乃木坂46「ネーブルオレンジ」MVでは 東急線の駅・ホームや車両が撮影場所に! 電車に乗っての聖地巡礼も楽しいかも
日本のポップカルチャーシーンにおいて、独自の地位を確立しているアイドルグループ「乃木坂46」。2025年3月には38枚目のシングル『ネーブルオレンジ』がリリースされました。そのミュージックビデオ(MV)は、東急電鉄の協力のもと、実際の駅や鉄道車両を使用して撮影されたシーンが数多く収録されています。
今回は、このMVのシーンがどこで撮影されたのか、撮影地を巡る「聖地巡礼」の参考になるようにまとめ、MV撮影時のメンバーコメントなどとともに、お伝えします。
懐かしを感じる、”乃木坂らしい” 5期生のWセンター楽曲
「ネーブルオレンジ」は、タイトルが示す通り、甘酸っぱいネーブルオレンジの香りが引き金となり、かつて電車に乗って会いに行った君との記憶を呼び起こす、ノスタルジックなラブソングです。「なんてセンチメンタルな記憶」という歌詞が象徴するように、過去への切ない想いが描かれています。楽曲自体は、爽やかでフレッシュな印象で、初めて聴いてもすっと心に入ってくるような、聴き馴染みの良さを持つとメンバーも語っています。複雑なダンスナンバーとは一線を画し、どこか懐かしさを感じさせるメロディーラインが特徴です。
『ネーブルオレンジ』でWセンターを務めるのは、グループの未来を担う5期生の、井上和(なぎ)と中西アルノです。彼女たちの存在感は、このMVにおいても際立っています。
MVの監督を務めたのは、SEKAI NO OWARI「Habit」など数々の映像作品で知られる池田大氏。乃木坂46のMVを手がけるのは今回が初めてとなります。このMVの内容は「生まれた場所も育った環境もバラバラの彼女たちが 『乃木坂46』という名の列車に乗り合わせ、導かれるように同じ進路を辿っていくおはなし」となっています。
東急グループと乃木坂46
このMVには、実際の駅や電車を使用して撮影されたシーンと、セットの電車を使用したシーン、そしてラストで皆が行きつく大きな木がある幻想的な場所という大きく3つのシーンで撮影が行われています。実際の駅や電車での撮影は、東急電鉄が協力をしています。東急グループと乃木坂46は、過去には2013年「世界で一番孤独なLover」での東急プラザ表参道原宿、2017年の「インフルエンサー」での東急プラザ銀座(当時)、最近では36thシングル収録の5期生楽曲「熱狂の捌け口」MVでの東急百貨店本店跡地にある工事中の建物(現在「Shibuya Upper West Projec」で再開発中)など、MVロケ地提供では度々、協力関係にあります。
「ネーブルオレンジ」MVでの東急線シーン
今回のロケ地選定は、単なる利便性だけでは無く、物語性を深める意図があるように感じられます。MVの主要な舞台となったのは、都心と住宅街を結ぶ東急多摩川線と池上線 。主要幹線ではなく、地域に根差したローカル線を選ぶことで、歌の持つ個人的でノスタルジックな雰囲気と、ごく普通の日常から特別な運命へと向かう少女たちの「偶然の出会い」が、より自然に、そしてリアルに感じられるよう演出されています。
ここからは、MV中での東急電鉄のシーンをご紹介します。
冒頭0:25-0:28の井上和さんが、友人と別れるシーンは、東急線ではなく、江の島電鉄の七里ヶ浜駅の踏切です。下表に東急の駅や実際の列車に関連するシーンを集めてみました。
時間シーン東急線の場所0:33 – 0:35井上和が改札を通過するシーン矢口渡駅・多摩川方面のりば改札0:33 – 0:35井上和と中西アルノが列車を待つシーン(曲のイントロが流れる)矢口渡駅・多摩川方面ホームの前寄り0:59 – 1:29井上和と中西アルノが実際の東急線車両の中で歌う東急5050系(メンバーが実際に乗る車両シーンも同様)1:29 – 1:36遠藤さくらと賀喜遥香の駅ホームでの2ショット鵜の木駅の下丸子方面ホーム1:40 – 1:41梅澤美波と久保史緒里の駅ホームでの2ショット東急池上線長原駅・五反田方面ホーム1:41 – 1:45池田瑛紗、五百城茉央、川﨑桜の3人のシーン東急多摩川線武蔵新田駅の・多摩川方面ホーム1:47 – 1:50一ノ瀬美空,小川彩の駅ホームシーン東急池上線荏原中延駅、五反田方面ホーム1:59 – 2:10和アルノと他メンバーの列車内ダンスシーン東急線車内2:28 – 2:32曲タイトルここからは、基本的にはセットの列車内がメインになる3:39 – 3:42
