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気候変動を見据えた「ドメーヌ シャンソン」の“ダイナミックな取り組み”

ワイン王国

左から順に#1~#6 __EMPTY_YTPME__ 価格は税込 __EMPTY_YTPME__ テイスティングはブルゴーニュの流儀で赤ワイン#4、#5、#6、白ワイン#1、#2、#3の順で行った __EMPTY_YTPME__ #1:ペ…
アルザス出身のヴァンサン・アヴネル氏は、ボルドーを皮切りに、ロワール、ブルゴーニュでキャリアを積み、2016年「ドメーヌ シャンソン」に入社後、翌年社長に就任した。2022年ヴィンテージについては「赤も白も素晴らしい収穫年だった」と述べ「ボーヌ プルミエ・クリュ レ トゥーロンでは区画の一部で土壌保全の実験や、サヴィニー・レ・ボーヌの醸造施設では容器や酵母の試験的な取り組みを行っている」と直近の話題についても触れた

「ドメーヌ シャンソン」は、ブルゴーニュ地方で最も古いファミリー経営のメゾンの一つである。1750年にヴェリー家が興したメゾンは、1847年シャンソン家に委ねられ、1999年からボランジェグループの傘下になった。6年ぶりに来日したヴァンサン・アヴネル社長は、気候変動の影響下にあるブルゴーニュでメゾンを存続させていくためのビジョンについて熱く語った。

自社畑を拡大

大手ネゴシアンのドメーヌ シャンソンは、ドメーヌワイン25パーセント、買いブドウから造るネゴシアンワイン75パーセントの比率でワイン事業を展開してきたが、雹害で2016年と21年はマイナス50パーセント、長雨とベト病で24年もマイナス50パーセントとなった。社長に就任してから、収穫時期も1週間程度早まっていると実感していたアヴネル氏は現状を憂い、ブドウの安定的な確保を優先事項にして、自社畑の拡大を目論んできた。折しも、23年にコート・シャロネーズに45ヘクタールの畑を入手できるチャンスを得て、所有するコート・ド・ボーヌ43ヘクタールと合わせて、自社畑を88ヘクタールまで広げることができた。これにより、ドメーヌワインとネゴシアンワインは各50パーセントになった。コート・ド・ボーヌに所有する畑は14年ヴィンテージからビオロジック認証、コート・シャロネーズは現在転換中なので3年後くらいに取得予定。

アヴネル社長が気候変動対策として取り組んできた事柄は、①全房発酵の比率を2020年からヴィンテージやアペラシオンによって対応し、平均50パーセントにとどめる。②収穫時期の見直しを行い、20年から収穫を早めに実施。③樽業者に関して、白はフランソワ・フレール、赤はダミーだけだったが、22年ヴィンテージからトレモー、カデュス、タランソー、ルソーを導入。新樽比率も白は25パーセント以下、赤は最大で15~25パーセント。④熟成期間を再考し、白は約11~17カ月、赤は約14~20カ月に変更。⑤エチケットは読みやすいゴチック体に変え、メゾンのロゴも丸みを持たせ、ドメーヌワインは「DOMAINE CHANSON」、ネゴシアンワインは「DEPUIS 1750 CHANSON」と記載。ワイン愛好家への情報公開(土壌構成や畑の向き、樽での育成期間など)にも配慮。新エチケットは24年の出荷分から対応。

