【高知グルメPro】ワインが止まらない!高知城下町でいただく本格フレンチ「ビスロト アンファン」
高知市の中心エリア、高知城に続く追手筋沿いに店を構える「ビストロ アンファン」で、メニューを開いてうずいた。
自家製ロースハム、自家製ソーセージ、パテドカンパーニュ、シュークルート、蒸し野菜のサラダ、アッシュパルマンティエ、フロマージュテッド、鴨もも肉のコンフィ、コック・オー・ヴァンなどなど、フランス料理好きなら、思わず喉がなる料理が並んでいる。
特に、「コック・オー・ヴァン」というブルゴーニュ 地方の郷土料理、雄鶏の赤ワイン煮込みは、東京のビストロでも見なくなって久しい。
嬉しくなってきた。
まずは前菜に自家製だという「ロースハム」と「蒸し野菜のサラダ」を頼む。
「蒸し野菜のサラダ」が運ばれた。
これを頼んだのには、ワケがある。
「蒸し野菜のサラダ」はフランス語では「エチュベ」もしくは「サラダグレッグ」と言って、シンプルな料理であるゆえに、出来に差がでる。
さらに言えば、こういう地味な料理を、どう作っているかで、その店の実力がわかるからである。
カリフラワー、スナップえんどう、ヤングコーン、にんじん、ブロッコリーなどの野菜が端正に盛られている。
食べれば、どの野菜も自らの力を出し切って、舌の上にエキスを垂らす。
火の通しもいい。
こういう料理をきっちり作るシェフは、信頼できる。
次はハムである。
薄桃色に染まったハムに、オリーブオイルをかけて運ばれた。
うん、しっとりして塩気の塩梅もいい。
何よりも豚の味が、しっかりと残っている。
お次は、「豚の耳、舌、ほほ肉のテリーヌ」である。
「フロマージュ・ド・テット」と呼ばれる、フランス人が大好きなテリーヌは、豚の各部位が柔らかく煮込まれ、ゼラチン化したコラーゲンの甘みが広がる。
うん、調子に乗ってきたぞ。ワインが進む。
メインには、「魚のポワレ」と「コック・オー・ヴァン」を選んだ。
魚は、パリンと焼き上げた皮の下から、白い身を見せている。
喉が鳴る。
魚は「ねいり」だという。
カンパチの幼魚で、刺身や塩焼き、煮付けなどにして高知ではよく食べられている。
しかし、ポワレという手があったか。
皮は香ばしく弾け、身はしっとりと歯に食い込み、ほの甘い味わいを滲ませる。
円周上に添えられているのは、アンチョビソースだろうか。
練れた塩気があって、それがねいりに色気を与えている。
続いて、「コック・オー・ヴァン」が運ばれた。
おおっ。もも肉が一本とは雄大である。
普通は、三口分ほどに切られて提供される。
ナイフで切って、かじりつく。
噛み締める喜びのある肉と、赤ワインのコクと酸味が混じり合う。
すかさず赤ワインを合わせる。
ああ、幸せだなあ。
嬉しくなって料理を追加した。
「猪のラグーとターメリックライス」が運ばれる。
ゴロゴロに切った猪肉の煮込みを食べ、一緒に煮込まれ、くたくたとなった、ジャガイモやししとう、玉ねぎ、にんじん、セロリを追いかけさせる。
煮込み汁をターメリックライスとよくよく混ぜて、口に運ぶ。
ほんのり香るターメリックが、胃袋を刺激する。
飲んだ後の締めに、これだけを食べに来たい。
そう思わせる食欲の刺激性と味であった。
デセールはチーズケーキをお願いした。
バスクチーズケーキのように濃厚で、チーズのコクで満たされる。
焼きの深さもいい。
おっと危険だ、またワインを飲みたくなってきた。
食後に山崎章弘オーナーシェフに話をうかがった。
高知の「ノンナ」、「クレオール」、そして東京と修行し、高知に戻りこの店を開いて15年になるという。
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ハムやテリーヌの美味しさを伝えると、他のシャルキュトリーも作っており、春には辛い羊のメルゲーズソーセージも作るという。
ならば「クスクス」はやられるのですかと聞けば、もちろんやりますと微笑まれた。
さらに冬になると「カスレ」も始められるという。
これは季節を変えて来なくちゃね。
店名にフランス語で、「アンファン=子供」とつけたのは、この店では美味しいものを食べて、大人も子供のように笑ってほしいという願いを込めたのだという。
きっと今まで、たくさんの笑顔が生まれているのだろう。
そう思うと、幸せな気分がさらに高まった。
高知県高知市追手筋 1丁目「ビストロ アンファン」にて
店舗情報
ビスト ロアンファン
営業時間:18:00~22:00(21:00ラストオーダー)
定休日:日曜日
住所:高知県高知市追手筋1-3-8前田ビル1F
電話:088-871-7822
インスタグラム:https://www.instagram.com/bistro_enfant/