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「お腹が痛い」登校前に泣く小1娘。毎朝付き添うのは過保護?休暇明けに状況悪化…母に沁みた校長先生の言葉

LITALICO発達ナビ

「お腹が痛い」登校前に泣く小1娘。毎朝付き添うのは過保護?休暇明けに状況悪化…母に沁みた校長先生の言葉

監修:初川久美子

臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち

突然あらわれた長女の異変

長女は小学校入学前、自分で選んだランドセルを背負い小学校へ行くことをとても楽しみにしていました。入学のタイミングで新しい土地へ引っ越してきたため、同じ幼稚園の子は誰もおらず、近所にも知り合いはいないという環境。私は少し心配をしましたが、入学してから数日は順調に学校へ行っていました。

しかし入学して2週間ほど経ったある日の朝、登校寸前に長女はお腹が痛いとトイレに行きました。この時はごはんを食べたあとで普通にトイレに行きたくなったのかなぐらいにしか感じていませんでした。時間ギリギリに「遅れちゃう!」と急いで行っていたのでちゃんとトイレを済ませられたのか、お腹の調子は大丈夫だろうかと心配しながら見送りました。

そして次の日、また同じように登校前にトイレにこもりました。どうやら昨日も今日もお腹を壊していたようでした。普段長女は朝排便を済ませることはあまりなく、続けてのことだったので違和感を覚えました。遅れてしまうことを気にしてトイレで泣いていたので、前の日のこともあり、「班長さんに伝えてあとからお母さんと一緒に行けばいいから急がなくて大丈夫」と声をかけました。

そしてその日は私が一緒に歩いて学校へ行きました。学校の前に来た瞬間長女がまた涙を流し始めました。どうしたのかと尋ねると、長女は「学校へ行こうとすると胸がドキドキしてお腹が痛くなる」と話してくれました。その時に、続けての朝の腹痛はそれが原因ではないかと思いました。

体調不良の原因が判明

長女は小さい頃から環境の変化にとても敏感なところがあり、ストレスが行動に表れることがよくありました。弟(長男)が産まれた時は下唇を噛んで唇が炎症を起こしてしまったり、幼稚園に入ったばかりの頃は髪を抜いてしまうことがあっとたり、以前の引越しでは咳チックが出たり……今回も、小学校に入学し、加えて誰も知らない環境の中でこの2週間、普通に登校しているように見えたけどすごく頑張っていたのだと感じました。

長女は、学校が嫌なのではなくお母さんと離れるのが不安で、学校は楽しい時もあるけど困ったことがあった時に「お母さん助けてーどうしようー」となって涙が出てドキドキしたりお腹が痛くなると詳しく話してくれました。集団登校でも実はずっと泣いていたそうで学校へ行くことが不安で仕方なかったそうです。

私は念のためこの状況を担任の先生に話しました。先生の話によると長女は教室でもよく泣いているため声をかけてくださっているとのことでした。安心して通えるようにいろいろ考えてみますとおっしゃってくれました。

母子登校のはじまり

それから長女とも話し合い、「学校には行く」と本人も言っていたので、気持ちが落ち着くまで一緒に登校することにしました。車で送っていくこともできたのですが、今後のため集団登校に慣れることや6年間歩く通学路をできるだけ歩いて行こうと思い、私も集団登校に混ざって一緒に登校することにしました。

当時幼稚園だった長男を連れて、長女と学校へ行き、教室で荷物をしまい先生が来るのを見届けてから、長男を幼稚園に送り仕事へ行くという日々をスタート。過保護すぎるかなぁと悩みましたができる限りのことはしてあげたいし、きっといつか自分で行けるようになると信じて毎日歩きました。担任の先生も長女の席を先生の近くにしてくださったり、一緒に給食を食べてくださったりして、長女はそれがとても安心するのだと私に話してくれました。

悪化する状況に疲弊

少し気持ちが落ち着きかけたかなぁと思った頃、ゴールデンウィーク明けに朝の腹痛がまたひどくなりました。気になったので小児科へ相談に行き、緊張感を和らげる漢方を処方されました。

あまりにも長女が私と離れるのが不安だというので私は母子分離不安ではないかと気になりました。インターネットに書かれていることを読みながら、私が過保護、過干渉なせいではないか、私のせいで自分で決められない子になるのではないか、信頼関係ができてないのだろうか、私自身が子どもに依存しているのだろうか……と検索して不安になったり落ち込んだりしたこともありました。

長女を歩いて送って行き、長男を幼稚園に送り、仕事へ行くというハードでタイトな毎朝。そこにマイナスな気持ちも相まって疲れていた時期もありました。そんな時、夫にも「車でサッと送っていけばいいのに。歩いて一緒に行く意味とか親が勝手に思ってるだけで、いもみが自分で自分のこと大変にしてるだけ」と言われてじゃあどうすれば良いのかと泣きたくなる時もありました。でも、自分がこんな気持ちでは長女に気をつかわせてしまう、前向きになろうと必死に奮い立たせていました。

