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『この夏の星を見る』山元環監督生涯ベスト映画ランキング!「この夏」が影響を受けた新海誠作品とは?

ciatr[シアター]

山元環監督、この夏の星を見る、生涯ベスト映画

7月4日より絶賛公開中の映画『この夏の星を見る』。辻村深月による同名小説を原作に、山元環監督が長編映画デビュー作として手がけた本作は、コロナ禍を背景に描かれる新たな青春映画の傑作です。

登場人物たちのまっすぐなきらめき、そして唯一無二の星空の映像表現が心を打つ、今夏必見の一本となっています。

公開を記念し、山元環監督に“映画”をテーマとした特別インタビューを実施。映画監督を志すきっかけとなった邦画3作品や、本作の制作に影響を与えた新海誠監督の作品について語っていただき、監督の映画観に迫る内容となっています。

さらに、監督ご自身が選ぶ「生涯ベスト映画」3本も紹介いただいているのでどうぞお楽しみに。

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映画『この夏の星を見る』作品概要・あらすじ

2020年、コロナ禍により青春の時間を奪われた高校生たちがいました。茨城・砂浦に住む亜紗や凛久は、失われた夏を取り戻そうとスターキャッチコンテストの開催を決意。

一方、東京では孤独を抱える中学生・真宙が、同級生の天音に誘われる形で、この大会に関わることに。長崎・五島では、実家の観光業の行く末に悩む円華が、新たな出会いをきっかけに空を見上げるようになります。

手作りの望遠鏡で星を探す全国の学生たちは、オンラインを通じて画面越しに繋がり、それぞれの思いが夜空で交差していきます。やがて、その思いは、奇跡のような光景を捉えることに――。

山元環監督プロフィール

『この夏の星を見る』監督・キャストインタビューはこちら

山元環監督が選ぶ生涯ベスト映画ランキングTOP3

Q:山元環の生涯ベスト映画を3本選出いただきました。第3位からご紹介ください。

第3位『蒲田行進曲』(1982年):頭がグラつくほどの高い熱量を持った作品

山元監督

第3位は『蒲田行進曲』です。『蒲田行進曲』のお芝居は、今観るとオーバーリアクションに感じるんですけど、ただ今絶対に出せないエネルギーが詰まっていて。

映画って時代を切り取っていくものだと思うんです。『蒲田行進曲』のエネルギッシュさって、今の定着したお芝居の中からは出せない、ある種偶像劇ではあるんですけど、持っている熱量と温度があまりにも熱いから、リアルに感じてくるんですよね。

終わった頃にはものすごくこの映画1本の熱量を浴びせられて、すごい頭がクラクラした記憶があって。深作欣二監督のこの作品にすごい僕は喰らいましたね。

第2位『青い春』(2001年):映画音楽の大切さを学んだ一作!

山元監督

第2位は『青い春』です。

中学1年生の頃に観て、映画と音楽がこんなにも密接に関係しているのかっていうのを一番感じた作品です。当時、兄貴の影響とかでエミネムとかそういうのを聴いてたんですけど、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTさんを初めて聴いた時に、「こんなに映画にハマるかっこいい音楽があるのか」、「こんなかっこいいバンドがあるのか」っていうのがすごい衝撃で。

それと同時に映像が派手じゃないのに、ものすごく情緒があったんですよね。説明的な台詞じゃなくて、映像と共にその音楽は流れて、こっちに押し寄せてきてる感じがものすごくセンセーショナルでかっこよく感じたんですよ。

邦画の良さというか、あまりハリウッドとかではなかったセンスみたいなものを感じて、さらには映画音楽がいかに大事かっていうのを学ばせていただいた作品だと思いますね。

第1位『インターステラー』(2014年)

山元監督

第1位が王道ではあるんですけど、『インターステラー』です。

0.1秒も面白くないシーンがなかった……すべてが面白かったです。今回望遠鏡だったり宇宙の星とかに関する物語を作ったので思うんですけど、専門的でニッチな世界ではあるんですよ。

