社会福祉法人・株式会社・医療法人の違いとは?|転職時の施設選びでおさえたいポイントも解説!
執筆者/専門家
ささえるラボ編集部
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株式会社・社会福祉法人・医療法人の違い
3つの違いを見てみると、株式会社は営利法人であるのに対し、社会福祉法人と医療法人は非営利法人であることがわかります。
それぞれの法人が自分たちの事業目的に応じた法人格を取得しています。
「営利法人」と「非営利法人」とは?
ー営利法人とは
厚生労働省の資料によると、営利法人とは「商行為を行うことを業とする目的をもって設立した社団」と書いてあります。商行為を行うことが目的=利益を得ることが目的であるのが営利法人であるのです。※
株式や債券を資金として運営しているため、事業が成功し、利益を得た場合、その利益を株主に分配することができます。
※出典:厚生労働省3 他の法人制度との比較表(組織、資産等)
ー非営利法人とは
一方で非営利法人は、社会福祉法人であれば社会福祉事業の実施、医療法人であれば関連施設の開設などが目的となっているため、利益を求めることより、社会への貢献力などが軸となっています。
また、都道府県などの首長や厚労大臣の認可のうえ、寄付金や補助金を資金として運営しています。そのため、営利法人とは異なり利益は、国庫帰属となり事業目的にあわせた社会貢献活動のために利用することとなります。
株式会社とは?
ここからは、株式会社・社会福祉法人・医療法人についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
まず、株式会社とは株式や債券の発行で集めた資金をもとに運営しています。先述したように、営利法人は利益の最大化や事業の拡大を目的としているため、これらが成功した際に得る報酬は、出資をしてくれた株主に分配します。
事業内容については定款の範囲内であれば自由に決めることができるため、社会的ニーズが高まる介護業界を事業拡大のチャンスと捉え参入している企業も増えています。
実は介護施設の運営法人は株式会社が多い!
介護施設と聞くと、社会福祉法人が多いイメージを持ちやすいと思います。
しかし、訪問介護では70.7%、地域密着型通所介護では76.4%が営利法人の運営であり、公的施設(特養など)を除くと非営利法人より株式会社が運営する施設のほうが多いことがわかります。※
出典:厚生労働省令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況
株式会社で働くメリット
さまざまな法人格があるなかで、株式会社を選択するメリットは以下の通りです。
ただし、社会福祉法人と異なり、株式会社は企業ごとに待遇や給与体系が異なります。選ぶ際は、各企業の募集要項を確認しましょう。
1.新規事業や幅広い業務に携わることができる
2.企業によっては賞与や福利厚生の待遇がよい
3.教育や評価制度が充実している場合が多い
ー1.新規事業や幅広い業務に携わることができる
繰り返しにはなりますが、株式会社(営利法人)については、利益追求という目的と、定款の範囲内であるということがまもれていれば、事業の幅を拡大、方針転換していくことが可能です。
そのため、タイミングにはよりますが、新規事業の立ち上げに携わることができたり、他の部署で経理や人事の職務を経験できたりする可能性があります。
また、同じ企業内で複数のサービス形態を運営している場合もあるため、訪問介護で入職をしても通所型に異動をすることなどが、同企業内ででき、介護スキルを磨くこともできます。
ー2.企業によっては賞与や福利厚生などの待遇がよい
厚生労働省の調査によると、常勤で月給制の介護職員(営利法人)の平均給与は月298340円です。これは社会福祉法人の平均給与335060円と比較すると約37000円の差があり、一見すると株式会社の給与は少ないように見えますが、あくまで全体の平均値です。※
先述したように、株式会社は利益を追求してビジネスを行っていますので、業績が順調なときは賞与等も高く、不調なときは賞与が下がるなど波があります。また、企業によっても給与形態が異なるため、賞与が3ヶ月分支給の企業もあれば、1ヶ月分にも満たなかったという声があがっている企業もあります。
さらに福利厚生についても、企業によって外部の福利厚生サービスを取り入れているところもあれば、取り入れていないところもあったりと企業によって偏りがあります。
これらのことから株式会社を選ぶ際は、募集要項をよりしっかり確認する必要があるでしょう。
※出典:厚生労働省令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
ー3.教育や評価制度が充実している場合が多い
株式会社は、企業として培ってきたノウハウから教育制度や評価制度がしっかり構築されているケースが多いです。
特に、未経験から介護業界に入ることを検討している方は、このあたりを施設選びの材料とするのがよいかと思います。
社会福祉法人とは?
社会福祉法人は社会福祉事業を行うことを目的としていて、公益性が高い非営利法人です。具体的な事業内容としては、社会福祉法に定められている第一種社会福祉事業および第二種社会福祉事業を行います。
第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業とは?
