溝口在住倉田竜太郎さん 「刀剣研ぎ」日本一に 秀でた技術で最高賞受賞
区内溝口在住で、日本刀の研磨を生業としている刀剣研ぎ師の倉田竜太郎さんが、先頃審査が行われた2024年度「現代刀職展」の刀剣研磨・鎬造の部において最高賞となる文部科学大臣賞を受賞。現時点で刀剣研ぎにおける日本一の技術者として認められた。
公益財団法人・日本美術刀剣保存協会が主催するこの審査は、伝統技術の保存と向上を図ると共に、多くの人に現代技術の優秀さを広め、文化財としての刀剣への関心を高めることを目的に行われているもの。この中で倉田さんは、日本刀の美術研磨の腕前を競う部門に出品。「上手く研げたとしても、美術研磨の作法に則った研ぎが出来ていなければ入選にすら至らない」といわれる厳しい審査基準をクリアし、最高賞に相当する文部科学大臣賞を受賞した。
今年度、同部門には延べ約60点が出品された。一般的にあまり知られていないものの、倉田さんのように日本刀の研磨を生業としている人は国内に300人程度といわれており、さらに刀剣研ぎを趣味とする人も一定数いる事などが、裾野の拡がりを物語っている。
自宅を作業場に改装
倉田さん自身、かつては都内で空手道場の運営を手掛けており、様々な武道に興味関心を抱く中で、座った姿勢から素早く刀を抜いて敵をきり倒す「居合い」という技に魅せられて日本刀の世界に傾倒。8年前から刀研ぎ師の師匠に弟子入りして技術を磨き、コロナ禍で道場の運営が困難になりつつあった数年前に独立。現在は溝口の自宅一室を作業場に改装し、全国の日本刀コレクターなどから寄せられる「研ぎの依頼」に応じている。
仕事依頼、増加に喜び
今回、日本一に認められた要因は「基本に忠実、かつ秀でた技術」。日本刀を鑑賞する際のポイントとして知られる「刃文」(はもん)の美しさばかりに捉われず、全体の調和を意識した研ぎの技術が、高評価に繋がった。「最高賞を受賞してから、少しだけ仕事の依頼が増えましたね」と、嬉しそうな笑顔で喜びを語っていた。