ものすごく科学と密接に関係しているというか。望遠鏡ひとつにしても、その反射角度とか、なぜ(望遠鏡)の鏡筒の中を黒く塗らないといけないのかとか。細かく言うと星の運動ってものすごく知識のいるもので、言葉で説明するとすごく長くなるんです。

ただ『インターステラー』ってその全てを映像化している。言葉で説明していくのではなくて、映像で全部お客さんに疑似体験させながら宇宙というものを語っていくんです。

重力っていうものは、またこの現代で解明されてないものなんですけど。その重力っていう何かわからないものを、最終的には愛は重力の質量を超えていけるっていうことを語っているのが『インターステラー』なんですよね。

とてつもなく狭いところから入って、ものすごい広い出口に出ていった映画だなと。何かその構造自体が本当に宇宙の神秘に近いような映画の構造になっていて。

あとなにより、宇宙の表現の方法が観たことがない映像すぎて……。IMAXの70mmの超ドでかいスクリーンで観ると迫力がでかすぎて、何か「あれぞ映画体験だ!」って思えるぐらいの素晴らしい映画が『インターステラー』だなと。何か未だににそれを塗り替えられないですね。

ノーラン作品、新海誠作品の『この夏の星を見る』への影響

クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』の影響

Q:『この夏の星を見る』に影響を与えた映画があればお聞かせください

山元監督

クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』。この作品も科学の話なんですけど、化学反応っていう点において、すごくアナログに映像的な表現をところどころに唐突に1秒2秒ぐらい入ってくるところがあるんですよ。

それをキャラクターの心情というか、感覚に合わして入ってくるっていうのが何か面白いやり方だなと思っていて。

『この夏の星を見る』もコロナ禍の制限された状態の中で、どういう躍動をキャラクターたちが持っているのかっていうのを、動きでずっと捕え続けるのではなくて、心の中の表現だったりとか、心理描写的なものをお客さんが置いていかれないような、映像表現をやってみたいなって思ったのは、クリストファー・ノーランの作品に触れてきたからで。

地上から見える範囲の中での、自分の中での化学反応というテーマで表現をした気がします。

『君の名は』の影響

Q:『この夏の星を見る』は青春群像劇としての側面がありますが、その点で影響を受けた作品があればお聞かせください

山元監督

新海誠監督の『君の名は。』に出てくる風景ってあるじゃないですか。その純度の高さみたいなものが美しいなと思っていて。ああいう美しさを実写化するにあたって『この夏の星を見る』では、多分他の映画ではやっていない、Day For Night(デイフォーナイト)っていう撮影方法を使って夜空を表現してるんですけど。

要は太陽をキーライトに見立てて、月明かりとして。色を付けるグレーディングっていう作業で夜を再度作り直していました。

その中にVFXで星空を足して、その星空も実際にナイトカメラマンの竹本さんっていう方が本当に撮ってきた素材の星をはめているんですよ。

変にCGで全部作り込んだ世界というよりは、撮ってきたものを合算して合わせてひとつのビジュアルみたいなものを作っているので。そこでやはり意識していたことは、新海監督のような、新海誠カラーみたいなものを『この夏の星を見る』の中にも取り入れられたらという目標がありました。

なのでその星空というのは、「この夏」ならではの空になっているんじゃないかなと。何かそういうのはすごく影響しました。

【映画の原体験について】邦画への目覚めとなった3本の映画とは?

Q:ここからは映画をテーマに幾つか質問させていただければと思います。まずは映画の原体験をお聞かせください

映画の原体験と映画監督を志すきっかけになった邦画3本

山元監督

もともと僕が映画好きではあったんですよ。それは父と母の影響で、結構小さい頃から家で映画が流れているような家だったんですけど。あまり外食をしない家で。映画館に連れて行ってもらった時だけ、そのまま外食もできる。

映画を観に行く=朝から晩まで1日がずっと楽しいというか。そこから楽しい思い出があって、映画というものに対してものすごくポジティブな印象というのが幼少期の頃からありました。

