横須賀の大矢部弾薬庫跡 自然・歴史生かした自然公園へ 10月から事業者公募
かつて旧日本軍の弾薬庫として使用され、現在遊休地となっている大矢部弾薬庫跡地(横須賀市大矢部2丁目地内)の活用について、横須賀市は都市公園として整備するため、設計・建設、管理などを行う事業者を10月から公募する。選定を年明けに行い、25年度から設計・整備を開始。27年度以降の供用を目指す。
市の中央に位置し、東京ドーム4個分に及ぶ約19haの敷地を有す大矢部弾薬庫跡。市は2022年に民間事業者からアイデアを募るマーケットサウンディング(市場)調査を実施するなど、公園用地としての活用に向け準備を進めてきた。
現在同地は国有地だが、旧軍港市国有財産処理審議会は今年3月、公園供用開始と同時に市に無償譲与することが適当だとする答申を発表した。市は今年度、パブリックコメント(意見公募)を行ったほか、9月の市議会では公園設置に伴う条例の一部改正について審議された。
建設と運営民間事業者
新公園の名称は「大矢部みどりの公園」。建設と運営には指定管理者制度と市が民間事業者へ発注するDB方式のほか、整備と管理運営を一体として事業者負担で行うPark―PFI制度(公募設置管理制度)を導入する。市担当者は「収益施設の設置など、民間事業者ならではの柔軟な発想に期待したい」と意図を話す。同制度は市内では長井海の手公園ソレイユの丘で導入実績がある。
現状一般開放されておらず、周囲を宅地に囲まれながらも豊かな自然環境を残している同地。敷地内には鎌倉時代に造営された「深谷やぐら群」や三浦為通(ためみち)を開基とする「円通寺跡」(いずれも埋蔵文化財包蔵地)といった歴史資源もある。
整備イメージについて、市は基本計画案の中で飲食や滞在ができる施設や広場などを含む「憩い・賑わいエリア」や休憩スペース、子ども向け大型遊具などを設ける「交流・発信エリア」、三浦一族の歴史を伝える「史跡エリア」のほか「囲まれ(非日常)エリア」「斜面地エリア」など5つのゾーニング例を提示。同地が保有する自然・文化資源を生かした都市公園としての生まれ変わりを目指す。
防災拠点として
市は災害時における防災拠点としての機能も想定している。敷地内に建設される予定の大屋根の休憩施設は、災害発生時に避難所などへ届ける応援物資を保管、配送する拠点として整備する方向だ。
隣接する大矢部公園については新園供用開始後に廃止し、用地売却を念頭に検討を進めるとしている。