「体育会系のろくでもない会社でした」年収300万円、お茶出しのため1時間前に出社、罵声も…… 即行で退職した男性
転職先がブラック企業だったら、できるだけ早く辞めたいものだ。東京都の佐藤さん(仮名、40代男性)が、10年ほど前に転職した会社が典型的なブラックだった。
「とにかく体育会系のろくでもない会社でした。1時間前に出社を強制され、事務所の清掃や先輩達にコーヒーのお茶出しを強要。もちろん賃金は発生していません」(佐藤さん、以下同)
10年前というと今よりもブラック企業は多かっただろうが、そこは「日本人なら知っているインフラ系有名企業のグループ会社」だという。そのため「安心して転職した」という佐藤さんがショックを受けたことは言うまでもない。編集部は詳しく話を聞いた。(文:天音琴葉)
「お前、前の会社リストラだろ?」みんなの前でいじられる
入社するまで、まさか掃除やお茶出しのために始業1時間前に出社させられるとは思わなかっただろう。新人への教育も、指導という名のもとの暴力が横行していた。
「指導方針が『怒らないと覚えない』という、わけのわからないものでした。上司や先輩から、暴言や時には暴力を振るわれたこともありました。罵声を浴びせられ、ヘルメットの上からペンで叩かれました」
当時40代半ばの主任補が新人いびりの主犯格だった。仕事は「アラ探し」と佐藤さんは揶揄する。
「退職を決意したのは、この先輩のパワハラが嫌になったからです。『会社がクビにしたがっているのにお前のことを庇ってやっているんだ』と抜かしたり、『お前、前の会社リストラだろ?』と数人の先輩や上司達の前で言ったり。飲み会は強制参加で、酒の一気飲みを強要され、そこでも叱責や顔を叩かれたこともありました」
これでは新人が全員辞めたとしても驚きはない。
企業サイトには「みんなで仲良している写真」
佐藤さんは当時の年収は300万円台で、「給与体系も良くなかったです」と語る。
「大晦日と正月三が日だけは手当が出たものの、それ以外の祝日には手当なんて出ませんでした。いくら休日出勤をしても、代休ももらえませんでした」
このほか、その前に勤務していた会社の源泉徴収票を社内で回し見され、嫌な気分になったことも。個人情報の扱いも雑だったようだ。退職を決意した佐藤さんは、上司に伝えた。するとそれまでは散々「やめろ、やめろ」と言っていた上司に「いつまで出れる?」と聞かれ、「マジ終わっているな」と、ほとほと呆れたようだ。
こうして入社から10か月後に退職した。無事にブラック企業から抜け出せ、転職もうまくいき、現在の年収は500万円と大幅にアップした。「辞めて正解でした」と現在の心境を語る。
佐藤さんはこんなことも語っていた。
「たまに前職の企業サイトを観るとアットホームをアピールしたいのか、みんな仲良く写真に写っているのを見かけます。外面だけはいい典型的なブラック企業ですね」
実際にブラック企業に勤めたことのある人にしかわからないかもしれないが、経験者はブラック臭に敏感になるものだ。
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