子どもが勉強した方がいい2つの理由とは?「あなたのため」って言ってた…。
子どもが「勉強嫌い、面白くない、やりたくない」と言ったらどう返事をしますか? 「将来のために必要」「やらないと学校で困るよ」「あなたのためだから」そんな言葉でお茶を濁しても、子どもは納得しません。では、どんな理由を、どうやって伝えたらいいのでしょうか?
勉強する理由1.勉強するとは「自分の可能性を磨く」こと
子どもに伝える前に、まずは親自身が「勉強の大切さ」を理解しておく必要があります。
勉強することのメリットは挙げればキリがありませんが、メリットばかりをただ羅列しても、納得感は得られません。
・良い学歴が得られること
・知識が増える
・知らないことを知ることができる
・将来の収入が高くなる
これらは勉強のメリットではありますが、子どもにとって勉強が必要不可欠である理由とは思えません。
では、子どもにとって勉強とはどんな意味を持っているのでしょうか。
それは、勉強するとは「自分の可能性を磨く」こと、です。
親は子どもに「君にはいろんな可能性があるんだよ」と言います。
本当にその通りで、将来の職業はもちろん、どんな趣味を持ち、どんな人と付き合い、何にのめり込んでいくのか、あらゆることへの可能性で満ち溢れています。そりゃ40代になっても可能性は広がっていますが、子どもの方がより自由にこれからの人生を歩んでいけます。
ですが、子どもの頃はまだその可能性は原石に過ぎません。磨かなければ、可能性は輝くこともなくまるで石ころのような状態のままです。
この可能性の原石を磨く作業こそが、勉強するということです。
学校の勉強は色んな教科があります。
好きだったり得意な教科もあれば、嫌いで苦手な教科もあるでしょう。
仕事の世界では、自分の得意をどんどん伸ばし、苦手なことは他の人に委ねたり、やらないと決めることで効率的に成果を出そう、という考え方があります。これと勉強は何が違うのでしょうか?
それは、仕事は(極端に言えば)成果が報酬につながる事柄です。でも勉強は自己成長こそが成果であり目的なのです。
受験勉強のように点数によって報酬(合否)が決まるものは、どちらかと言えば仕事に近いかもしれません。不得意な科目は切り捨てて、得意な科目で点数をできるだけ稼ぐという戦略が必要なこともあるでしょう。
ですが、その手前の勉強は、あくまでも自己成長のために行うものです。
可能性の原石は、どこが輝くかわかりません。
好きなところを集中的に磨くのはもちろん、まだ見ぬ輝きを求めて様々な角度で磨く必要があります。
勉強する理由2.勉強するとは「世界を変えること」
勉強する理由2つ目は、勉強をすることで「世界を変えることができる」です。
僕たちは自分が見聞きしている範囲で世界を認識しています。
たとえば、子どもが生まれるまで、僕は日本がこんなに「アンパンマン」で溢れているとは知りませんでした。
ですが、娘がアンパンマンに興味を持ち始め、娘の視点で世界を眺めるようになると、この社会はじつにアンパンマンで満ち溢れています。
勉強の効果はこの比ではありません。
学ぶほどに世界が広がっていきます。学校で地図を学んだ娘は、一緒に街を歩くとランドマークになる建物や、その施設の表記などを教えてくれるようになりました。漢字を覚えたての頃は、あらゆる看板を指差して読んでいました。いまでも勉強を通して娘の世界は広がり続けています。
このように、子どもの見えている世界が「変わる」だけじゃなく、実際に「変える力」を身につけることにもなります。
世界を変える力とは、すなわち社会に出る力です。
仕事や社会活動など、社会において必要とされる人には、様々な力が求められます。勉強するということは、その力の土台を作ることそのものでもあるのです。
子どもにはどうやって伝えればいい?
では、勉強が嫌な子どもに向かって、どうやって勉強の大切さを伝えたらいいでしょうか。
ポイントは2つ。
1. 親が学び続けている姿を見せる
2. 「あなたのため」と言わない
親が学ぶ姿ほど、子どもにとって強烈なメッセージになることはありません。
資格でも仕事に関することでも構いません。親が一生懸命学び、その成果に喜んでいる姿を見せることは有無をいわせぬ説得力があります。
もし夜はTVを見て過ごすだけ、という方は、子どもに「勉強しなさい」と言うよりも自分がワクワクと学べることを探してみてください。
そして「あなたのため」と言わない。
「あなたのため」ほど、正しいのに心に響かない言葉もないなと思います。
そうではなく、ぜひご自身が勉強したことで得た成功事例を話してあげましょう。「だからあなたも…」なんて野暮なことは言わなくていいのです。勉強することで、自分の可能性が広がったこと、世界が変わったこと、それらを伝えてあげましょう。子どもは自分の力でその言葉を咀嚼して、心に留めてくれるはずです。
三木智有/家事シェア研究家