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その人にしか出せない”おいしさ”の秘密は「料理を作るときに溢れる感情」なのかもしれない

saita

その人にしか出せない”おいしさ”の秘密は「料理を作るときに溢れる感情」なのかもしれない

「良い花は後から」ということわざがあります。先に咲いた花よりも、後に咲いた花の方が美しいという意味を持つこの言葉。人生も同じだと思いませんか? 酸いも甘いも経験した40代頃からのほうが人生の豊かさを感じられるようになります。そんなことを意識しながら生きているkahoが日々思うことをお届けします。

ストレス発散の牛スジ煮込み

私は料理をするのが好きだ。

家事の中で最も苦にならないのが料理だし、それどころか、私にとって料理はストレス解消、気分転換、リフレッシュ! といった要素がある。

昔から、イヤなことがあると煮込み料理を作る。料理の中にイヤな感情を落とし込んで煮込むのではなく、時間をかけておいしいものを作ることで、自分の中にたまったイヤな感情が自然と浄化されていくような気持ちになるのだ。

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私が牛スジを買い込んでくると、夫は「おっ、なにかイヤなことがあったのか? でも、今夜は牛スジが食べられる!」となるならしい。

煮込んでいるうちに私の気持ちは軽くなり、スジ煮込みが完成する頃には何に悩んでいたのかを忘れてしまっている。

そして、完成したスジ煮込みは、手前味噌ながら、めちゃくちゃおいしい。

うちの夫はごはんを食べながら、「これさ、店出せるよ」とか、「これが食べられる店があったら通うなぁ」とよく言う。

店に行かずとも、家で食べられてますけど? という野暮な突っこみはしない(笑)。そんな風に食べてくるのを見ていると、心の中にあるストレスや疲れ、負の感情が吹っ飛ぶ!

私は、買い物をして、材料を洗って、切って、炒めたり、煮込んだりするこの工程で十分癒しを得られるのに、最後に、「おいしい」と言って食べてくれる人がいるのだから、恵まれてるなぁと思う。

思春期の娘には”母の味”を

もうすぐ11歳の誕生日を迎える我が家の娘は、思春期に差しかかり、一丁前に口答えしたり、イライラ、プンプンしたりしている。

以前、コラムにも書いたように、娘に「イライラするのはホルモンのせい!」という話をして以来、娘はイライラしているときに、「これは、ホルモンのせいだから~」と言う(笑)。

先日、学校から帰ってきた娘がイライラしていて、夫にちょっとそれは……という言葉を投げかけたことがあった。さすがにイラっとして、「その言い方はダメだよ」と注意をしたところ、夫が、「このくらいでイライラしているようでは、これからの思春期は乗り越えられませんよ」と言って笑った。

我が家は、この仏のように穏やかな夫の存在でいろんなバランスが保たれているわけだけど、これから迎える娘の思春期を乗り越えるためには夫の存在が頼りになりそうである。

プンプンしながら公園に行った娘のために、その日の夕飯は娘が好きなものを作った。食卓に座った瞬間、並んでいるおかずを見て笑顔になるのを見逃さない。

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食べはじめると、ニコニコが増えていく。

「暴れるホルモンは、ママのごはんで落ち着くのね」というと、「そうだよ!」と娘。

ごはんが持つ力ってすごいなぁ。と思う。

真似できない母のけんちん汁

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私の母が作るけんちん汁は、世界で1番おいしいけんちん汁だ。

地元を離れて24年経つけど、小学、中学、高校時代の友人たちは、今でも私の実家に母のけんちん汁を食べに来ることがある。

そのくらい、1度飲んだら虜になる味なのだ。

私が作る料理のベースは全て母から受け継いでいるものだけど、このけんちん汁だけは絶対に真似できない。

材料、調味料、作り方を全てその通りにしても、母の味にはならない。1度として満足のいく味に仕上がったことはない。

母にとっては、祖母が作るきゅうりの漬物がそうだったらしい。「どんなに作り方を教えてもらっても、あの味にならなかった」とよく話していた。祖母が作るきゅうりの漬物は、本当に本当においしかった。

義母は、「母が作る松前漬けの味を受け継げなかった」と話してくれたことがある。

”真似できない母の味”は、きっと、どの家庭にとっても「あるある話」なのではないだろうか。

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レシピ通りに作っても、決して真似できない味がある。それはなぜなだろうと、母や義母と話した結果、手から出ている何かが味の決め手になっているからでは? という意見で一致した。

その人の手から出る何か。おいしさの決め手になるエネルギーのようなもの?

私たちが思っている以上に、手には不思議な力がある。誰かのために食事を作る人たちの手にはきっと、その人にしか出せない味の決め手になる何かがあるのだろう。

娘にとって、私の作る何が、”真似できない母の味”になるかはまだわからないけど、娘がイライラしたときや、落ち込んだとき。私が作るごはんでその気持ちが落ち着くのはうれしいし、作り甲斐がある。

毎晩、必ず家族3人でごはんを食べる。2人が、「おいしい」「うまい!」というたびに、その日の疲れが吹き飛んでいく。

料理をするとリフレッシュになるし、それを食べてくれる人が「おいしい」と言ってくれたら、私の心は満たされる。私の手からはきっと、そのうれしい気持ちが溢れているような気がする。私の料理の味の決め手は、「うれしい」という感情かもしれない。

私は料理をするのが好きだ。私の人生を豊かにしてくれるもののひとつだから。

潜在意識インタビュアーkaho/ライター

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