【社説】投票3日前の異例の支持表明 牟礼市長は市民に説明を
11月17日に投票日を迎える兵庫県知事選をめぐり、兵庫県内の市長29人のうち22人が14日、連名で特定の候補者への「支持」を表明した。この22人の中には赤穂市の牟礼正稔市長も名を連ねた。
一般的には、有権者の代表である首長が自身以外の選挙で特定の候補者への支持を自ら積極的に公にすることはあまりない。報道機関からの質問やアンケートで聞かれれば立場を答えることはあるにせよ、報道機関が質問しても、回答を控えたり、中立と答える首長も多い。例えば、3年前の前回県知事選では牟礼市長は支持を明らかにしていなかった。
また、積極的に支持を明らかにするにしても、その候補者が出馬を表明した時点や、主な立候補者の顔ぶれが出揃ったタイミングで表明することが多く、今回のように投票日の3日前になってから、しかも複数の市長が記者会見まで開いて表明するというのは異例だ。
会見に向けて報道機関に配られた文書はA4判1枚で、以下の要旨が記載されていた。
「兵庫県政は混乱、混迷し、現在行われている兵庫県知事選挙においても誹謗中傷が行われるなど、大変憂うべき状況」
「市民、県民のために、このような状況を一日も早く収束させ、新しい兵庫県づくりを願う」
「県内の市町は様々な課題に挑戦しているが、これらの取組みは、兵庫県との連携なしには成し遂げられない」
「それを担える人は、明るく元気なしっかり者で、弱きを助け、市民、県民に寄り添う○○○○さん(特定の候補者名)であると考える」
「○○○○さんは、震災ボランティアから政治を志した方で、純粋でひたむきな兵庫県を思う気持ちにあふれている。政策と改革の実績からも、兵庫県を立て直す知事としての資質十分」
といった内容だ。
この文書だけでは、支持の理由があまりに抽象的で、投票日の3日前に複数の市長が会見まで開いて支持をアピールするだけの理由がよくわからない。
選挙結果の如何にかかわらず、牟礼市長は支持を表明した理由や経緯について、市民に説明する責任があるだろう。
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タイトルと記事の一部を加筆修正しました。記事の骨子に変わりはありません。(2024年11月15日22時20分)