小学校6年生の頃に卒業文集を書いたりしたじゃないですか。「将来の職業は?」っていう欄があって、何がいいかなって思った時に、自分が楽しかったことを思い出していくと出たのがやっぱり映画監督だったので、とりあえず書いてみたんですよ。

じゃあ何か書いてみると、何となく映画監督がいいなっていうのをすごく思ったまま中学1年生になって。中学に入ると、高校の進路みたいなことが出てくるじゃないですか。高校の進路どうしようかなと思ったら、何かやりたい勉強といったら表現とか映画とか映像とか、そっちの方向に行きたいなっていうのを中学1年生の頃に強く思いました。

その時に観て、映画監督になる決め手となった3本の映画があったんですよ。それが『青い春』と『鮫肌男と桃尻女』、あと『ゆれる』っていうのを、中1の頃13歳の頃に3本観て。

それまで結構ハリウッド映画ばっかり観ていたんですけど、邦画って日本人にしかわからない情緒が詰まっているような気がすごく、13歳なりにしてたんです。

何かこういう自由な表現のできる邦画もすごく面白いんじゃないかなと思って、日本の映画監督をやろうと。そこが一番最初の原体験ですね。

監督とハリウッド映画

Q:どのようなハリウッド映画をご覧になっていましたか?

山元監督

小学生の頃は『ジュラシック・パーク』とかを観ていましたね。小学生まではどこか爆発する系が結構好きだったんで『Mr.&Mrs.スミス』とか、そういう結構派手目な映画が最初好きだったんですけど。

邦画の良さに触れてからは『スタンド・バイ・ミー』や『小さな恋のメロディ』だったり、ミニシアターではないですけど、何かA24的なコアな名作と呼ばれている作品みたいなのをDVDで借りて、夜通し家で見続けるとかを高校時代とかはやっていましたね。

【鑑賞する映画のこだわり】

Q:現在の鑑賞者としての映画との関わりについてですが。映画を鑑賞する頻度と、どういった作品を選ぶかをお聞かせください

山元監督

劇場に観に行く頻度は月1、2回ぐらいですかね。選ぶ基準は話題作になりそうな作品だったりとか、現にすごく話題になっている作品が結構中心になっています。

時間がない時はわりと配信系で映画は観たりするんですけど。最近は自分のやってる企画だったりとか、結構すごいいろんな数の映画が出てるんで、何かそこに似通っている部分があるかどうかみたいなのは、割と仕事モードで観てしまうことが多いんですけど……。

映画館に行って、自分の中で仕事モードも忘れて没頭した映画は『ルックバック』で。自分が監督だという立場も忘れて、ものすごく感動したのを覚えてます。

【映画監督になってからの映画を観る視点】

Q:監督になられてから映画を観る視点はどのように変化されましたか?

山元監督

時間配分はよく見ますね。一時停止とかして、大体何か10分ぐらいで、この情報量とか。そこの編集のリズム感とキャラクター達がどれだけの数でできているかをすごく見ます。

あとはお芝居の話尺だったり、これだったらもうワンテンポ早く切るかなとか、このカット切るかなとか。映画って時間が一過性で横にずっと流れていくものじゃないですか。

その中で詰められる情報量っていうのも、人が見て認識できる情報量もだいぶ限られていたりもするので。そこの題材選びとお客さんに出す情報の線引きというか、何かそこのラインを引くのは映画監督の仕事のひとつだと思うので、それをどこに引いているのかっていうのは見ますね。

『この夏の星を見る』は絶賛公開中!山元環監督の手腕が光る新たな青春映画の傑作を劇場でぜひ

映画『この夏の星を見る』には、心を揺さぶる瞬間や、息をのむような星空の美しさが丁寧に描かれています。

その一つひとつに込められた想いを受け取るとき、観る者はきっと、自身の記憶や感情と重ね合わせて感動に包まれるはず。

映画『この夏の星を見る』は、2025年7月4日より全国で絶賛公開中。星空に願いを託した、かけがえのない青春の物語をぜひ劇場でご覧ください。

▼取材・文:増田慎吾

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