖骨がなく、前足を真横に開くことができません。そのため、両脇に手を入れて抱き上げると、前足の付け根にある肩関節に大きな負担がかかり、脱臼や肩関節を痛める原因となります。
2.縦抱っこ
人間の赤ちゃんや子どもを抱くように縦向きに抱っこするのも、犬にはNGです。犬にとって縦向きの姿勢は腰に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアにつながる可能性があります。
椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にある椎間板が変形して飛び出してしまうことで神経を圧迫し、痛みや麻痺を引き起こす病気です。
特にダックスフンドやウェルシュ・コーギー・ペンブロークなど胴長の犬種は、椎間板ヘルニアを発症しやすい傾向にあるため、縦抱っこを避けるよう注意が必要です。
また、犬と向かい合わせで縦抱っこをすると、飼い主の肩に前足を乗せる体勢になり、興奮した際などに肩をよじ登って落下する危険があります。人が立っている高さからの落下は、大ケガにつながりかねません。
3.仰向け抱っこ
愛犬が子犬や小型犬だと、飼い主はつい仰向けに抱っこしてしまいがちです。しかし、仰向けでの抱っこは犬にとって不自然な体勢であり、心臓や肺に負担がかかったり、呼吸がしづらくなったりする恐れがあります。
さらに、腰が湾曲するような体勢になることで、腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアのリスクを高めます。
4.無理に抱っこする
抱っこが苦手な犬もいれば、抱っこが好きな犬でも抱っこされたくないときがあります。犬が抱っこを嫌がっている場合は、無理に抱っこするのは避けましょう。
抱っこしようとしたときに、逃げようとする、唸る、尻尾を下げるなどの行動が見られたら、抱っこを嫌がっている可能性があります。
嫌がっている犬を無理に抱っこすると、ストレスを与えたり、信頼関係を損なったりする可能性があるため、抱っこの必要が無い時は犬の気持ちを尊重することが大切です。
正しい抱っこの仕方は?
上記でご紹介した絶対NG行為を避けるだけでなく、犬にとって負担の少ない正しい方法で抱っこをすることで、愛犬に安心感を与えることができます。
犬を抱っこするときのポイントは、犬の体と自分の体を密着させて安定性を保つこと、そして犬の背骨を地面と水平に保ち、背中や腰に負担をかけないようにすることです。以下では、小型犬、中型犬、大型犬それぞれの正しい抱っこの仕方の1例をご紹介します。
1.小型犬
犬の横にしゃがみ、片方の手を犬の脇の下に入れて胸を支え、もう片方の手でお尻を支えます。犬の背骨が縦にならないように注意しながら、自分の胸元に引き寄せて抱き上げ、犬の体を密着させます。
2.中型犬
犬の横で立て膝をつき、犬の前足と後ろ足の間で左右幅が一番広くなるように腕を通して抱えます。犬の体を密着させ、犬の背骨を水平に保ちながら抱き上げます。
3.大型犬
犬の横で立て膝をつき、外側から犬の肩甲骨(前足の外側)とお尻(後ろ足の外側)を抱えます。犬の体を密着させながら、犬の背骨が地面と平行になるように意識して抱き上げます。
まとめ
今回は、犬を抱っこするときの絶対NG行為を4つご紹介しました。愛犬を抱っこする際に、ご紹介した絶対NG行為をしてしまうと、負担やストレスをかける可能性があるので注意が必要です。
正しい抱っこの仕方をすることで、愛犬に安心感を与え、安全と健康を守ることができます。ぜひこの機会に、日頃の抱っこの仕方を見直し、正しい抱っこをするようにしましょう。
(獣医師監修:葛野宗)