多頭飼育の猫たちの『力関係』見極めるための3つのポイント 知っておくと役立つ場合も
猫たちにも「力関係」は存在するの?
猫たちの力関係は、人と違い、あくまでも曖昧なものとされています。
しかし、猫にも「好きでも嫌いでもなく普通」「少し苦手」という基準が少なからずあり、それが態度にあらわれることがあります。こうした好き嫌いは、猫同士に限らず、人間にも向けられることがあります。
例えば、愛猫が自分に対しては甘えるのに、パートナーには距離を取るような態度を取っている場合も、猫の基準によるものでしょう。
次に解説する3つの見極めポイントを知ることは、猫たちの関係性を正しく理解することに役立ちます。無理に仲良くさせるのではなく、それぞれの猫が、自分のペースで快適に暮らしていけるようなヒントを見つけてみませんか?
1.じゃれ合いの“立ち位置”
猫たちがじゃれ合いをしているときの“立ち位置”に、ご注目ください。
取っ組み合いの体勢では、いつも上に覆いかぶさっている猫は優位、一方、下で制圧されることが多い猫は劣位という傾向があります。追いかけっこの場合は、追うことが多い猫が優位で、逃げてばかりの猫は劣位でしょう。
じゃれ合い程度であれば、無理に止める必要はありませんが、爪で相手を引っかこうとする様子が見られるのであれば、本気のケンカですので仲裁してください。
また、もし3匹以上の猫がいて、1匹の猫ばかりが立場が弱く見えるというならば、要注意です。本来、猫という生き物は、集団いじめのような行動は取らないため、何か特別な事情があると疑って対応しましょう。
2.寝床や食事の独占
個体差はあるものの、オモチャや寝床の好みが被ることは、珍しくありません。取り合いが始まることもありますが、控えめな性格の猫であれば、堂々と独占したがる猫に、それらを譲ってしまいがちでしょう。寝床やおもちゃはできるだけ多く確保し、取り合いになることは避けたいものです。
同様に気をつけたいのは、食事の横取りです。優位に立つ猫に、自分のごはんを食べられてしまう状況が続くと、ストレスとなるだけではなく、栄養バランスにも影響する可能性があります。
ある程度の距離を取って食べさせるか、間に仕切りを置くよう工夫するだけでも効果的ですので、ぜひ実践してみてください。
3.グルーミングの主導権
一見仲良しに見えるグルーミングですが、実は、舐める主導権を握っている方の猫が格上とされています。私たちからすれば、舐める方が大変そうに見えますが、猫なりの力関係が隠れ潜んでいるようです。
イギリスのとある大学がおこなった研究では、グルーミングをする猫の方が姿勢が高いことや、グルーミングをした後に攻撃行動をする猫が約3割程度いるという結果が出ています。
筆者の2匹の愛猫も、メス猫がオス猫を頻繁に舐める姿が見られますが、オス猫は、メス猫に手のひらで転がされているのかもしれません。
他に気になる行動が見られないのであれば、これを是正する必要はなく、関係性を静観することに留めましょう。
まとめ
今回は、猫たちの力関係を見極めるポイントとして「じゃれ合いの“立ち位置”」「寝床や食事の独占」「グルーミングの主導権」の3つを解説しました。
どちらかがケガをする心配があったり、1匹の猫だけにストレスが集中している状況でなければ、飼い主さんが直接的に仲裁する必要はありません。
寝床や食事は、工夫次第で取り合いが防げますので、どの猫も心地よく過ごせるように配慮してあげたいものです。
ときにはグルーミングにも力関係があらわれていると知ると、少し複雑な気持ちにもなりますが、今後も猫社会特有のコミュニケーションを一緒に学んでいきましょう!