3:58 – 3:59背の順に一列になってのダンスセット車両でのダンスの間に、実際の車両中でのダンスも挿入される
撮影に使用された車両は東急5050系電車で、5178F編成(7号車のデハ5778)だと推測されています。車両内の撮影場所は、川崎市中原区にある東急電鉄の元住吉検車区という車両基地だと思われます。
街中シーンの撮影場所としては、井上和の冒頭シーンは七里ガ浜海岸駐車場で、中西アルノの最初の登場が吉祥寺プラザ、そして他のメンバーの登場シーンは、都内や多摩川大橋の近くなどのようです。
撮影時エピソード
メンバーの賀喜遥香は、ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK! 乃木坂LOCKS!」にて、MV前半のシーンの撮影について語っています。撮影は都内の駅(おそらく鵜の木駅)で行われましたが、当日は非常に寒く、雪もちらつくほどだったそうです。春をテーマにしたMVにも関わらず、衣装はピンク色のシャツ一枚。じっと立っているように指示された彼女は、寒さで鼻が真っ赤になってしまったと言い、メイク担当者が鼻周りにコンシーラーをたくさん塗ってくれたことが、なんだか不思議な感じだったと振り返っています。
また、セットの列車内でメンバーが眠っているシーンについては、撮影当日は朝早くから夜遅くまでかかったため、自身を含め、ほとんどのメンバーが本当に眠ってしまっていたのではないか、と語っています 。彼女自身も「口がちょっと開いていたかも」と少し恥ずかしそうにコメントしており 、メンバーの素顔が垣間見える貴重なシーンと言えるでしょう。完成したMVでは、暖かな春の光の中でメンバーが微笑んでいますが、その裏側では、寒さや長時間撮影の疲労に耐えながら、撮影に臨んでいたことがうかがえます。
井上和&中西アルノの唄声とMVのみどころ
同じ5期生として加入した二人のボーカルの相性の良さは、多くのメディアで評価されており 、特にMVでの車両内で向かい合って歌うシーンは印象的です。二人のコンビネーションは、シングルリリースに合わせて公開された「THE FIRST TAKE」での『君の名は希望』と『ネーブルオレンジ』のデュエットでにおいても、アイドル離れしたその歌声のすばらしさが大きな話題を呼びました。14年目を迎えた乃木坂46のこれからを担っていくであろう5期生と2人に、今後も注目です。
個人的なMVの見どころとしては、リアルとセットの列車内での背の順で一列に並んでのダンスと、列車内で皆で寝てしまった後に井上和と中西アルノだけが列車に取り残された後に合流をしての大きな木のある印象的な場所のシーンかなと思いました。是非MVをご覧ください。
実際の鉄道車両を使う事で効果的な印象を残すMVに
乃木坂46「ネーブルオレンジ」のMVは、東急電鉄との効果的なコラボレーションにより、楽曲の持つノスタルジックで甘酸っぱい世界観の映像化に成功したといえるでしょう。駅や電車などの日常的な風景を舞台にすることで、少女たちの運命的な出会いがより身近なものとして描かれ、電車に揺られ、幻想的な世界へ向かう彼女たちの姿は、楽曲のストーリーテリングを超え、「乃木坂46」というグループそのものの歩みとも重なる作品だと感じました。よろしければ一度、MVをご覧いただき、東京近郊を旅してみてください。
鎌田啓吾
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