左から順に#1~#6 価格は税込 テイスティングはブルゴーニュの流儀で赤ワイン#4、#5、#6、白ワイン#1、#2、#3の順で行った #1:ペルナン・ヴェルジュレス アン カラドウ 白 2022年 コルトン・シャルルマーニュの向かい側、東向きの斜面中腹に位置する畑。土壌由来の柑橘系果実やミネラルが顕著、ピュアで、中盤以降エレガントに広がる味わいが好印象 1万2100円 #2:ル バスティオン ボーヌ プルミエ・クリュ ブラン 2022年 ボーヌの1級畑をアサンブラージュしたキュヴェ。ストーンフルーツや熟した南国果実、白コショウ、木樽風味、奥行きのある味わい 1万1000円 #3:ボーヌ ル クロ デ ムーシュ ブラン 2022年 白い花、ストーンフルーツ、白コショウ、石灰由来のミネラル、口中クリーミー、中盤から層をなして広がる旨味と厚み、樽発酵、樽熟成(新樽20%)、熟成17カ月 2万4200円 #4:メルキュレ ル クロ レヴェック 2022年 6ヘクタールの畑のうち、1ヘクタールにシャルドネを植樹。イチゴやサクランボ、甘草やペッパー、清涼感があり、引き締まったテクスチャー、余韻に果実の風味。中央のロゴには「DEPUIS 1750 CHANSON」の記載 1万1000円 #5:ル バスティオン ボーヌ プルミエ・クリュ ルージュ 2022年 ボーヌの1級畑をアサンブラージュしたキュヴェ。東から南東向きで、粘土、石灰、砂質土壌。イチゴやフランボワーズ、スパイスとヴァニラ、きめ細かなタンニン、時間の経過で複雑味 1万1000円 #6:ボーヌ クロ デ フェーヴ モノポール 2022年 熟れたベリーやスミレの花、ヴァニラやアニス、濃密で深みのあるテクスチャー、エレガントなフィニッシュ、全房50%、タンク発酵、樽熟成(新樽25%)、熟成20カ月 2万4200円
データ提供:ファインズ
■ボーヌ クロ デ フェーヴ モノポール 2022年 シャンソンが所有する4.1ヘクタールのモノポール、フラッグシップワイン。ボーヌの1級畑に広がる丘の中腹に位置する真東向きの区画で、土壌は粘土、シルト、砂のバランス良好。ラテン語の“FAE(フェ)”が語源のフェーヴは“ブナの木”の意味
■ボーヌ ル クロ デ ムーシュ ブラン 2022年 ボーヌ南端の丘の中腹に位置する粘土石灰質土壌、東向きで日当たりが良い畑。所有する 4.3ヘクタールのうち、シャルドネは斜面上部の2.2ヘクタールで栽培。ボーヌの最も象徴的な畑の一つで、ムーシュはブルゴーニュの方言で“蜂”の意味
■DIAM(ディアム)コルク 白ワインは2012年から、赤ワインは18年からTCA(コルク臭の原因物質トリクロロアニソール)を除去したDIAMコルクを導入。刻印はDIAM社のロット番号。プルミエ・クリュに採用しているDIAM30は最上級の天然コルクとほぼ同額

GREAT PLACE TO WORK®

ドメーヌ シャンソンは2024年にフランスの生産者第1号として“グレート プレイス トゥ ワーク/働きがいのある会社”の認定を受けた。現在、コート・ド・ボーヌとコート・シャロネーズで総勢55人のメンバーが働いており、男女の比率は約半々である。21年から23年の間にブドウ畑や貯蔵庫の作業に関する団結やサービスの強化に特化した日(植え替えの日、収穫の日、整枝の日)が内部で組織され、これにより、従業員全員がメゾンをあらためて見直し、チームの連帯感を強化した。けん引役は2019年から栽培責任者を務めるジュスティーヌ・サヴォワさんと、20年から醸造責任者のリュシー・オージェさん、そこにアヴネル社長が加わった3本の矢だ。25年にはユネスコ遺産の一部“クロ(石垣)”の修復に専念する日を実施する予定である。なお、このプロジェクトには、親会社のボランジェグループが関与している。

ちなみに、フランス以外で認証を取得しているのは、米国の「オーパス・ワン」や豪州の「トレジャリー・ワイン・エステ―ツ」など。日本語のサイトもあり、大小の企業が認証を取得している。

text & photographs by Fumiko AOKI

【問い合わせ先】
株式会社ファインズ TEL.03-6732-8600

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