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望まぬ子を身籠もった20歳の女性の前には、他人ごとではない“石のように重たい扉”が立ちはだかる『石門』予告編

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望まぬ子を身籠もった20歳の女性の前には、他人ごとではない“石のように重たい扉”が立ちはだかる『石門』予告編

“中華圏のアカデミー賞”と称される「第60回台北金馬獎」で、日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞し、最優秀編集賞との2冠に輝いた映画『石門』が、2月28日(金)より公開される。このたび、日本版オリジナル予告編が解禁となった。

私たちが歩む道の先には、石のように重い扉が立ちはだかる

米批評サイト「ロッテントマト」で批評家の94%/観客の100%の支持を得る(12/14現在)など、世界各地で絶賛がやまない本作。中華圏映画のアカデミー賞と称される「金馬獎」の作品賞、編集賞を受賞し、その他にも「ベネチア国際映画祭」ベニス・デイズ部門、トロント、香港、BFIロンドン、ニューヨークなど、世界の主要映画祭が絶賛、8受賞11ノミネートされている。

監督を務めるのは、北京電影学院で脚本を学んだホアン・ジーと、日本でドキュメンタリー制作に従事した後、2005 年中国へ移住した大塚竜治。夫婦でもあるふたりは、表現に対する統制が強い中国において女性の性を描写する先駆者として作品を制作し続けてきた。『卵と石』(12)で少女の性被害を題材に衝撃的かつ社会性を感じさせるデビューを果たし、2作目の『フーリッシュ・バード』(17)では女子高校生の性が搾取される様を描いた。彼らは一貫して女性の視点や経験を重視し、社会的なタブーを映し出すことに挑戦してきた。(『石門』に続き2作品とも日本初公開が予定されている)

予告編は、客室乗務員を目指す主人公のリン(ヤオ・ホングイ)が、英会話教室のパーティに参加している場面から始まる。大学に通いながら英会話のスキルを高める努力を続けている。地方出身の彼女は、パーティでは自分の居場所が見つけられない。「何が得意」という問いに「客室乗務員の学校に通っています」と応じる彼女の言葉で実習風景が紹介される。「美人向きの仕事」だねと指摘する声を受けて、宝飾店の店頭でドレスを着せられたリンの姿が映される。診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られており、彼女はアルバイトをして仕送りをしているのだ。

そんなある日、リンは自分が妊娠1ヶ月であることを知る。恋人のチャンは、「赤ん坊がいたら君が不利になるよ」と暗に中絶を勧める。身体に変化が起こる前に故郷に戻った娘に、母は「進学したのに男を作って妊娠するなんて」と苦言を呈する。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつく。一人っ子政策によって少子化したこの国では、遺伝子にまでこだわる闇ビジネスが横行しているのだ。だが、相手は子供の面倒は見ないと突き放す。養子として引き取るのであれば、その子が健康体であることが確認できるまで受け入れないというのだ。その渦中、定期検診を終えたリンは、母親になる女性に「あなたが育てるのよ」と診断書を手渡すが、彼女は興味がないとばかりに一瞥するだけだ。

慰謝料返済のために「月に1万5千元」かかると言う母は、マルチ商法まがいのビジネスで稼ごうとしている。家族の誰もが「人に借金はしたくない」と思っているが、松葉杖の父を交えて親子三人で口論する羽目になる。そして、屋上にプールがしつらえられたビルからの眺望と卵子ドナーとなる女性たちが食事する姿が映し出される。急激に都市化が進んだ地方の街で、今、何が起こっているのか。望まぬ子を身籠もった20歳の女性の前には、全世界共通の他人ごとではない石のように重たい扉が立ちはだかる。

ホアン・ジー、大塚竜治監督は、主人公が生きる世界を一定の距離感を保ちながらドキュメンタリータッチで撮影した作品を作り続けてきた。日本資本として初の金馬奨2冠に輝いた『石門』が、今を生きるすべての人に問いかけることとは…。

『石門』©YGP-FILM

『石門』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋ほか全国公開

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