変わらない状況に不安だったある日、長女を送ってから門を出る時に校長先生に声をかけられました。「お母さん、いつもご苦労様です。今こうして娘さんが泣けるのはとても良いことですよ。こうやって根気よくお母さんがしてくれることは必ず娘さんの力になります。大丈夫です」と。私はこの言葉にとても救われ、長女を信じてもう少し頑張ってみようと思いました。

その時は突然に……長女の成長に涙

すると1年生の9月頃、長女が突然、「今日はここから1人で行ってみるね」と言い、学校の少し手前から1人で行きました。とても驚いたし長女の頑張ろうとする姿に涙があふれました。それから少しずつ1人で行く距離を伸ばして行き、2年生には玄関から1人で行くように。でもまだ泣けてしまう日もあり不安定でしたが4年生になった頃には泣くこともなくなりました。

5年生、6年生と学年が上がるにつれてますますたくましくなっていき、いつのまにか下級生に慕われるお姉さんに。私が手を貸そうとしても自分でやるから大丈夫と1人で立ち向かい解決するようになりました。

小学校を卒業する時長女が卒業文集に1年生の頃泣きながら登校していたことを綴っていました。「あの時があったからたくましくなれた。先生、友だち、お母さんありがとう」と書かれていました。長女にあの頃のことを今聞くと「お母さんと離れたくないって気持ちは今でもあるよ。この気持ちを解決することはなかなか難しいけど、でも今は自分で行くし自分でやる。ちゃんと成長したと自分でも思うからあの頃はあれで良かったと思う」と話してくれました。

当時はたくさん悩んだけど母子登校して本当に良かったし、たくさん悩んだことも、いろいろな話をしながら歩いた日々も、今ではとても良い思い出です。現在長女は中学1年生になりました。自らいろんなことに挑戦し頑張っています。私の手を少しずつ離れていく寂しさと成長していく嬉しさを感じています。これからも長女の力を信じ、見守っていきたいと思います。

執筆/ねこじま いもみ

(監修:初川先生より)
長女さんの付き添い登校のエピソードをありがとうございます。この4月に入学した小学1年生はじめ、環境の変化などで苦戦しつつも頑張っているお子さんも多いと思うので、このエピソードが保護者の皆さまに早く届くといいなと思いながらコメントを書いています。

新しい環境になじもうと頑張る際に、苦しくて身体にサインが出る(腹痛、下痢、吐き気など)お子さん、お母さんと一緒がいいと泣いてしまうお子さんなど、さまざまな心配な様子を呈するお子さんがいます。不安と緊張、そして頑張りたい気持ちとがうまくバランスを取れず、不調になっているのでしょう。不安な気持ちが強い場合、それが収まってくるには、「あぁ、(不安だったけど・緊張したけど)大丈夫だった」という経験を積んでいくことが大事です。そのため、保護者の方による付き添い登校によって、一番不安が高まるであろう教室に入る段階をサポートしていただくことはとても大事な支援になります。お子さんによっては、しばらく廊下で教室の様子を見て、朝の会(や1時間目)が終わった頃に教室で合流したほうがうまくいく子もいます。それは校内での支援になるので先生方やスクールカウンセラーなどと相談しながら考えていけるといいでしょう。

私はいもみさんが大変ながらも、毎日歩いて送ってくださったのは長女さんにとってとても心強かっただろうと感じます。長女さんにとって、歩いていくことは「日常」のことになりゆく事柄であり、そして、その日常を作るために、歩いている中で気持ちを整えたり奮い立たせたりと調整していただろうと感じるからです。もちろん、人によってはそれが適わず、送るなら車や自転車になる方もいるとは思います。状況により、できることできないことがあるのはやむなしですが、ただ、その後の「日常」に近い形だと、長女さんの心的負担は少なくすむだろうと感じました(いもみさん、お疲れ様でした!)。

さて、長女さんは1年生の9月ごろから、「一人で行ってみる」と言い始めたとのこと。夏休みを経て、いよいよ学校に慣れたのかもしれないですね(お子さんによっては、夏休み明けはまた4月と同じくらいつらいと訴える子もいます。お子さんによりさまざまですが、すこし駒を前に戻したとて、また焦らず同じく積みなおしていけばよいだけです)。自分から、一人で行ってみると言うこと。これが大事です。「そろそろ一人で行ったら?」「もう2学期だよ?」と促すことは全くおすすめしません。お子さんが大丈夫、つまり不安ではなく安心して次の段階に挑戦しようと思えることが大事です。そもそも、お子さん自身も、きっと一人で行けたほうがいいんだろうなとか、毎朝送ってくれるお母さんは大変だろうなとか、何も分かっていないわけではないと思います。

長女さんの卒業文集はこの付き添い登校にまつわる内容だったのですね。想像しただけでこちらももらい泣きしそうですが、付き添い登校などのプロセスにお子さん自身がいかに救われたかということですね。苦労しながらも頑張って通った学校生活がきっとそれなりに楽しく、充実した時間だったからこそ、そのプロセスの大事さを語れたのだと感じます。中学校へ進学し、小学校での進級とは比べ物にならないくらい大きな変化に見舞われている長女さんが、日々いろいろなことに挑戦して頑張っているとのことも何よりです。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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