障がい者支援と環境保全を同時に実現 ソーシャルグッド型の「⾥海珊瑚プロジェクト」が本格始動
デジタルを活用し障がい者支援を行う沖縄発のスタートアップ、サンクスラボ(沖縄県那覇市)は6月23日、同子会社の里海珊瑚プロジェクト(同)とともに、ソーシャルグッド型の障がい者雇用創出活動「里海珊瑚プロジェクト」を本格始動した。プロジェクトに参画する企業は、障がい者雇用を通じて珊瑚(さんご)の保全活動に貢献できる。
珊瑚陸上養殖で重要となる水槽の環境管理を障がい者が担当
「里海珊瑚プロジェクト」は、海水温上昇の影響などにより白化現象が深刻化する珊瑚を陸上で育成し海に還す「里海づくり」を目指す事業。
事業の核となる珊瑚の陸上養殖では、飼育技術を習得した障がい者が、デジタル技術を活用しながら水槽の環境管理を行う。障がい者が生活水準向上に有効なスキルを身に付け経済活動に参画しながら、社会的・経済的に自立できる環境と自身の能力や個性を持続的に発揮できる環境の場を提供する。
水槽の環境管理では、アクセンチュア(東京都港区)が開発した、水槽の状態をモニタリングするデジタルサイネージや水槽データ管理アプリケーションなど水槽DXに関する技術が活用されている。
アクセンチュアでは、より持続可能で責任ある世界経済の実現に向け、クライアントやパートナー、地域コミュニティと協力しながら社会的課題の解決に取り組んでいる。中でも多様な人材のスキル向上に注力し、2024年度は世界各地の約500万人に対しスキル向上の機会を提供した。
活動にあたっては、社員が直接参加し、社員の時間とスキルの積極的な提供を通じて、IT活用や継続的改善といったさまざまなビジネスの手法で、各者の取り組みを支える。今回のプロジェクトでも、安定的な珊瑚の生育につながっているという。
同社プロジェクトには、JR九州ホテルズアンドリゾーツ(福岡県福岡市)、ヤマト科学(東京都中央区)、旭平硝子加工(神奈川県横浜市)など全国のさまざまな企業が賛同し、取り組みを支援している。このうち、大正13年創業の旭平硝子加工は、時代の変化への対応としてSDGs施策を積極的に進めており、「障がい者の活躍で自然環境を守る」という持続可能な社会の実現を目指すプロジェクトの意義や目的に共感し参画を決めた。
陸上珊瑚養殖&海中観察ツアーを開催
サンクスラボでは、これまでも珊瑚の苗づくり体験イベントなど珊瑚の大切さを知ってもらうための活動を展開してきたが、プロジェクトの本格始動に合わせ、実際の陸上養殖現場や海中植え付け場所を視察できる企業向けツアーを4月と5月に開催した。
当日は、サンクスラボ本社付近にある養殖所で、障がい者が珊瑚飼育業務に取り組んでいる姿や、養殖所の水槽で育った珊瑚が植え付けられている実際の場所を視察した。ツアーでは、珊瑚が白化しているようすも見られ、珊瑚保全活動の重要性を知る機会となった。
生物多様性・障がい者雇用の課題は今後ますます重要に
2026年7月には、障がい者の法的雇用率は2.5%から2.7%に引き上げられる。また、グローバルでは自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示が進んでおり、今後は日本においても自主開示への対応が求められる可能性がある。
サンクスラボは今後、環境保全に関心のある企業のさらなる参画を目指すとともに、一般にも広くプロジェクトを周知し、取り組みの拡大をはかる方針だ。
同プロジェクトの取り組みや実績は同社の公式ウェブサイトで、発表の詳細は同社の公式リリース(PRTIMES)で確認できる。