コーセーが中国事業の不振で45億円の特損 今後はASEANとインドのグローバルサウス市場の攻略を最優先
コーセーは11月11日、中長期ビジョンの説明会を開催し、2030年に向けたロードマップを示した。コーセーが同日発表した2024年12月期の第3四半期の累計決算は、売上高は2387億2500万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は188億1500万円(同17.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は94億1200万円(同28.4%減)と増収減益だった。
主力ブランドの「コスメデコルテ(DECORTÉ)」と「アルビオン(ALBION)」が日本市場で好調を維持し、北米も「タルト(Tarte)」の主力商品が好調だったことから増収となったが、中国市場の悪化で不採算店舗の閉鎖や在庫の処分、人員の整理などで45億3100万円を特別損失として計上したため、大幅な減益となった。
コーセーはこの日、グローバルでの多様なビジネスモデルの構築を目指し、純粋持株会社体制への移行を検討していることを明かした。新しい持株会社の社名は現在、検討中だという。さらに、中国市場からASEANとインドのグローバルサウス市場の攻略を最優先する考えを示した。コーセーは年初の時点では、中国市場は下期からV字回復すると見込んでいたが、個人消費が冷え込んだまま低迷を続けている。中国経済も悪化しており、急速に景気が後退していると深刻に捉えている。
コーセーは、M&Aや事業提携をもっと実施してくるべきだったという反省のもと、2030年までにグローバルサウス市場で2000億円規模の投資を行うとしている。グローバルサウスのひとつであるインド市場には2015年に進出しているが、中間層が増えており、スキンケア関連の商品にとって大きなポテンシャルを秘めていることから今後、積極的に展開していく。
中長期ビジョンの説明会に登壇したコーセーの小林一俊社長は、投資先の国やブランドは非公表としたが、「M&Aについて複数案件を同時に進めている。タルトのM&A以来、手応えのあるブランドだ」と話しており、欧米ブランドではなく成長が見込めるアジアや、インドに通用する小規模なブランドを対象としているようだ。
コーセーは同日、2024年12月期の連結業績予想の修正を発表している。売上高は3200億円(前回発表は3120億円、前年比6.5%増)、営業利益は180億円(同200億円、同12.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億円(同126億円、同31.4%減)としている。