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海外で話題沸騰の没入体験が下北沢で味わえる daisydoze(デイジードーズ)の新作公演「猫町」がムーンナイトフェスティバルで上演中

SPICE

左から竹島 唯・近藤 香

2000年代にロンドンで誕生した没入型エンターテインメントの演劇手法「イマーシブシアター」。新作が上演されるたびにウエストエンドやブロードウェイで話題を呼び、近年では日本国内でも「イマーシブ」という言葉を耳にする機会が増えてきた。

その先駆者として日本で活動するイマーシブシアターカンパニー「daisydoze(デイジードーズ)」。作・演出を務める竹島 唯と、クリエイティブプロデューサー兼衣装を担当する近藤 香に、その魅力と新作公演『猫町』について話を聞いたオフィシャルインタビューが到着したのでお届けする。

――そもそも、「イマーシブシアター」とはどういったものですか。

竹島 :イマーシブシアターというのは日本語で「没入型演劇」のことを指します。舞台と観客の垣根がなく、自由に物語の世界を歩きながら、自分の視点で物語を体験できるものになっています。私たちは普段、重要文化財とかホテルとか、そういう建物に帰属して自由に歩きながら、パフォーマンスを観るものをつくっていたのですが、今年からは都市を舞台にした街に開いたイマーシブシアターをつくっています。

――海外ではとても話題になっていると聞きます。日本での盛り上がりはいかがですか。

竹島:イマーシブシアターという言葉はロンドンから始まっているんですが、日本でも寺山修司をはじめ、都市型演劇っていうのはずっとあったものだなと思っています。歌舞伎も元々は屋外でやっているパフォーマンスだったので。そういう意味で、日本もサイトスペシフィックなイマーシブシアターみたいなことをやってきている文化だと思います。2018年ぐらいに私たちが活動を始めたころは他に1〜2団体くらいでしたが、最近ではお台場に「イマーシブフォート」ができたり、韓国や中国でも観ることができるようになって、始める団体が増えた印象です。

――お二人が結成したきっかけ、団体として大切にしていることはありますか。

近藤:7年前にお互い別々の団体をやっていたのですが、共通の知人を介して知り合って、お互いの作品を観るようになり、意気投合しました。1作目の制作中にコロナ禍になってしまって、1年半かかってしまったのですが、その分濃厚な関係を築きまして(笑)。これまで8作品、一緒に作品をつくりました。

私たちは都市に根ざした、サイトスペシフィックなイマーシブシアターを掲げています。なので、必ず、その街に帰属する歴史や神話、哲学なんかを取り入れながら、そこにオリジナルストーリーを掛け合わせることを大事にしています。それからダンスもすごく大事にしていて、言語だけに頼らないパフォーミングアーツを目指しています。

――新作「猫町」について教えてください。

竹島 :「猫町」については、たまたまですね。前橋で作品をつくりませんか?と話をもらって萩原朔太郎と出会って、その3日後に今回の話が決まって。朔太郎は前橋で生まれ育って、亡くなったのは下北沢だったので、すごく縁を感じました。「猫町」は散歩の話なんですが、朔太郎は散歩が好きだったっていろんなところに書いてあって。散歩ってなんだろうと考えたときに、Googleマップに目的地を入れて最短距離を歩くのが現代人の歩くという行為だと思うんですけど、朔太郎がやっていたことって、なんかぶらぶら歩いて、たまたま入った路地で迷子になって家に帰れないみたいな(笑)。そういう創造的な散歩って私たちの作品に合っているなと思いました。

――今作で目指したことはありますか。

竹島:言葉で説明できないものって、とてもたくさん世の中にあるなと思っていて、だからこそダンスや音楽とか詩があるんじゃないかと思っています。この「猫町」も言葉では捉えきれない、狐につままれたような不可解な出来事を通して世の中の面白さが見える、そういうものを感じてもらえる作品にしたいと思っています。

近藤:街が違った形で見えてくる、といったところも意識しています。普段歩いている道が少し面白く感じられたり。異なる視点を得られるというのをいつも大切にしているので、ただの通勤路やただの通学路だったはずなのに、普通の下北沢だったはずが、実は裏の世界がある街だったって思ってもらえたらいいのかな、と(笑)。

――開幕してお客さんの反応はいかがですか。

竹島:観たお客さんの感想に「物語を紡ぐという路線をとらず、ひたすら夢に溺れるような体験へと導く」って書いてくださっている方がいて、まさに私たちがやりたいと思っている作風が言語化されているな、と思いました。イマーシブっていうのは、自分が登場人物になるっていう考え方もあるんですが、自分という意識をなくして、圧倒的に自分を忘れて物語の世界に入るというのを目指していて、その体験っていうのは「夢に溺れる」ってことなのかなと思っています。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

竹島:団体として多くの人に見てもらいたいと思っているので、海外の演劇祭や芸術祭に出て行って、今、私たちが目指している言葉では伝えきれない世界観みたいなものを言語や文化を超えて伝えられるのか挑戦したいと思っています。もう一つは、イマーシブシアターというジャンルを超えてアートというジャンルの中でどう生き延びていけるのか、実験していきたいです。

近藤:イマーシブと言っても謎解きや脱出ゲーム、体験型のプロモーションが全部一括りになっているので、「イマーシブシアター」として、ジャンルの確立に一役買いたいです。もう一歩奥行きのあるアート体験ができるんだぞ、と。もう一つは、私たちのイメージの確立。現実と地続きの夢に遭遇する体験がしたければ、daisydozeを観に行こう!そう思ってもらえたら良いなと思いますね。

取材・文=鳥山喜久

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