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れん、満員のLIQUIDROOMセミファイナルにみた飛躍への可能性

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『れん ONEMAN LIVE TOUR 2025 -Molt-』2025.07.11(fri)恵比寿LIQUIDROOM

7月11日、東京・恵比寿リキッドルームで『れん ONEMAN LIVE TOUR 2025 -Molt-』セミファイナル公演を目撃した。4月にメジャーデビューシングル「淡色の幸せ」を、6月にセカンドシングル「盾愛」(じゅんあい)を出したばかりの22歳。Molt=脱皮、羽の生え代わりという意味の通り、二度目のワンマンツアーでの更なる進化を確かめようと、チケットはソールドアウト。飛躍への準備は万端だ。

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1曲目は明るく元気いっぱいに弾ける「淡色の幸せ」。デニムパンツに白Tシャツとカットソーのきれいめカジュアル、4ピースのバンドを従えてセンターに立つ姿に華がある。アコースティックギターを弾きながら「氷解」、そして「Fall In To You」へ、独特のヴィブラートを効かせた歌声の、細部まで運動神経が行きわたるしなやかさ。フロアをぎっしり埋めたオーディエンスが、騒ぐよりも静かに見守っているように見えるのが新鮮だ。

「思う存分れんの音楽にひたってください」と言いながら、次のセクションではオーディエンスをよりディープな世界へと導いてゆく。官能的なラテンのリズムで踊る「マジックアワー」、アダルトなR&Bテイストの効いた「緋寒桜」、そしてピアノと歌のピンと張り詰めた緊張感が、サビのバンドサウンドに乗って感情が爆発する「変わりゆく季節」。「泡沫雪」も、ピアノと歌のシンプルな説得力を軸に、切ない物語が展開してゆくドラマチックな曲。音源で聴くだけではわからない、ナマの歌の表現力が間近に迫る。ライブ映えするボーカリストだ。

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「ソールドアウト、ありがとうございます。東京、すさまじいね」

何か聴きたい曲ある?とたずねてみたり、友達にしゃべるようなテンションで、ざっくばらんにしゃべるれん。徐々に会場内の空気もほぐれてきた。ヒップホップ的なグルーヴで盛り上げる「bathroom」、テンポアップしてロックに攻める「君の知らない物語」。フロアが熱気を持って揺れ始めた。さらにバンドメンバーによるインストをはさみ、明朗快活ダンスチューン「一切合切」へ。繊細なウィスパー成分をたっぷり含みながら、サビの聴かせどころでは叫ぶような力強い歌い方もできる。バラエティに富む選曲の中で、れんの個性が1曲ごとにくっきり見えてくる。

友達と一緒に来た人、今日が誕生日の人、付き合って1年記念日のカップル、親子、姉妹。様々な思いを持ってここに来た、一人一人と会話しながらライブを進めてゆく親近感。れんのライブには音楽だけではない、人肌のぬくもりが確かにある。

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そろそろライブは後半だ。タイトルコールだけで大歓声が上がった「でも、」は、高橋統也との共作をソロで歌う貴重なバージョン。しっとり切ない感情を抱えたまま、人気曲「最低」から、れん自らエレクトリックギターを弾きまくる「FLASH BACK」へと、オルタナティブR&B色の濃いディープゾーンへ突入。挑戦的なサウンドに乗って、「東京、そんなもんか!」と叫ぶれん。真っ赤なライトがステージを染め、バンドが鬼気迫る激しい演奏で盛り上げる。親近感のあとに突き放すようなクールさも見せる、れんのライブは感情が忙しい。

極めつけは「虧月」「赤」で、ラテン、ハウス、R&Bなどを溶かし込んだ刺激的サウンドに、挑発的歌詞とエモーショナルな歌唱を兼ね備えた超攻撃型サウンド。れんをメロディアスなJ-POPだと思っていたリスナーは全員ぶっ飛ばされるに違いない、破壊力満点のパフォーマンス。

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「僕の音楽がみんなの生活の一部になって、そっと花を添えるような存在になればいいなと思います。引き続き、れんをよろしくお願いします」

僕のこと、おちゃらけた大学生のイメージだと思ってるでしょ?と、笑わせながら入ったトークが曲作りの真意へと繋がる。社会の中で感じる理不尽や、アーティスト活動の中で自分を理解してもらえない不満など、「楽曲にすることで僕が救われています」と語るれん。失恋ソングにも心の闇を描く曲に意味があり、それをみんなと共有したい。れんのメッセージは明確だ。

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本編ラストを締めくくるのはスロー/ミドルバラード3曲。スツールに腰かけて伸びやかに歌う「雪庇」、切なさの中に激情をくるみこんだ「きみのうた」、そして、先が見えないことがわかっていながら愛してしまう人の苦しみと喜びを、「矛盾」と「愛」の造語で表現した新曲「盾愛」。小さなピンスポットの光の中で、歌の力だけで複雑な感情を伝えるれん。見た目よりも存在感がずっと大きく見える。

アンコールはグッズ紹介とメンバー紹介で、和気あいあいとほのぼのと。演奏を離れてもしゃべり合い笑い合う、れんを含めた5人組バンドとしての連帯感は抜群だ。そしてラストにもうひと盛り上がり、グッズのタオルを振り回して踊りまくる「ゆらせ」と、胸いっぱいの愛をファンに贈るダンスチューン「一縷」の2曲を披露して、およそ1時間50分のライブは幕を下ろした。二度目のワンマンツアーにしてこの完成度、この自信、この一体感。あたたかいファンに支えられ、れんはまだまだ大きくなると確信させられたツアーセミファイナルだった。

取材・文=宮本英夫 撮影=森好弘

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