いずれも社会福祉に関係する非営利事業であるという点では共通していますが、提供するサービスの内容と定められている経営主体が異なります。
第一種社会福祉事業は、主に利用者を保護する入所サービスとなり、サービスを受ける利用者にとって、緊急性や重要性の高い事業が定められています。事業所に万一のことがあった場合に、住む場所が無くなる方がでないように安定した経済基盤での運営がより必須となるため、行政もしくは社会福祉法人のみが事業を行うことができます。
一方で、第二種社会福祉事業は、主に利用者の自宅での生活を支えるサービスとなります。
第一種と比較すると社会的な緊急性は低いものとなっており、事業所に何かあった場合でも、住む場所が無くなるほどの影響力がない事業とイメージするとわかりやすいでしょう。そのため、届出をおこなえば、行政や社会福祉法人以外でも事業を実施することができます。
社会福祉法人で働くメリット
社会福祉法人で働くメリットは以下の通りです。
1.給与や運営面が比較的安定している
2.転勤が少ない
3.介護や福祉に関する専門知識が身につきやすい
ー1.給与や運営面が比較的安定している
社会福祉法人は、営利法人と異なり利益追求がメインではありません。そのため、自治体からの寄付金や補助金で運営が行われていて、行政の監査も定期的に受けているため給与面や運営面において安定性があります。
そのため、職員に対する給与未払いや、急な撤退がなく責任ある経営体制が整っています。
ー2.転勤が少ない
社会福祉法人は地域に根付いたサービスの提供を行っています。そのため、一般企業での勤務とは異なり、遠方への異動が少ない傾向があります。
生まれ育った地域、住み慣れた地域などで働きたい方は候補に入れてみてもよいでしょう。
ー3.介護や福祉に関する専門知識が身につきやすい
法人にもよりますが、社会福祉法人は勤続年数の長い職員が多い傾向があります。また、株式会社の新規参入とも異なり、積み重ねたノウハウも持っています。
そのため、介護に関する知識を深く学びたい人にはおすすめの法人格です。
医療法人とは?
医療法人とは、病院、医師や歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設、または介護医療院の開設を目的として設立される法人です。また、これら本来の業務をしっかり行うことを条件として、定款や寄附行為で定められた条件に基づき、附帯業務が可能となっています。
附帯業務の具体例としては、巡回診療所の経営・医療関係者の養成所の経営・医学や歯学に関する研究所の設置などです。
また、医療法人は大きく分けて社団医療法人と財団医療法人があります。それぞれの特徴も確認していきましょう。
社団医療法人と財団医療法人の違いは?
それぞれの特徴は以下の通りです。
・社団医療法人:病院や診療所の開設を目的としている「人の集まり」で設立された法人
・財団医療法人:個人または法人が「寄付した資金」をもとに設立された法人
つまり簡単にいうと、同じ目的を持った「人」が集まってできた法人と、「お金」が集まってできた法人という捉え方ができます。
医療法人で働くメリット
医療法人で働く主なメリットは以下の通りです。
1.医療職など他の職種と連携して働くことができる
2.経営基盤が安定している
ー1.医療職など他の職種と連携して働くことができる
医療法人は、病院などの施設や、医師が常勤する介護老人保健施設などの開設を行っています。そのため、医療法人の介護施設で働く場合、医師や看護師などといった他職種の人との連携をとりながら働くことができます。
また、利用者さんの急変時などもすぐに相談ができるため、介護職の不安の種である利用者さんの健康について悩む負担を軽減することができます。
ー2.経営基盤が安定している
法人の認可を行う前に、都道府県などによって人員面・財政面の確認が行われています。条件を満たしたうえで法人格の認可を受けているので、突如閉鎖になる、給与の未払いがおこなわれるといった心配が少ないでしょう。
結局どの法人がよいのか?
自分が望む職場環境などをリスト化してみましょう!
ここまで3つの法人格について解説してきました。安定志向なら非営利法人の社会福祉法人か医療法人、上昇志向なら株式会社…などと決めたくなると思いますが、それだけで決定することは危険です。
法人格の違いだけでなく、各事業所や施設によって強みや弱みが異なります。転職を決意したら、自分が望む転職先の条件を書き出してみましょう。そして、それらを優先度順に並び替え、その条件にあわせた事業所、施設選びを行いたいですね。
介護職の職場選びでおさえておきたいポイント!
優先順位をつけましょうと言われても、何を考えればよいかわからないという方に向けて、介護職の職場選びでおさえておきたいポイントを簡単に紹介します。
1.職場の雰囲気(人間関係、利用者さんの要介護度、清潔感etc.)
2.教育・研修制度(新人教育の体制や資格取得支援制度の有無etc.)
3.キャリアパス(キャリア形成ができる体制か、評価制度は適切かetc.)
4.勤務時間・雇用形態(夜勤の有無、シフトの柔軟性、アルバイトか正社員かetc.)
5.給与や福利厚生(夜勤手当や交通費の支給の有無etc.)
6.通勤時間(家からの所要時間や交通機関)
1~3については施設見学時や面接時に直接確認をしてみるとよいでしょう。入職前に見えるのはほんの一部ですので、気になる点などがあった場合は口コミサイトなども併せて確認してみましょう。
4~6は施設のホームページやパンフレット、実際に足を運んだ際に見えてくるものです。複数の施設を受けている場合は、メモなどに整理をし、あとで見返せるようにしておくとよいでしょう。
最後に:法人格の違いを理解したうえで介護施設ごとの特徴も確認しましょう!
営利法人である株式会社、非営利法人である社会福祉法人と医療法人などそれぞれ異なる特徴があることがわかりました。
これらの特徴や経営方針を把握しておくことはもちろん大切ですが、各施設ごとによっても特徴があるため必ず確認してから入職するようにしましょう。
しっかり準備することで後悔ない転職活動を行ってください。
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