渋沢相互住宅自治会が住民の力で防災対策 災害対応自動販売機とAEDを独自に設置〈秦野市〉
渋沢相互住宅自治会(内藤静雄会長)が防災対策として、コカ・コーラボトラーズジャパン(株)の災害対応自動販売機2台と、AED(自動体外式除細動器)1台の導入を決定した。企業との調整は自治会役員自らが行い、コカ・コーラボトラーズジャパン(株)とは飲料水提供の協定も結んでいる。
渋沢相互住宅自治会は、800人ほどの会員が所属している自治会。自治会として備蓄や定期的な防災訓練を実施しているほか、各家庭での非常食・水の備えを推進するなど災害対策を行っている。
一方で同自治会内には公共施設やコンビニ、自動販売機がないためAEDが1台もなく、かついざという時の飲料水の確保も困難という状況があった。また、広域避難所の避難経路が断層の上にあること、自治会内には古い家屋が多いこと、高齢化が進行していることなどから、近年頻発する大規模災害への防災対策は喫緊の課題だった。
こうした中、平塚市役所での実務経験から現状に危機感を覚えた内藤会長を中心に、自治会役員が防災対策見直しを敢行。自主防災会の名簿と防災用品の見直しや災害発生時の運用の最適化のほか、自治会費を活用した災害対応自販機とAEDの導入に踏み切った。
これにより、今年1月から2月にかけて災害対応自販機2台の設置が実現し、状況に理解を示したコカ・コーラボトラーズジャパン(株)が災害時の飲料水の提供協定も締結。AEDは別の企業の協力を得て自治会館に1台設置されている。AED導入にあたっては、自治会役員全員が消防で応急手当の講習を受講しているという。
「まだまだ十分な対策ができたとは言えないかもしれないが、自主防災を自分たちで考え見直す機会を得られたことは意味があると思う。この活動が、市内の他の自治会の防災意識向上につながるきっかけになってくれたら」と同自治会では話している。