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岡山県三大盆踊り「白石踊」を体験!悠久の時が流れる石の島の歴史に触れてみた(笠岡市)

岡山観光WEB

岡山県三大盆踊りのひとつに数えられる「白石踊」。源平水島合戦での戦死者を弔うために始まった800年以上の歴史を持つ盆踊りで、2022年には風流踊りとしてユネスコの無形文化遺産にも登録されています。 筆者は2025年7月、白石島にて開催された体験会に参加してきました。優雅さのなかにも源平合戦の戦死者への鎮魂への祈りを感じさせられる風雅な踊りのようすを、島内の観光スポットとともに紹介します。

笠岡諸島の白石島について

白石島は岡山県南西部・笠岡市にある島で、笠岡・住吉港から旅客船で約40分(高速船は約22分)の、人口約400人の離島です。伏越港からフェリーでも渡れます。

白石島の属する笠岡諸島は、大小合わせて31の島々から成り立っています。そのうち、白石島を含めた7つの島(高島、白石島、北木島、真鍋島、大飛島、小飛島、六島)が有人島です。

⁠江戸時代は北前船の航路もあり、上方(現在の大阪)との交流も盛んであったと言われています。

また、香川県の塩飽(しわく)諸島、豊島、小豆島とともに日本遺産「知ってる!?悠久の時が流れる石の島 ~海を越え、日本の礎を作ったせとうち備讃諸島~」の構成文化財にも選ばれています。

おもな観光スポットとしては、夏場の海水浴のみならずシーカヤックやSUPを楽しむことができる「白石島海水浴場」。海水浴以外にも、島内にある「はと岩」や「鎧岩」などをめぐるトレッキングでは、海を望む絶景が楽しめます。

笠岡諸島「白石島」トレッキング体験

島にゆかりのある若者が案内する島内散策

白石島は、港から徒歩圏内に名所が点在しています。

白石踊が始まる前に、それらの名所を巡る島内観光が行われました。案内してくれたのは、島にゆかりのある若者たち。

白石島のメインストリート、焼杉板の家が立ち並ぶ町なみは、瀬戸内の離島らしいたたずまいです。

島の町なみの中に昔の映画館の遺構が残されていました。

開龍寺

島のほぼ中央にある真言宗の寺院で、日本遺産の構成文化財のひとつ。山の斜面にある境内には見どころが多数あります。

不動岩

「不動岩」と呼ばれるこちらの巨石、よく見るとえぐられたようなくぼみがあります。
このくぼみに頭を入れて願いごとをすると願いが叶うとのことで、筆者も他の参加者の方とともにトライしてみました。

奥の院

本堂から少し上がったところにあるのは、真言宗の開祖、弘法大師を祀る奥の院。巨石の中にはめ込まれたようなインパクトのある外観は、石の島ならではですね。

弘法大師像の前にある、石で作られた「マニ車」。これはチベット仏教などでよく使われるもので、1回転させるとお経を1回唱えたのと同じ功徳があると言われています。

パゴダ(仏舎利塔)

境内には東南アジアの仏教寺院によく見られる「パゴダ(仏舎利塔)」があります。こちらのパゴダは、タイから開龍寺に奉納された仏舎利(お釈迦さまの骨)と釈迦如来像を納めたもので、1970年に建立されました。
白亜の塔は、島の青空によく映えます。

鎧岩

仏舎利塔のある場所から山の上を見上げると、大きな奇岩の姿を見ることができます。
こちらの奇岩は「鎧岩」。今回は下から眺めるのみでしたが、島内のトレッキングコースではここまで行くことができます。

島内散策から帰ってくると、白石島海水浴場を熱く照らす太陽も西に沈みはじめ、いよいよ白石踊の体験鑑賞会が始まります。

白石踊とは

大宮踊(真庭市)、備中たかはし松山踊り(高梁市)とともに、岡山県三大盆踊りのひとつに数えられる「白石踊」。

その歴史は、平安時代末期に起こった源平水島合戦の戦死者を弔(とむら)うための踊りが起源とされています。
白石踊は、複数の異なる衣装を身につけた踊り手たちが、ひとつの円陣を組んで踊るのが特徴です。

一見、まとまりがないような感じも受けますが見事に調和するそのようすは、異なる旋律が調和するジャズにも通じるように感じました。

また、現在の衣装は1970年の大阪万博で披露するために作られたものがベースとなっています。当時、100人を超える大所帯にて大阪へ行き、太陽の塔の下にあった「お祭り広場」にて踊った記録が残っており、華やかな万博の会場に負けないよう衣装も新調されたのだそうです。

実際に白石踊を体験してみました

今回は唄と太鼓にて「那須与一(なすのよいち)」という音頭が披露されました。この音頭に合わせて、ぶらぶら踊りという基本の踊りを、円陣を組んで踊ります。

この唄は源平屋島の合戦(現在の香川県高松市)でのエピソード「扇の的」が題材になっており、白石踊が源平水島合戦の慰霊が起源をルーツに持つことを、改めてうかがい知ることができました。

難しそうに感じた振り付けも、何度か繰り返しやっているうちに覚えていき、一緒に踊れるようになりました。

また、今回踊った「ぶらぶら踊り」は、波が打ち寄せるようすを表現しているように感じました。手を合わせる所作を含め、源平水島合戦の戦死者への鎮魂を具現化しています。

当日踊りを教えてくれた保存会のかたいわく、踊りの振り付けも長い歴史の中で、アレンジされて現在に至っているそうです。

ちなみに振り付けの所作は、かつて海路にて交流のあった上方(現在の大阪)や讃岐(香川)の金毘羅歌舞伎の影響などもあるのではないかと言われています。

帰路を照らすキャンドル

体験会を終えて白石島海水浴場から白石港に帰る道中、無数のキャンドルが港までの道をナビゲートしてくれました。

島の風情を感じる切絵の数々、心温まるおもてなしですね。

白石踊を体験できる場所について

「白石踊」は毎年8月13日から16日のあいだ、島の盆踊りとして奉納され、どなたでも踊りの輪に加わることができます。
※地域の盆踊りのため、この日は衣装を着けての踊りは行われません

また、今回参加した白石踊鑑賞体験ツアーのほかにも、9月と10月に白石踊鑑賞体験会(2025年は9月13日、20日、27日、10月18日実施)が実施されます。

おわりに

今回、ご縁があって参加した「白石踊鑑賞体験ツアー」にて、筆者ははじめて白石踊を体験しました。

ツアーの冒頭でも紹介されていましたが、白石踊の伝統を継承する若者たちの活動を記したノンフィクション書籍「島の宝を守る―白石踊800年の伝統を受け継ぐ若者たち (吉備人選書)」が2025年に発売されました。過疎化や高齢化が進む地方、瀬戸内の離島はその最前線にあるのかもしれません。そのようななか、たとえ島を離れていても、白石踊の伝統を引き継いでいこうとする若者たち。今回のツアーでも彼ら彼女たちの奮闘をうかがい知ることができました。
島を訪れる前に、一読されると白石島をより深く知れるのではないかと思います。

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